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サーバーワークスAdvent Calendar 2023

Day 17

CDKでLambdaをイメージとしてデプロイする

Last updated at Posted at 2023-12-16

まとめ

まとめを先に書きます。

CDKを用いたIaCプロジェクトから、コンテナイメージとしてLambdaをデプロイする事ができます。実際に試すことができるミニマムなコードを紹介します。

AWS LambdaにおけるCDKとコンテナの位置づけ

本記事のサンプルが狙うポイントの紹介ですが、既にご存じの方は次セクションへスキップしてください。

コンテナを利用する利点
カスタマイズ性が高いLambdaを開発できることと、イメージサイズの上限が高いことが挙げられます。Zipパッケージでは250MBが上限であるところ、イメージでは10GB1まで利用できます。大きめのpythonパッケージ2を使う場合には250MBは厳しい制約ですが、10GBであればOSレイヤーのサイズも含むとはいえ十分な自由度が得られます。

CDKを利用する利点
AWSのサービスを用いたワークロードのIaC3が上手にできるツールです。著名なプログラミング言語(TypescriptやPythonなど)でワークロード全体 (アプリケーションやインフラなど) を記述し、コードの実行によりデプロイや更新できます4。つまり、Python言語でLambdaそのものとLambda上で実行されるプログラムの両方を記述し、git上で一様に管理することができます。これにより、一例としてプログラムはきちんと変更管理をしているのに、実際にデプロイされたLambdaの設定変更は管理されていなかった…といった分断が予防されます。

利点の用例

次のようなケースをまるっとコードで取り扱えます。

開発環境

当記事の作成環境です。

cdkコマンドをインストール

$ npm install -g aws-cdk
$ cdk --version
2.114.1 (build 02bbb1d)
$

AWS Cliのプロファイル作成などの前提は下記デベロッパーガイドをご覧ください。

プロジェクト作成

CDKのサンプルアプリを新規作成します。ミニマムな例を示したいので、サンプルコードを改変する流れで紹介していきます。

$ cdk init sample-app --language=python
...
✅ All done!
$

初期状態では、以下のようファイル一式が作成されます。

$ ls
README.md  cdk.json              requirements-dev.txt  sample
app.py     requirements.txt      tests                 source.bat
$ 

Poetryを使う

当記事はPoetryを利用した状況での説明内容になっていますので、requirementsをPoetry経由でインストールします。

$ poetry init
$ poetry add $( cat requirements.txt )
$ poetry add --dev $( cat requirements-dev.txt )

今回、requirementsは使いませんので削除しておきます。

$ rm requirements.txt
$ rm requirements-dev.txt

Python仮想環境に入る

pythonパッケージをインストールし、仮想環境に入ります。aws-cdk-libがインストールされている事も確認しておきます。

$ poetry install
$ poetry shell
$ poetry show aws-cdk-lib
 name         : aws-cdk-lib                                        
 version      : 2.110.0    
...
$

Dockerfileを書く

Lambda のベースコンテナイメージが Amazon ECR リポジトリで公開されていますので利用します。ほかにも多数のバージョンや開発言語向けのイメージがありますので、ご興味がある方は次のドキュメントをご覧ください。

Dockerfile
FROM public.ecr.aws/lambda/python:3.11
# Install poetry
RUN curl -sSL https://install.python-poetry.org \
    | POETRY_HOME=/opt/poetry python \
    && cd /usr/local/bin \
    && ln -s /opt/poetry/bin/poetry \
    && poetry config virtualenvs.create false
COPY src/ ${LAMBDA_TASK_ROOT}/
COPY pyproject.toml poetry.lock ${LAMBDA_TASK_ROOT}/
# Install python packages without dev pkgs
RUN poetry install --no-root --no-dev
# CMD [ "sample.handler" ] # ★1

★1の CMD はコンテナイメージが起動対象とするLambdaのモジュールと関数名を指定する行ですが、次セクションでCDKのStack定義から指定しますので、Dockerfile内では無指定でOKです。

Lambdaのコード

処理は本記事の主題ではないのでこんにちは世界。

src/sample.py
def handler(event, context):
    return {"message": "Hello World!"}

