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EAがAWS AI Practitionerを取得して感じた、AIに向き合うための基礎

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1. はじめに

はじめまして。普段は Enterprise Architect(EA) として、お客様のビジネス変革をアーキテクチャの側面から支援しています。

EAは、一言で言えば「経営戦略に沿ってIT環境のロードマップや設計を考える役割」です。特定のシステム開発や運用に閉じず、企業全体の ビジネス と 技術(アプリ・インフラ) を俯瞰し、全体最適の視点からDXを推進します。

今回は、非エンジニア寄りの立場にある私が AWS AI Practitioner を取得した背景と、学びを通じてEAとして何が変わったのかを整理して共有します。

2. なぜEAにAIの知識が必要と考えたか

今日、AIはほぼすべての場面で話題に上がり、AIを抜きにビジネスを語ることは難しくなっています。お客様からの相談も、攻め(AIを使った変革)だけでなく、守り(運用効率化・コスト削減)まで幅広く増えてきました。ただ、EAとして全体最適を考える立場であるにもかかわらず、私は次のような点を判断する知識が不足していました。

・AI化に伴うリスク
・最適な投資判断をするためのコスト構造や評価方法
・AI導入後の運用や管理の実態

結果として、お客様への回答が抽象的になりがちで、限界を感じていました。そこで、まずはAIを「よくわからない強力なブラックボックス」ではなく、管理可能なリソースとして理解したい と思い、AWS AI Practitionerの取得を決意しました。

2. AWS AI Practitionerとは

AWS Certified AI Practitionerは、AI・ML・生成AIの基本概念とユースケースに関する知識を証明するAWS認定資格です。対象者は「AWSのAI/ML技術を活用するが、自分で構築まではしない職種」とされており、まさにロードマップ設計や提案を行うEAにフィットしていました。

3. 受験結果

学習方法は他の方が十分まとめられているため詳細は割愛しますが、私は Udemy やWeb上の模擬試験を中心に準備しました。無事に合格できましたが、本番では モデル評価方法やユースケースを問う問題が多く、思考力を問われた印象でした。
aws_result.png

4. EA視点で「学んで良かった」と思うポイント

①適材適所でAIサービスを選択できるようになった

取得前は「AI=自前でモデル訓練するもの(SageMakerのようなサービスでスクラッチ開発)」という認識に偏っていました。しかし学習を通して、以下の選択肢があることを体系的に理解できました。

・Bedrock によるマネージドなLLMが利用可能なこと
・Rekognition / Lexなどの用途特化型AIサービスがあること
・フルスクラッチではなく、既存サービスを組み合わせる構成が有効であること

これにより、開発コスト・スピード・柔軟性のトレードオフ をアーキテクチャレベルで議論できるようになりました。

②AIガバナンスを議論できる基礎ができた

AI活用ではセキュリティ懸念が必ず話題になりますが、これまでは「なんとなく危険」という抽象的な議論に留まりがちでした。資格学習を通じて、例えば以下のような AI特有のリスクを体系的に理解できました。

・データプライバシー
・バイアス
・ハルシネーション
・モデルのドリフト

加えて、「責任あるAI」や「AIライフサイクル管理(AIOps)」の概念も学び、AI導入後の運用まで含めた組織標準を検討できる知識を得ました。

③投資対効果(ROI)の解像度が上がった

AI導入ではトークン課金や推論インスタンスなど、通常のシステムとは異なるコスト構造があります。これらを理解したことで、 以下のような観点でお客様と具体的に議論できるようになりました。

・どのフェーズでどんな費用が発生するのか
・どのサービスを選ぶとどんなコストメリットがあるのか
・効果検証のためにどんなKPIが必要か

④EAとしてのAI導入の役割を再認識した

以前は、業務部門が独自にPoCを行うケースも多く、AIは専門スキルが必要な「独立したコンポーネント」という印象があり、少し距離を感じていました。しかし、AIを効果的・安全に使うためには、

・データ基盤の構築
・接続インターフェースの設計
・モニタリングやガバナンス
・モデル管理の仕組み

など、全体設計(EA領域)が必要不可欠であることを実感しました。この気づきによって、AI導入支援へのモチベーションも大きく高まりました。

学習前後での視点の変化まとめ

AWS AI Practitionerを取得したことで、私のAIに対する視点を以下のようにアップデートし、一段上の視点でAIを見ることができるようになりました。

項目 取得以前の視点 取得後の視点
実現手段 専門家が自前でモデル開発する想定 目的に応じてAWSのAIサービスを適材適所で組み合わせる
リスク・管理  漠然と「危険そう」 ガードレール設計や監視により制御可能、責任あるAIの観点で議論可能
投資対効果 コスト構造が不明確 AIライフサイクル全体のコストを把握し、KPIで効果測定
EAの役割 AI導入は業務部門任せ AIが価値を出す全体構成を設計するのがEAの役割

5.今後の展望

今後は、今回得た基礎知識をもとに AIを前提とした業務フロー再設計を支援していきたいと考えています。単に業務の一部にAIを組み込むのではなく、AIが判断し、人間が承認を行い、全体フローを最適化するというように、業務そのものの変革を伴う支援ができるようなEAになりたいと思っています。

6.おわりに

AWS AI PractitionerはAWS資格ではありますが、実際には、AIの基礎概念、リスクとガバナンス、導入〜運用のライフサイクルなどを幅広く学べたため、EAにとって非常に有意義な資格でした。EAの使命は、お客様の「AIでビジネスを変えたい」という期待に対し、実現可能で一貫性のあるアーキテクチャを描くことです。今回の学習を通じて、AIに対する解像度を上げられたことは、今後の活動に大きく役立つと感じています。

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