はじめに
2025年、GitHub Copilotは単なるコード補完ツールからAI開発エージェントへと大きく進化しました。本記事では、今年のGitHub Copilotにおける主要なアップデートと、開発現場での活用法について解説します。
GitHub Copilotとは
GitHub Copilotは、OpenAI Codexをベースに開発されたAIペアプログラマーです。コードエディタ内でリアルタイムにコード補完や提案を行い、開発者の生産性を最大55%向上させることが報告されています。
2025年の主要なアップデート
1. Agent Skills機能の追加(12月18日リリース)
2025年12月18日、Agent Skillsという新機能がGitHub Copilotに追加されました。これは、プロジェクト固有の知識やワークフローをCopilotに教えることができる画期的な機能です。
Agent Skillsの特徴:
- フォルダ内に指示やスクリプト、リソースをまとめることで、関連するプロンプトが入力された際に自動でロード・実行
- GitHub Copilot、GitHub Copilot CLI、Visual Studio Code Insidersのエージェントモードで利用可能
- Claude Codeで導入された概念をGitHub Copilotに標準化して実装
- コミュニティで作成されたSkillsを共有・利用可能
# Skillsディレクトリの例
.copilot/skills/
└── deployment/
├── skill.md # スキルの説明と指示
├── deploy.sh # デプロイスクリプト
└── config.yaml # 設定ファイル
2. Copilot Memory機能(12月19日プレビュー開始)
12月19日、GitHub Copilot ProおよびPro+ユーザー向けにCopilot memoryのパブリックプレビューが開始されました。この機能により、Copilotはコードベースから重要な知見を学習し、時間とともに支援の質を向上させることができます。
Copilot Memoryの利点:
- リポジトリ固有のコンテキストを継続的に学習
- コーディングとコードレビューの両ワークフローで共有されるコンテキストを構築
- チーム全体でより一貫性のある開発支援を実現
3. 複数AIモデルの選択と自動最適化
2025年、GitHub Copilotは複数のAIモデルをサポートし、タスクに応じた使い分けが可能になりました。
利用可能な主要モデル(2025年12月時点):
汎用モデル:
- GPT-4.1:多くのタスクで信頼できる初期選択肢
- Claude Sonnet 3.7:整った出力と書式への対応に優れる
- Gemini 2.0 Flash:低遅延で軽量作業に最適
- Grok Code Fast 1:コーディング特化、高速性が特徴
深い推論モデル:
- GPT-5:複雑な推論や技術的意思決定で高い安定性
- Claude Opus 4.1:多層的な推論と複雑課題に強み
- Claude Sonnet 4:厳密な出力指定や複雑な前提条件に対応
- Gemini 2.5 Pro:アーキテクチャ設計や大規模リファクタリングに対応
自動モデル選択機能:
9月15日、Visual Studio Code向けのGitHub Copilotに、モデルを自動選択する「Auto」オプションが追加されました。Autoモードでは、タスクに応じてGitHubが最適なモデルを自動選択し、Pro/Pro+ユーザーは10%の割引が適用されます。
4. エージェントモードとCopilot Editsの一般提供
2025年2月6日、GitHub CopilotについてエージェントモードやCopilot Edits機能の一般提供が発表されました。
エージェントモードの特徴:
- 自身のコードを反復してエラーを認識し、自動修正
- ターミナルコマンドを提案し、実行を促す
- ランタイムエラーを分析し、自己修復
- 要求されたタスクだけでなく、必要なサブタスクを推測して完了まで動作
Copilot Editsの特徴:
- 複数ファイルを対象に、会話しながらインラインで変更可能
- チャットとインラインチャットの長所を組み合わせた新しいUI
- 音声入力にも対応し、ペアプログラミングのような体験を実現
5. コーディングエージェント(Project Padawan)
GitHub Copilotのコーディングエージェントは、GitHub Issueに直接組み込まれており、Copilotにissueを割り当てるとエージェントの作業が始まります。
コーディングエージェントの機能:
- GitHub Actions上に安全でカスタマイズ可能な開発環境を自動構築
- 作業内容をドラフトプルリクエストへコミットとして随時プッシュ
