この記事は NTTコムウェア Advent Calendar 2021 15日目の記事です。
スクラムマスター歴2年にしてようやく公式なコーチング研修を受けたので、その経緯・内容・学びをまとめます。
なんでコーチング研修を受けようと思ったか
- Devと1on1を不定期にやっているが、なかなか本人の行動につながらず、うまくいっている感じがしなかった
- RSGT2021にて、Zuziに煽られた
- "コーチングやファシリテーションのクラスを受けたことがあるというスクラムマスターは10%くらい。残り90%の彼らが成功する可能性はどのくらいあるでしょうか?"
- 引用) "Great Scrum Master" by Zuzana Sochova
- A-CSMにて、コーチングの重要性が語られていた
- スクラムマスターにとって最も重要なスキルの一つとして、コーチングが挙げられていた
選んだコーチング研修
-
銀座コーチングスクール(GCS)
- ここに決めた理由
- 同じ現場にいる、GCS認定コーチ取得済みのスクラムマスターから、良い評判を聞いていた
- 少人数制で、受講スタイルも柔軟に選べるところだった
- 無料体験講座を受けて、コーチの人柄や、内容に興味を持った
- ここに決めた理由
内容と学び
GCSはA~Dの4クラスに分かれており、2021年12月現在で、クラスBまで受講しているので、そこまでの内容と学びをまとめます。
コーチングとは何か
コーチングとは、「クライアント自身がやりたいこと、なりたい姿に気づき、自ら設定した目標の達成に向けてモチベーションを高めながら自発的に行動することを促すコミュニケーション技術」です。
コーチとクライアントの間の一連の対話を「セッション」と呼びます。
クライアントが話したことを自身で聞くことで、気づきを得られます。(オートクライン効果)
コーチとクライアントの間には何でも話せる信頼関係が構築できることが前提です。
- ここでの気づき・学び
- これまでやっていた1on1ではどうしても提案してしまうことが多かった(反省
- 本人の目標達成のためという目的を意識できていなかった(反省
コーチングが機能するために必要なこと
コーチングが機能するために必要なことはコーチングピラミッドにすべてが詰まっている気がします。
4つの階層から成り、自己基盤、コーチングマインド、信頼関係という土台があって初めてスキルのようなテクニックが機能するということが視覚的にも理解できます。
- ここでの気づき・学び
- 模範となるように自分自身も高めていかなきゃいけないという意識はなかったが、言われてみれば確かにそういう人の方が説得力あるなぁと
- いや、お前に言われたくないわってならないように気を付ける
スキル
主に4つの基本スキルがあり、セッションの中で意識的に使っていきます。
つい方法や例に目が行きがちですが、
特に目的を意識することで効果的に用いることができると思います。
スキル | 目的 | 方法 | 例 |
---|---|---|---|
認める | 相手に安心して話してもらう | 1.受け止める 2.反応する 3.リフレイン |
「なるほど」 「そうなのですね」 「うれしかったのですね」 |
聴く | 相手に気持ちよくたくさん話してもらう | 1. ペーシング 2. 接続詞を使う 3. 沈黙する 4. 要約する・言い換える |
「それで?」 「つまり●●ということですか?」 |
質問する | クライアントの中にあるものを引き出す | 1. オープンクエスチョン 2. チャンクダウン 3. 視点を変える |
「他には何がありますか?」 「何が妨げになりましたか?」 |
フィードバックする | クライアントの気づきを促す | 1. 感じたことを「Iメッセージ」を用いて、伝える | 「私には●●のように感じますが、いかがですか?」 |
- ここでの気づき・学び
- 傾聴の姿勢を新人研修で教え込まれたので、認めるスキルは使えていると思う
- 特に、フィードバックするスキルは足りない(気づいてもこれ言っても大丈夫かなと躊躇してしまう
- 足りないところはセッション演習で特に意識して、実践していかないと自分のものにできなそう
ストラクチャー
コーチングセッションの構成をストラクチャーと呼びます。
必ずしも順番通りすべてをやる必要はないですが、構成を意識することで効果的なコーチングを行うことができます。
モード | 例 |
---|---|
ラポールモード | 「私は●●さんを全力で応援するので、何でも話してください!」 |
発見モード <目標設定> |
「●年後どうなっていたいですか?」 「目標を達成したら、どんな表情をされていると思いますか?」 |
発見モード <現状把握> |
「現状はどこまでできていると思いますか?」 「どのような経験が活かせると思いますか?」 |
発見モード <プロセス設定> |
「どのような行動が必要ですか?」 「いつからやりますか?」 「次のセッションまでに何をしますか?」 |
行動モード | 「やってみてどうだったか次回教えてください!」 |
- ここでの気づき・学び
- どこまで目標を明確化するべきか。どこまで広げるべきか。ついついもっとこうした方がいいと思ってしまう。などなどやってみると非常に難しい
- 特に自分は、目標設定で"あるべき姿"ではなく、状況がどうなっていたらいいかや成し遂げたい事柄(例:売上達成)に目を向けてしまうクセがある。そうすると、クライアント自身の行動に結びつきづらいことを演習で実感した。
おわりに ~これまでの研修をふりかえって~
- 研修内では何回もセッション演習があり、その度に自分の経験を棚卸しさせられました。頭は疲れますし、ネタ切れになりそうになりますが、不思議と気づきを引き出してもらえました。
- 多くの演習を通じて、特に自分に足りないのは、相手のすべてを感じ、それを伝える勇気を持つこと、本人の力を本気で信じること、だと感じました。それらの土台が揺らいでいるとセッションもうまくいかないということも実感することができました。
- もし、本記事を見てコーチング面白そうだなと思われた方は、ぜひプロコーチの研修を受けてみてください。気づきや学びがたくさん得られると思います。
引用元
- 銀座コーチングスクール テキスト
- イラスト