ExpressRoute GatewayのパブリックIPアドレスにBasic SKUを利用している場合はBasic SKUのパブリックIPアドレスが廃止される関係で2025年9月末までに移行が必要です。期限ギリギリですが移行を実施したので、結果を記録しておきます。
移行はMicrosoft提供の移行ツールを利用するのですが、可用性ゾーン対応のSKUへ移行するツールを流用しているらしく、可用性ゾーン対応SKUへの移行の章にBasic SKUパブリックIPアドレスの対応に関する情報が出てきます。(わかりづらい…)
移行の前提条件
こちらに前提条件がまとめられているので前提条件を満たしているか事前に確認します。
移行ツールの使い方
使い方はこちらにまとめられています。
移行ツールを使うと2個目の移行用Gatewayが自動作成され、切替ボタンを押すことでそちらに簡単に切り替えることができます。ExpressRouteの停止時間を短くできるため、基本的に移行作業はこの移行ツールを使うことが前提となるでしょう。
実際の移行結果
検証
移行ツールはExpressRoute Gatewayの[設定] > [Gateway SKU Migration]から操作します。
まずは検証フェーズです。検証ボタンを押すと移行前提を満たしているか自動チェックしてくれます。こちらは一瞬で終わります。
準備
検証が問題なく完了すれば移行先となるGatewayとExpressRouteとの接続設定を指定する画面が出てきます。
新しいGatewayの名前はデフォルトだと「<元のGateway名>_migrated」になります。こちらは名前を変えることができますが、元と同じ名前をつけることができません。
Gateway SKUは移行後のSKUを選択しましょう。
今回の移行対象であるGatewayのSKUはStandardです。Basic SKUのパブリックIPアドレスの対応をしたいだけなので、移行後もStandard SKUを選択しました。
新GatewayとExpressRouteの接続設定についても設定を調整できます。名前はこちらもデフォルトだと「<元の接続名>_migrated」になっています。
なお、少し前の情報を見るとここの画面で移行後のパブリックIPアドレスに関する指定をする項目があるのですが、ExpressRoute GatewayのパブリックIPアドレスはMicrosoft管理に仕組みが変更されたので項目自体が消えたようです。
参考:自動的に割り当てられるパブリック IP
各項目の設定ができれば、[準備]ボタンを押しましょう。新しいGatewayや接続設定がデプロイされます。ここは30分強かかりました。
トラフィックの移行
準備が完了したらいよいよトラフィックの移行です。こちらで新しいGatewayに通信を切り替えて通信確認をおこなっていきます。移行中に最大3分程度の接続断が発生するので、影響がないタイミングで実行します。
移行が完了すると以下のような表示になります。移行は4分ほどで完了しました。
コミット
通信確認で問題がないことが確認できれば移行をコミットします。コミットすると元のGatewayは削除されて切り戻すことはできなくなります。放置していると料金が倍取られていきますので、なるべく早くコミットするほうが良いです。コミット処理には15分ほどかかりました。
移行されていない設定の投入
おおよその設定は移行ツールが移行してくれるのですが、以下の設定は引き継がれません。移行後に新Gateway側で再設定する必要があります。移行前に設定を控えておき、移行後に設定の再設定・再確認を実施するのが良いでしょう。
- 診断設定
- Azure Monitorの監視・アラート設定
- 顧客定義のメンテナンス期間
参考:新しいゲートウェイの正常性を監視するにはどうすればよいですか?
その他注意点
VPN Gatewayでも同じような話があり、移行ツールが同じく提供されているのですが、ExpressRoute Gatewayの移行ツールと仕組みが異なるようで挙動が異なります。(例:新しいGatewayが作成されず移行できる等)
VPN Gatewayの移行も予定されている方は注意してください。