Stack定義を書く

一つのLambda関数リソースだけを定義したシンプルなCDKスタック定義です。

sample_stack.py
class SampleStack(Stack):
    def __init__(self, scope: Construct, construct_id: str, **kwargs) -> None:
        super().__init__(scope, construct_id, **kwargs)
        # コンテナイメージを定義
        image_asset = aws_lambda.DockerImageCode.from_image_asset(
            cmd=["sample.handler"],
            directory=".",
        )
        # コンテナイメージ方式のLambda関数を定義し、利用イメージを指定
        aws_lambda.DockerImageFunction(
            scope=self, id="SampleFunction", code=image_asset
        )

aws_lambda.DockerImageCode.from_image_asset メソッドでは、どのLambdaで使うコンテナイメージのAsset一式を指定します。directory パラメータに与える値は、docker buildコマンドのPATHを指定することに対応します。cmd パラメータに与える値は、Dockerfileにおける CMD の指定に対応しており、先のDockerfile内でCOPYした src/ 配下の sample.py handler 関数が実行対象プログラムであることを示します。docker run コマンドの COMMAND オプション を指定することに対応します。

aws_lambda.DockerImageFunction メソッドでは、AWS上にプロビジョニングするLambdaリソースを定義しています。先のコンテナイメージを利用させる指定をしていますが、LambdaのTimeoutやメモリサイズなどLambdaリソースへのセッティングができます。

いずれのメソッドも、指定可能なパラメータ数が豊富ですね。

これは私感ですが、CDKの仕様からは、AWSサービスを広くモデリングして、AWSでできること全体をCDKでもIaCできるようにしようという意思を感じます。実際、CDKはそのカバー範囲の広さがAPIドキュメントからよく分かりますし、更新頻度やコントリビューションの活発さもあって頼もしいツールです。

Bootstraping Stackの作成

予め、bootstrap コマンドを一度だけ実行しておきます。

$ cdk bootstrap
 ✅  Environment aws://ACCOUNT_NO/REGION bootstrapped.
$

CDKを介してインフラやアプリケーションをAWS環境にデプロイするには、ブートストラッピングスタックと呼ばれる、リソースプロビジョニングを行ってくれる仕組みが介在します。デプロイ先リージョンのCloudformationスタックとして一度作成しておく操作が bootstrap コマンドです。

デプロイ

いよいよ、Lambda関数をCDK経由でデプロイします。

$ cdk deploy
...
✨  Synthesis time: 4.1s

SampleStack:  start: Building 
...
Step 1/4 : FROM public.ecr.aws/lambda/python:3.11
 ---> be5c629c78a6
...
1:21:11 AM | CREATE_IN_PROGRESS   | AWS::CloudFormation::Stack | SampleStack
...
✨  Total time: 70.32s

$

デプロイ結果の確認

Cloudformation Stacks

Cloudformation Stack Sample Stack としてデプロイされました。

image.png

ECR

ECR リソースが、 CDKToolkit スタックのリソースとして作られ、デプロイ対象のLambdaイメージの管理に利用されています。

image.png

LambdaのコンテナイメージはローカルPC上のDocker Serverでビルドされ、ECRにpushされてからLambda関数としてデプロイされているわけですが、CDKのAPIが一連のプロビジョニングからデプロイまでのプロセスを、Stack定義の記述だけで済ませられるようラップしてくれている点がGoodです。

Lambda

イメージデプロイされたLambdaが存在する事も確認できました。
image.png

テストも通りますね。
image.png

以後、DockerfileやStack定義を育てる過程で、前述の利点を享受し続けることになります。

余談&紹介

本記事は、私が所属しているAWSサービスプロバイダーの社内Slackで、アドベントカレンダーやろうぜ!と募集があり楽しげでしたので参加する形で執筆しました。カレンダーにはAWS関連の記事が主に投稿されていますので、ご興味がありましたらぜひ覗いてみてください。

余談まで読んでくださりありがとうございます。良い年末をお過ごしください。

  1. ただしZipパッケージとは異なり、イメージの場合はOSやミドルウェアレイヤーのサイズを含む上限です。Lambdaのクォータに関する仕様 - https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/lambda/latest/dg/gettingstarted-limits.html

  2. たとえばNumPyやSciPyのパッケージサイズは250MBを超えます - https://avilpage.com/2020/02/reduce-python-package-footprint.html

  3. IaCに関するAWSのホワイトペーパー https://aws.amazon.com/jp/what-is/iac/

  4. デベロッパーガイドの冒頭 https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cdk/v2/guide/home.html

  5. 環境要件にOracle Instant Clientのインストールが要求されるので、イメージデプロイが向いている

  6. extraモジュール独自の分類器もインストールして使いたい場合なども、イメージデプロイが向いている

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