静止画のアーキテクチャ図では、システムが「どう動いているか」の時間軸までは見えません。
個人開発で日本株のデータ検証基盤「ALPHA FORGE」を運用する中で痛感したのは、推論システムの真の難しさは「朝の予測」ではなく、「夜間の継続学習とモデルの世代交代」にあるという点です。
複数の機械学習モデルとLLMがどのように役割分担し、市場データを受け取り、自己進化していくのか。その一連の流れをより直感的に把握するため、Three.js を用いてブラウザ上でリアルタイムに動く 3Dシミュレーション を構築しました。
要約
- 10枚の静止画図解では見えにくかった「データ流入 ➔ 4大MLモデル並行推論 ➔ Claudeによる3値策定・リスク審査 ➔ 夜間の継続学習・昇格」の自律連携を3Dアニメーション動画化
- Gemini(生テキストの隔離センチメント解析)、地表の4大モデル(XGBoost/RF/LSTM/Transformer)、Claude(プロンプト隔離&数理審査・昇格承認)による堅牢な三層防御アーキテクチャ
- 予測台帳のイミュータブル記録、等調回帰(Isotonic Regression)によるAIの過信矯正、ウォークフォワード検証による未来リーク完全排除
※本記事は、note で公開した有料記事「【動画&3D版】ALPHA FORGE 全容 ― 日本株AIアルゴリズム『予測・検証・継続学習』の深層設計図」のアーキテクチャ設計と思想を、エンジニア向けにコンパクトにまとめたものです。
1. 3Dシミュレーションで可視化した「三層の自律連携」
推論・学習パイプラインは、以下の3層が自律的に連携するアーキテクチャをとっています。
[上空] ♊ Gemini(ニュースセンチメント解析・隔離LLM)
│ (数値・Enumのみ供給)
▼
[地表] 4大MLモデル(XGBoost / Random Forest / LSTM / Transformer)
│ (特徴量スナップショット & 数理スコア)
▼
[戦略ノード] 🟠 Claude(統合審査・3値策定・モデル昇格承認)
│
▼
[基盤台帳] SQLite(予測台帳・未来リーク遮断・決着記録)
上空の衛星:♊ Gemini(テキスト隔離レイヤー)
外部の生ニュース見出しを直接メイン推論(Claude)へ流し込むと、悪意あるプロンプト注入(間接インジェクション)のリスクが生じます。
そこで Gemini を隔離された「前哨ノード」として配置し、ニュース本文から抽出した客観的な数値(センチメントスコア・影響度)とEnumのみを後続に渡す設計にしています。
地表のハブ:4大MLモデル(定量的スコアリング)
株価データ・テクニカル指標・Gemini のセンチメント指標を受け取り、以下の4つのアルゴリズムが並行して確率スコアを算出します。
- XGBoost / Random Forest: 構造化データと特徴量の非線形相関
- LSTM / Transformer: 時系列のモメンタムと文脈依存パターン
戦略ノード:🟠 Claude(数理検証とガバナンス)
各モデルの数値を集約し、以下の3値を策定します。
- シミュレーション起点価格
- シナリオ無効化水準(損切相当)
- 想定レンジ上限(目標相当)
ここでサーバ側バリデーションにより、シナリオ無効化水準 < シミュレーション起点価格 < 想定レンジ上限 の整合性を厳格に強制します。
2. 予測台帳とAIの「過信矯正」
AIモデルの信頼性を担保するため、以下の2つの機構を中核に据えています。
① 未来リークを構造的に遮断する「予測台帳」
予測を出した瞬間の特徴量(Feature Snapshot)を SQLite にイミュータブル(更新不可)に書き込みます。
後からコードを書き換えても過去の予測データは一切改ざんできず、1〜3営業日後(短期)および20〜60営業日後(中長期)に機械的な決着判定を行います。
② 等調回帰(Isotonic Regression)による事後較正
学習済みの機械学習モデルやLLMは、「自信満々(確度90%)なのに実際の勝率は60%」といった過信に陥りがちです。
ALPHA FORGE では、過去の台帳実績をもとに等調回帰(Isotonic Regression)を適用し、出力確率を真の実測勝率へ事後補正(Calibration)しています。
# 事後較正(等調回帰)の概念イメージ
from sklearn.isotonic import IsotonicRegression
# 過去の予測スコア(raw_confidences)と実際の結果(actual_outcomes)で較正器を学習
calibrator = IsotonicRegression(out_of_bounds="clip", y_min=0.0, y_max=1.0)
calibrator.fit(historical_raw_confidences, historical_outcomes)
# 新規予測の確率を実測水準に補正
calibrated_confidence = calibrator.predict([raw_confidence])[0]
3. 夜間のモデル世代交代(Champion / Challenger)
市場の構造変化に対応するため、深夜バッチ(Celery Worker)で自動再学習とドリフト検知を行います。
- PSI(Population Stability Index)によるドリフト検知: 直近の入力特徴量分布と学習時データの乖離を監視。
- 影の挑戦者(Challenger)の育成: 新パラメータで学習したモデルを Shadow 推論で並走させる。
-
厳格な昇格ゲート:
- ホールドアウト検証で Champion を明確に上回る
- 較正誤差(Calibration Error)が悪化していない
- 直近のペーパー検証成績が非劣化
この全条件を満たした時のみ、Claude が昇格提案を発行し、人間の承認を経て Champion へ差し替えられます。
完全版の解説・3Dアニメーション動画・ソースコードについて
note で公開中の記事では、以下のリソースをすべてお届けしています。
- 🎥 Three.js による 3D シミュレーション完全版動画(フルHD 60秒)&ダイジェストGIF
- 🔬 プロンプト隔離境界、3値バリデーション、Isotonic較正、PSI検知の深層コード解説
- 💻 【購入者限定付録】ブラウザ上で自由に動かせる「3DシミュレーションHTML完全版コード」(そのまま手元で実行可能)
個人開発で本格的な機械学習パイプラインやLLM連携システムを構築したい方に向けて、ワンコイン(100円)で公開しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
⚠️ 【システム検証記録に関する免責事項・注意事項】
- 本記事は、独自開発アルゴリズム「ALPHA FORGE」の動作検証およびデータ分析過程を公開する技術・運用の個人的な記録ログです。
- 掲載されているすべてのデータ(各スコア、基準観測値、統計的変動上限、シナリオ無効化水準など)は、過去の市場データに基づき数式(ATR等)により機械的に算出されたバックテスト・シミュレーション用のパラメータであり、特定の有価証券の売買勧誘、取引の推奨、投資助言・代理行為を目的としたものではありません。
- また、将来の株価変動や運用成果を保証するものではありません。実際の投資判断および最終決定は、必ずご自身の責任と判断において行っていただけますようお願いいたします。