- 進捗はエージェントセッションログで随時確認可能
- 完了後は開発者をレビュアーとして登録し、修正依頼のコメントを自動的に処理
セキュリティ対策:
- エージェントがpushできるのは自身が作成したブランチのみ
- エージェントが開いたPRは本人が承認できない仕組み
- インターネットアクセスはカスタマイズ可能なリストに制限
6. Copilot Spacesによるコンテキスト管理
Copilot Spacesは2025年9月に一般公開された、プロジェクトのコンテキストを中央集約する機能です。従来のCopilot knowledge basesに代わる次世代機能として登場しました。
Copilot Spacesの特徴:
- リポジトリ全体や特定ファイル、Issue、Pull Requestをコンテキストとして追加可能
- ローカルファイルやテキストも直接入力して追加できる
- 複数ソースを横断的に参照可能
- VS CodeからMCP Serverを通じて利用可能
7. カスタム指示の細かい制御
11月12日、GitHub Copilot向けにカスタム指示ファイルの新機能「excludeAgent」プロパティが追加されました。これにより、コードレビューエージェントやコーディングエージェントなど、各エージェントに対してどのカスタム指示を適用するか細かく制御できるようになりました。
無料プランの登場
2024年末から2025年にかけて、GitHub Copilot Freeという無料プランが登場しました。
無料プランの内容:
- 月2,000回までのコード補完
- 月50件までのチャット・エージェント機能(プレミアムリクエスト)
- 基本的なコード補完とチャット機能を体験可能
- 個人開発者や学習者向けの入門プラン
有料プラン:
- Pro:月額$10(年額$100)、無制限のコード補完とチャット
- Pro+:月額$39、最大級のプレミアムリクエスト枠と全モデルへのアクセス
- Business:月額$19/ユーザー、チーム管理機能付き
- Enterprise:月額$39/ユーザー、エンタープライズ向け高度な機能
プレミアムリクエストの仕組み
2025年5月から導入されたプレミアムリクエストは、高性能AIモデルを利用する際に消費される単位です。
プレミアムリクエストの消費:
- 基本モデル(GPT-4.1など):消費なし
- 軽量モデル(Gemini 2.0 Flash):0.25倍
- 高性能モデル(Claude Opus 4.1):10倍
- モデルごとに異なる消費倍率が設定されている
プランごとの上限:
- Pro:月300リクエスト
- Business:月300リクエスト
- Enterprise:月1,000リクエスト
- 追加購入:$0.04/リクエスト(2025年12月時点)
実践的な活用方法
1. Agent Skillsで開発ワークフローを最適化
# .copilot/skills/code-review/skill.md
# コードレビュースキル
このプロジェクトでは以下のルールでコードレビューを実施します:
1. すべての関数に JSDoc コメントを必須とする
2. エラーハンドリングは try-catch で統一
3. 命名規則は camelCase を使用
4. テストカバレッジは 80% 以上を維持
レビュー時は上記のルールに基づいて指摘を行ってください。
2. モデル選択の使い分け
- 日常的なコーディング:GPT-4.1またはClaude Sonnet 3.7(Autoモード推奨)
- 高速なスニペット生成:Gemini 2.0 FlashまたはGrok Code Fast 1
- 複雑な設計判断:GPT-5、Claude Opus 4、または o3
- アーキテクチャ検討:Gemini 2.5 ProまたはClaude Opus 4.1
3. Copilot Spacesでプロジェクト知識を共有
# プロジェクト固有のガイドラインをSpaceに追加
1. GitHub.comでSpaceを作成
2. コーディング規約ドキュメントを追加
3. 重要なIssueやPRを参照として登録
4. VS CodeからMCP経由でアクセス
まとめ
2025年、GitHub Copilotは以下の点で大きく進化しました:
- Agent Skillsにより、プロジェクト固有の知識をAIに学習させることが可能に
- Copilot Memoryで継続的な学習とコンテキストの蓄積を実現
- 複数AIモデルの選択により、タスクに応じた最適なモデル活用が可能
- エージェントモードで自律的なコーディングとデバッグが実現
- 無料プランの登場で、誰でもAI支援開発を体験できるように
これらの機能により、GitHub Copilotは単なる補完ツールから、開発プロセス全体を支援するAIエージェントへと進化しました。2026年以降も、さらなる進化が期待されます。