RaspberryPiを使っておうちKubernetesを構築するのが最近流行っていますね。
こちらの記事のように、積層式のケースを利用してラズパイをタワーのように重ねて作るのが通例となっているようです。
3日間クッキング【Kubernetes のラズペリーパイ包み “サイバーエージェント風”】
ちなみに、おうちKubernetesを使って私が何を目指そうとしているのかについてはこちらの記事も見ていただけると幸いです。
死んだ猫を蘇らせたい KAYAC engineers' blog
どうも納得がいかない
おうちKubernetesを作ってみると、なかなか愛着が湧いて楽しいです。
ただ、愛着が湧くだけに、今のおうちKubernetesの姿についてどうも納得がいかない面が出てきました。
- タワー型で重心が高いため、安定しない
- ケーブル類が剥き出しでごちゃごちゃしているのが煩わしい
- 屋上に乗せた猫もイマイチ収まりが悪い
積層式のラズパイケースといえど、その実態はアクリル板を積み重ねただけ。デスクトップPCで言えば、マザーボード剥き出しで運用しているのに近しいのではないか?と思うようになりました。
ならば、積層式ケースがすっぽり収まるような箱を作ればいいのではないか、と思い至りました。同じような発想でラズパイクラスタのケースを自作している人はいないかな?と検索してみましたが、ケース自作自体を考えた方はおられたようですが、積層式ケースを箱にすっぽり収めるという発想ではありませんでした。
周りと差をつけよう!Kubernetes 型 Raspberry Pi クラスタケースのつくりかた
ならば全て自分で設計するしかない。
ケースの設計
飾ったときの見栄えや、メンテナンス性の観点から、次のような要件を満たすケースを作ろうと考えました。
- 積層式のラズパイケースがすっぽり入り、ネジで固定できる
- 電源など、必要最低限のケーブル以外は箱の中に収まる
- 箱の全ての面を個別に取り外し可能である
- 中の様子が見えるように、前面は透明なアクリルとする
- フィギュアを置くスペースを確保し、かんたんに開閉できる扉を設ける
素材選び
当初は全面アクリルのケースとしようと思いましたが、100円ショップでMDF材が安く手に入ることを知ったので、前面のみをアクリルとし、その他の面はMDF材で制作することにしました。
前面のアクリルは、無印のこの仕切棚が不用品としてうちにあったので切り出して利用することにしました。
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4547315919833
設計図
ここでざっくりと設計図を書きました。積層式ラズパイケースがすっぽり入り、かつフィギュアを置くスペースを確保すると、だいたいB5ノートくらいの大きさの底面に設計すればよさそうでした。
アクリル板は、ヒンジを上部に設けて上に開く方式にしようと思います。自重で扉が閉まるので、扉のロック機構について考える手間が省けます。
部品同士のつなげ方は?
積層式ラズパイケースは、M3ネジの規格に合致するスペーサーが使われています。ラズパイケースの4本足に合うように底面の板に穴を開ければ、M3ネジでラズパイケースを固定できます。
MDF材同士の接着は、木工用ボンドで接着してしまうのが一番安上がりだと思います。しかし、中身の配線が複雑で、たまにメンテナンスする必要があるので、全ての部品を個別に取り外しできるようにしたいです。そのために一役買った部品が、プリント基板取付ブラケット「AXA-15-M3」という部品でした。
L字金具にネジ穴が搭載されているので、板に穴を開ければネジを回すだけで板同士の固定ができて、ケースのメンテナンス性もぐっと上がります。
その他、規格に合わせてネジ、ナット、ワッシャー、ヒンジをそれぞれ購入しました。
組み立て!そして完成
あとは設計通りに、ノコギリ、ドリル、ヤスリを持ってひたすら素材と格闘しました。レーザーカッターとかあれば楽でしょうけどね。
箱から飛び出すのは電源ケーブルのみ。求めていたのはこの気持ちの良さなんだ!!!!
素人がやってるので、随所に1ミリ前後の誤差が出てしまいましたが、なかなかに愛着の湧く代物となりました。
欠点
ケースの中には、上からpi51,pi52,pi53の順番でラズパイ本体を設置しています。このグラフの示すところは、ケースの中に熱がこもってしまい、しかも高い位置にあるラズパイには熱が寄ってしまっていることを意味します。本格的にやるならケースファンをつけるなり、熱対策をしろということですね。
おわりに
今回は、100円ショップで入手できるMDF材を主として、おうちKubernetesクラスタのケースを自作してみました。素人の作業ですが、中学の技術・家庭科レベルの知識と工具でじゅうぶんに制作できるものとなりました。
似た事例が国内でなかなか見つけられなかったぶん、手探りも多かったです。レーザーカッターを使って、高精度でデザイン性の高い物を作ってみたとか、熱対策を講じた設計をしてみたとか、そういうもっとすごいケースを自作する人が今後現れてほしいなあ、と思っています。
ラズパイクラスタをお持ちの方は外出自粛のこの時期にいかがでしょうか。