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誰でもプロンプトで作れる時代に、生産性とは何か —— 会社の全業務をAIに置き換え、人間を判断に専念させています

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Last updated at Posted at 2026-08-26

誰でもプロンプトで作れる時代に、生産性とは何か —— 会社の全業務をAIに置き換え、人間を判断に専念させています

上原正吉(EarthLink Network Co., Ltd.)。Claude Codeを開発の主体に据え、20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。これは、その現場の実測記です。

誰でもプロンプトで作れる時代に、生産性とは何か —— 会社の全業務を AI に置き換え、人間を判断に専念させています

プロンプトを入れれば、誰でも——それこそ子供でも——プログラムが書けるようになりました。

今までは、開発が速い人、コードをたくさん書ける人が「生産性が高い」とされてきました。でも、誰もが同じように速く作れるなら、その速さでは差がつきません。では、この時代に何をもって「生産性」と呼ぶのか。チーム開発は、これからどうなっていくのか。

答えはまだ、誰も持っていません。だから私たちは、会社(EarthLink Network)の全業務を実際に AI で回しながら、その答えを探しています。この記事は、いまのところの私たちの立ち位置です。

先に結論を置きます(本文の読了は約 5 分)。

  • 生産性の物差しが変わる — 「開発の速さ・バグの少なさ」ではなく、「判断の正しさ・判断の数」で測る時代になっていく
  • 実務は AI に、判断は人間に — 叩き台は AI が作り、送っていいか・その設計か・その料金かの最終判断を人間が持つ
  • 会社の全業務を AI 化する — 一人でやっているのではありません。普通の法人がやっている業務を、法人として全部 AI に置き換える取り組みです
  • チーム開発の意味を問い直す — 一人でも回せてしまう。でも大きな開発では分担が要る。その時代の「チームのノウハウ」とは何かを、実運用で探しています

なぜ「生産性」が問われ直しているのか

少し前まで、プログラムを書くには学習と経験が要りました。だから「速く正確に書ける人」に価値がありました。

ところが、プロンプトを入れれば動くものが出てくる。設計も、コードも、テストも、まず叩き台は AI が出します。作る速さそのものは、もう個人の腕で差がつくところではなくなってきました。

では、何が残るのか。AI が出した叩き台を、そのまま採用していいのかどうか。その判断です。速く作れることではなく、正しく判断できることに、価値の中心が移りつつあります。

チームは、要らなくなるのか

極端に言えば、Claude Code(AI にコードを書かせる開発ツール)でターミナルを何個も立ち上げて、人が途中で手を出さずにタスクを全部処理させていけばいい。人が処理の外に出る Human-Out-Of-The-Loop(人がループの外に出る運用)を突き詰めれば、一人でも相当のことができてしまいます。

でも、そこで話は終わりません。一つのプロダクトを複数の AI で同時に触ると、変更がぶつかります(コンフリクト)。ぶつからないように別々のプロダクトを触ると、今度はただの「個人開発」が増えていくだけで、それはチーム開発とは違う気がします。

だから、大きな開発ではやはり分担が要る。問題はその先です。

  • どういうチーム構成だと、AI 開発がうまく回るのか
  • その時代の「チームのノウハウ」とは、何を指すのか
  • 生産性のアウトプットを、どう見せればいいのか

これは、まだ答えの定まっていない問いです。「AI 時代のチーム開発」——これが、このブログを貫く大きな問いです。私たちは、それを会社の実運用で試しながら考えています。ただ、その中で一つだけ、はっきり見えてきたことがあります。価値の中心が、作る速さから「判断」へ移る、ということです。

私たちが実際にやっていること:会社の全業務を AI 化する

個人事業主が一人で全部やっている、ではありません。普通の法人企業がやっている業務を、全部 AI に置き換えようとしている——法人としての取り組みです。

やり方は単純です。まず一つの業務を自動化する。次にそれらを統合して効率化する。そして、その自動化を監視するツール、監視するツールを管理するツールを作る。これが入れ子で増えていきます。

