結論:
改正下請法 × フリーランス取引適正化法 = “強気の単価交渉” がスタンダードに!
本記事では 5 つのなぜ? を回しながらポイントを掘り下げ、これからの高還元 SES の戦略を考えます。
1. はじめに
高還元 SES(還元率 70〜80%)は「単価=売上」「還元率=粗利構造」を極限まで透明化したビジネスモデルです。
2025 年の法改正により、値決めプロセスが制度的に守られる 今こそ、交渉の枠組みをアップデートしましょう。
2. 「30 秒」でわかる改正ポイント
改正トピック | 施行 | インパクト | Why? (1st Why) |
---|---|---|---|
価格協議を拒否しちゃダメ | 2026/1/1 | 一方的な単価決定 NG 、明確な説明が必要 | 受託者の原価上昇リスクを是正 |
手形払いはダメ | 2026/1/1 | 手形の換金にかかる日数をカット、キャッシュフロー好転 | 資金繰り先送り慣行を排除 |
従業員数で適用 | 2026/1/1 | 資本金トリック(資本金を少なく見せて中小企業に見せかける方法)封じ | “見かけ中小” 発注者を規制 |
3. 「5 つのなぜ?」 で深掘る高還元 SES が有利なポイント
-
価格協議拒否の禁止 → なぜ?
発注者が協議に応じない行為そのものが違法化 -
協議義務化 → なぜ?
交渉プロセスの証跡を残す書面(or 電磁的方法)交付が必須 -
書面義務 → なぜ?
単価の決定根拠が数字で残るため“情報の非対称性”が崩れる -
非対称性解消 → なぜ?
エンジニア原価を透明化できる高還元 SES がロジックで優位 -
ロジック優位 → なぜ?
適正マージンを説明しやすく、強気で単価アップ交渉 が通りやすい
4. 単価交渉フレームワーク(テンプレ)
-
原価積み上げ
- 人月あたり報酬
- 福利厚生・社保・営業費
-
バリューベース上乗せ
- 生産性係数 × 10〜20%
-
競合比較
- 派遣平均単価 vs SES 単価
-
リスクプレミアム
- 長期契約割引 ↔ 短期追加費用
-
法令チェック
- 改正下請法適用確認
- フリーランス法 60 日支払義務
5. リスクと代替案
リスク | 対策 | 代替案 |
---|---|---|
単価交渉行き詰まり | 第三者同席交渉(取引課・下請Gメン等) | 年度レビュー条項 |
キャッシュフロー逼迫 | 手形禁止前倒しを提案 | ファクタリング(ただし改正法の要件確認必須) |
交渉コスト増大 | SaaS 型契約管理で証跡自動化 | 弁護士ドキュメントレビュー |
6. まとめ
- 法改正=交渉力の制度的補強
- 高還元 SES はロジック透明性を武器にレートアップ
-
5 つのなぜ × フレームワーク
これらを活用して“納得感のある金額”を提示しましょう。
Next Action
- 自社平均還元率と派遣平均単価を突き合わせる
- 改正条文に沿った契約テンプレを整備
- 価格交渉促進月間(毎年 3 月 / 9 月)で実地運用し、KPI をモニタリング
物価上昇の激しい昨今、法改正も始まっているところから報酬もより良くするための情報収集は不可欠です。
委託者とバトる必要はありませんが、不当に扱われていたのであれば健全な取り引きを行うことは大切ですね。
参考文献・出典
- 改正下請法・下請振興法の概要資料(2025-05-16 公表)
- 下請法・下請振興法改正法案の要綱(手形払い禁止・従業員基準追加)
- 「下請法等改正法案」が閣議決定されました(経産省ニュースリリース, 2025-03-11)
- フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタート!(厚労省リーフレット, 2024-11-01)
- フリーランス取引適正化法 ― 義務一覧(60日以内支払い 等)
- 価格交渉促進月間フォローアップ調査結果(2024-06-21)
- 価格交渉促進月間 施策ページ(2025-04-21 更新)
- SES還元率の正しい計算方法を徹底解説(SES企業還元率研究所, 2025-02-21)
- 令和4年度 労働者派遣事業報告書(厚労省速報)