はじめに
2025年、AI支援コーディングツールの中で最も注目を集めたのがCursorです。この記事では、Cursorの概要から2025年の重要な出来事、実際の活用方法まで詳しく解説します。
Cursorとは
Cursorは、Visual Studio Code(VS Code)をベースに開発されたAI駆動型のコードエディタです。2022年に設立されたAnysphere社によって開発され、自然言語でのプロンプトを通じてコードの生成、編集、レビューを支援します。
主な特徴
- AIネイティブなコード補完: コンテキストを理解した高精度な補完機能
- 自然言語でのコード生成: チャット形式でコードを生成・修正
- コードベース全体の理解: プロジェクト全体を把握した上での提案
- マルチモデル対応: GPT-4、Claude、独自モデルComposerなどを選択可能
2025年の主要トピック
1. 史上最大級の資金調達を達成(11月)
2025年11月、CursorはシリーズDラウンドで23億ドルを調達し、企業評価額は293億ドルに達しました。この巨額の資金調達は、AI開発ツール分野では最大級のものとなりました。
投資家の顔ぶれ:
- 既存投資家: Thrive Capital、Andreessen Horowitz(a16z)、Accel、DST Global
- 新規投資家: Coatue、NVIDIA、Google
同社は年間売上高が10億ドルを突破し、数百万人の開発者と世界中の5万以上のチームにサービスを提供しています。特に注目すべきは、エンタープライズ向けの売上が2025年だけで100倍に成長した点です。
2. Cursor 2.0のリリース(10月)
10月末、Cursorは2.0バージョンをリリースし、独自開発の「Composer」モデルを導入しました。
Composerモデルの特徴:
- 同等の知能を持つモデルと比較して4倍高速で、ほとんどのタスクを30秒以内に完了
- コードベース全体のセマンティック検索を含む強力なツール群でトレーニングされており、大規模コードベースの理解と操作が大幅に向上
- エージェント中心の新しいインターフェース設計
このアップデートにより、開発者は複数のエージェントを並行して実行し、最適な解決策を自動的に評価することが可能になりました。
3. デバッグモードとビジュアルエディタの追加(12月)
12月10日、Cursorは「Debug Mode」を導入しました。これは、アプリケーションにランタイムログを組み込んで根本原因を特定する機能で、再現が困難なバグの修正を支援します。
同じく12月には、ブラウザサイドバーとコンポーネントツリーを備えた新しいビジュアルエディタが追加されました。この機能により、要素の移動、色の更新、レイアウトのテスト、CSSの実験をリアルタイムで行い、変更をエージェント経由でコードベースに即座に適用できます。
4. Graphiteの買収(12月)
12月19日、CursorはAI搭載のコードレビュースタートアップGraphiteの買収を発表しました。Graphiteは5年前に設立され、今年3月に5,200万ドルのシリーズB資金調達を完了していました。
買収の狙い:
Cursor CEOのMichael Truellは「過去2.5年間でCursorはプロダクションコードを書くことを大幅に高速化したが、ほとんどのエンジニアリングチームにとって、コードレビューは3年前と変わらない」と述べました。
Graphiteの特徴的な「スタックドプルリクエスト」機能により、開発者は承認を待たずに複数の依存関係のある変更を同時に作業できます。これは、AIが生成するコードの品質チェックとレビュー効率の向上に大きく寄与します。
5. エンタープライズ機能の強化
2025年末時点で、世界最大級のソフトウェア企業の多くがCursor for Enterpriseを採用しています。エンタープライズ版には以下の機能が追加されました:
- セッション分析: 各エージェントセッションのコードとコンテキストを分析し、バグ修正、リファクタリング、説明などの作業タイプを理解
- GitHub PR自動サマリー: GitHubでPRを作成すると、Bugbotが変更内容のサマリーを生成し、変更をプッシュするたびに更新
- プライバシー保護されたインサイト機能
Cursorの使い方
インストール
- 公式サイトからダウンロード
- アプリケーションをインストール
- APIキーを設定(OpenAI、Anthropic、または独自モデル)
基本的な使い方
1. チャット機能(Cmd/Ctrl + L)
// プロンプト例
「Reactで認証機能を実装してください。JWTを使用します。」
Cursorがプロジェクト全体のコンテキストを理解し、適切なコードを生成します。
2. インライン編集(Cmd/Ctrl + K)
コード上で直接指示を出し、その場で修正・生成できます。
# 選択してCmd/Ctrl + Kを押し
# 「この関数に型ヒントを追加してください」と入力
def calculate_total(items):
return sum(item.price for item in items)
3. コードベース全体への質問
「この認証システムのセキュリティ上の懸念点を教えてください」
Cursorはプロジェクト全体をスキャンして回答します。
Composer機能の活用
複数ファイルにまたがる大規模な変更に最適です。
「ユーザー管理システムを追加してください。
- models/user.py
- views/user_views.py
- templates/user/
を作成し、既存のapp.pyに統合してください」
Composerが複数ファイルを同時に編集・生成し、一貫性のあるコードを作成します。
実際の開発体験
メリット
- 開発速度の大幅な向上: シカゴ大学の研究によると、Cursorのエージェントがデフォルトになった後、企業はマージするPRの数が39%増加しました
- ボイラープレートの自動生成: 繰り返し作業を大幅に削減
- バグの早期発見: AIがコードレビュー時に潜在的な問題を指摘
- 学習効率の向上: コードの説明を求めることで理解が深まる
注意点
一部の開発者からは、頻繁なUI変更やバグについての懸念が示されています。特に以下の点が指摘されています:
- UI/UXが頻繁に変更され、再設定が必要になる
- 新機能追加を優先し、既存バグの修正が遅れる傾向
- 機能追加によるコスト増加の懸念
Cursorの料金プラン
- Free: 基本的な機能を無料で利用可能
- Pro($20/月): 無制限のAIリクエスト、高速なモデル選択
- Business($40/月): チーム機能、セキュリティ機能の追加
- Enterprise: カスタム価格、エンタープライズサポート
競合との比較
GitHub Copilot
- GitHubとの統合が強力
- ただしコードベース全体の理解はCursorが優位
Windsurf(Cognition)
- 2025年7月にCognitionが買収
- Devinプラットフォームとの統合を強化
Anthropic Claude Code
- CLIベースで軽量
- 9月時点で5億ドル以上の収益を計上
Cursorは独自モデル「Composer」とエンタープライズ機能で差別化を図っています。
2026年への展望
Cursorチームは今後数年で「世界がこれまでに見たことのない、最も有用で楽しく魅力的なコードエディタ」を構築することを目指しています。
調達した資金は以下に投資される予定です:
- フロンティアモデルのトレーニング強化
- 製品開発の加速
- エンタープライズ機能の拡充
- グローバル展開
まとめ
2025年のCursorは、巨額の資金調達、独自モデルComposerのリリース、Graphite買収など、AI開発ツール市場のリーダーとしての地位を確立しました。Fortune 500企業の大多数を含む5万以上のチームがCursorを利用しており、今後もAI駆動型開発の中心的存在として成長を続けることが期待されます。
開発者の生産性を飛躍的に向上させるCursorは、2025年を代表する技術スタックの一つと言えるでしょう。まだ試していない方は、ぜひ一度体験してみることをお勧めします。