0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

脱 IPアドレス管理!「ZPR」で実現する定時退社ライフ

0
Last updated at Posted at 2026-06-10

はじめに

この記事の概要
クラウド構築において、最も地味で、最もミスが許されず、そして最も面倒くさい「ファイアウォール設定」。
「IPアドレスが変わったので開けてください」「開発環境だけ許可してください」……終わらない変更依頼と、肥大化する管理Excel。

OCIの比較的新しい機能「Zero Trust Packet Routing (ZPR)」、通称ジッパーで、「IPアドレス管理」という呪縛から解き放たれました。

まずZPRとは…?
「『IPアドレス』を捨てて、『意図』でつなぐ。」
従来の「IPアドレス(192.168...)を許可する」というネットワークの言語ではなく、「WebサーバーはDBにつなぐ」という人間の意図だけで通信を制御できる点を表現しています。


CIDR計算をしたくない!

私はもう、CIDR計算をしたくありません。

インフラSIerとして働いていると、システムは生き物のように成長します。当初はWebサーバー2台、DB2台の平和な構成だったはずが、気づけばマイクロサービス化が進み、コンテナが増殖し、連携するサブネットは複雑怪奇に絡み合います。

「WebサーバーからDBへの通信を通す」。
言葉にすればたったこれだけのことなのに、我々インフラ屋がやることは泥臭い作業の連続です。

  1. Webサーバー群のサブネット範囲を確認する(10.0.1.0/24...だっけ?)
  2. DBサーバー側のSecurity List(またはNSG)を開く。
  3. Ingressルールに Source: 10.0.1.0/24, Port: 1521 を追加する。
  4. 後日、WebサーバーがAuto Scalingで別サブネットにも配置されることになり、通信エラーで呼び出される。
  5. 焦って修正する際、誤って本番以外のIPも巻き込んで許可してしまう。

「IPアドレスでセキュリティを制御する」には管理用のExcelシートは更新が追いつかず、実環境と乖離していく。「誰だ、このルール追加したの?」とひたすらにログを洗う…

「もっとこう、人間の言葉(インテント)で制御させてくれよ!」

そんな悲痛な叫びは、OCIのZPR (Zero Trust Packet Routing)が解決してくれました。

「意図」だけで守る、新しい快感

ZPRの概念を聞いたとき、最初は疑いました。
ゼロトラストなんて言葉は聞き飽きています。
しかし、実際に触ってみてたいそう驚きました。

ZPRを一言で言うなら、「IPアドレスを捨てて、属性(Attribute)で語るファイアウォール」です。

これまで私がやっていた設定作業
Source: 10.0.1.0/24 -> Dest: 10.0.2.5 Allow

ZPRでの設定作業
in App:Network VCN allow App:Web-Server endpoints to connect to App:Database endpoints

これだけです。本当に、これだけなんです。
※実際はもちろん、これにポート番号やサービス名を添えます

【画像:ZPRのポリシー設定画面】

スクリーンショット 2026-06-03 144123.png

スクリーンショット 2026-06-03 114530.png

スクリーンショット 2026-06-03 140717.png

IPアドレスが何であろうと、サブネットがどこであろうと関係ありません。
「このリソースはWebサーバーである」という属性(Security Attribute)さえ付与しておけば、あとはZPRポリシーという「文章」を書くだけで通信が制御されます。

この瞬間、私の頭の中にあった「巨大なネットワーク図」と「IP管理表」がガラガラと崩れ去り、代わりにシンプルな「相関図」が浮かび上がりました。

設定ミスという「人災」を根絶する

実際に、社内の検証環境でZPRを導入してみました。
効果は劇的でした。

まず、Security Listのルール数が激減しました。
ZPRの導入によって、NSGは「VCN内部の広めのセグメントでの通信許可」といったシンプルな管理に留め、アプリケーション間の厳密なアクセス制御はZPRの「意図」に任せることができて設定ミスの恐怖から解放されます。

これまでは、「192.168.1.0/24192.168.10.0/24 を見間違える」といった、あまりに人間臭いミスが常に隣り合わせでした。
しかし、ZPRなら間違えようがありません。

in App:Network VCN allow App:WebServer endpoints to connect to App:Database endpoints with protocol='tcp/1521'

このようにポリシーが自然言語(英語)に近い形で記述されるため、レビューの容易さが段違いです。インフラに詳しくないアプリ担当者が見ても、「ああ、WebからDBにつないでるんだな」と一目で分かります。

【画像:実際に記述したZPRポリシーコード】

スクリーンショット 2026-06-03 115550.png

「意図(Intent)」がそのまま「設定」になる。
これにより、私の体感ですが、ファイアウォール設定にかかる工数は半分以下、精神的な疲労度は9割減と言っても過言ではありません。

インフラ屋は、楽をしていい

OCIのZPRを触って痛感しました。
IPアドレスという物理的な制約に縛られず、本来やるべき「どのサーバーが、どこに繋がるべきか」という設計(デザイン)に集中する。それがこれからのインフラエンジニアの姿なのだと思います。

もしあなたが、数百行のSecurity List管理に追われ、深夜のアラートに怯えているなら
一度、その手を止めてOCIのコンソールを開き、ZPRを触ってみてください。

きっと、「今日は定時で帰ろう」と思えるはずです。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?