たとえば、開発の実行そのものを自前のローカル LLM(大規模言語モデル)に寄せました。24 時間動かすと、クラウド AI の従量課金が毎月積み上がるからです。判断の中心を、外部サービスの課金に依存させたくなかった。ハードウェアを一度買って、実務はローカルで回す。人間は最終承認=判断だけを残す。

もう一つ。AI は平気で「完了しました」と報告します。でも、テストが通っても実機では動いていないことがある。だから「完了」を主張だけでは認めず、証拠が揃うまで完了扱いにしない品質ゲートを挟みました。完了を、AI の自己申告ではなく証拠で縛る。その証拠を見て最後に承認するのは、人間です。

こうして生まれたツールは、それ自体が目的ではありません。「新しい働き方を探す」過程で必要になって生まれた証拠です。一つの必要が、次のプロダクトを生んできました。

結論:人間は「判断するマシン」になる

ここまでを一つにまとめると、こうなります。

雑用——決められた手順のルーティンワークは、全部自動化したい。人間は、判断に専念する。これは「何もしなくていい」ということではありません。判断するだけに留めて、実務は全部 AI にやらせたい、ということです。

  • お客様対応で、「このメールの内容で送っていいか」を決めるのは人間
  • 「このアーキテクチャでいいか」を決めるのは人間
  • 「この料金体系でいいか」「この法律の文言でいいか」を決めるのも人間

では、叩き台は誰が考えるのか。AI が考えます。AI が作ったものを管理画面に書き込む、といった後始末も雑用です。そういうものを全部 AI 化していく。その先で、人間はどんどん「判断するマシン」になっていく。私たちは、そう考えています。

次世代の生産性は「判断の質と数」で測る

そうなると、生産性の物差しも変わります。

「開発の効率が良い」「バグが少ない」で測るのではありません。どれだけ正しく判断できたか。どれだけ多くの判断をさばけたか。次世代の生産性は、この「判断の質と数」で測る形になっていくのではないか、と考えています。

私たちは、これを机上の理屈ではなく、自社で実際にやっていることとして進めています。全業務の AI 化、人間は判断に専念、生産性は判断の質と数、そして AI 時代のチーム開発。このブログは、その模索の記録です。

まとめ

この記事では、いくつもの問いを立てました。誰でもプロンプトで作れる時代の生産性とは何か。チームは要るのか。会社の全業務は AI 化できるのか。次世代の生産性は、何で測るのか。

今この時点で、はっきり答えが出ているのは一つです。価値の中心は、作る速さから「判断」へ移りました。実務は AI に任せ、送っていいか・その設計か・その料金かの最終判断だけを人間が持つ。生産性も、開発の速さやバグの数ではなく、判断の正しさとさばいた数で測る形になっていく。

まだ答えが出ていないのは、その判断を大人数の開発にどう広げるか——「AI 時代のチーム開発」のノウハウです。私たちは、その答えを、会社の全業務を AI で回しながら探し続けています。

筆者について

上原正吉。EarthLink Network Co., Ltd. でAI開発をしています。2025年からClaude Codeを開発の主体に据え、今は20を超えるプロダクトを1人で同時に開発・運用しています。この連載では、その現場で実際に起きたこと(うまくいったことも、失敗も)を、数字と一緒に書いていきます。

また、AIで業務や開発を組み替えたい会社・チーム向けに、AI活用のコンサルティングも受け付けています。ご相談は www.eln.ne.jp からどうぞ。


EarthLink Network は、会社の全業務を AI で回すために、必要になったものを自社で作っています。いま作っているプロダクトの一覧と概要は、こちらにまとめています。

EarthLink Network が自社でつくっている18のプロダクト

会社と各プロダクトの詳細は、公式サイト www.eln.ne.jp をご覧ください。


🔗 この記事は Zenn に掲載した記事の再掲です。正規版(canonical)はこちら: https://zenn.dev/chooser/articles/what-is-productivity-in-the-ai-era

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