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はじめに

みなさん、こんにちは。今日はGoogle Cloudの監査ログ(Cloud Audit Logs)についてのお話です。公式ドキュメントでは少しわかりにくかった部分もあったため、個人的に悩んだポイントを含めて紹介していきたいと思います。

Cloud Audit logsとは

Cloud Audit Logsとは、Google Cloud上のリソースに対するAPI操作や各種イベントなどの情報を、監査ログとしてCloud Loggingへ記録してくれるサービス(厳密に言えばCloud Loggingの一機能)です。

人によってはAWSでいうところのCloudTrailに相当する機能ですよ、と言えばイメージしやすいかもしれませんね。

生成する監査ログの種類

Cloud Audit Logsで生成する監査ログは次のとおりに細分化されおり、他のクラウドサービスのようにユーザが明示的に有効化せずとも最低限おさえておくべき部分はデフォルトで取得してくれている印象です。

No. 種類 (ログ名) 概要
1 管理アクティビティ監査ログ (activity) VM作成やIAM権限変更などのリソースの構成やメタデータの変更(管理書き込み)をするAPI呼び出しに関するイベントを記録します。デフォルト有効で無効化はできません。
2 データアクセス監査ログ (data_access) リソースの構成やメタデータの読み込み(管理読み込み)をするAPI呼び出しに関するイベント、およびリソース上に保持するユーザ管理データに対するReadオペレーション(データ読み込み)/Writeオペレーション(データ書き込み)について記録します。BigQueryのみデフォルト有効、それ以外のサービスはデフォルト無効です。
3 システムイベント監査ログ (system_event) オートスケールなどの直接的なユーザ操作を伴わないリソース構成変更に関するイベントを記録します。デフォルト有効で無効化はできません。
4 ポリシー拒否監査ログ (policy) VPC Service Controlsで設定したセキュリティポリシーに違反し、拒否されたイベントを記録します。デフォルト有効で無効化はできませんが、除外フィルタを利用することでCloud Loggingに保存しないように設定できます。また、組織に属していないプロジェクトでは、VPC Service Controls機能自体が利用できないため本ログは生成されません。
5 アクセスの透過性ログ (access_transparency) サポート問合せなどを受けてGoogleスタッフがGoogle Cloudリソースに行った操作が記録されます。デフォルト無効で、組織に属していないプロジェクトでは有効化できません。

アクセスの透過性ログは、公式ドキュメント上では監査ログの扱いではありませんが、Cloud Audit Logs APIで取得するログのため、本記事では監査ログの1種類として扱っています。

生成した監査ログの保存先

Cloud Audit Logsのデータは次に示すCloud Loggingの所定のログバケットへ保存するようになっています。

No. バケット名 概要
1 _Required Cloud Audit Logs専用のログバケットで「管理アクティビティ監査ログ」、「システムイベント監査ログ」、「アクセスの透過性ログ」の保存先として利用されます。本ログバケットに格納されるログは課金対象外(無料)で、保存期間は400日間固定で変更はできません。
2 _Default Cloud Loggingのデフォルトログバケットで「データアクセス監査ログ」、「「ポリシー拒否監査ログ」に加え、さまざまなGoogle Cloudリソースログの保存先として利用されます。本ログバケットに格納されるログは課金対象(有料)で、保存期間はデフォルト30日間です。

法令順守などのために長期保存が必要な場合は、Cloud StorageやBigQueryへのデータエクスポートが必須となってきますのでその点ご留意ください。

監査ログの有効化方法

ここではユーザにて有効化/無効化の設定が可能な「データアクセス監査ログ」および「アクセスの透過性ログ」の有効化方法について説明していきます。

データアクセス監査ログ

データアクセス監査ログの有効化は、Cloud Consoleからであれば「IAMと管理」→「監査ログ」の画面にて、「すべてのサービスに影響を与えるデフォルトの監査構成の変更」と「サービス個別の監査構成の変更」の2つの設定方法があります。

01-audit-log-conf.png

2つの設定方法に共通して設定オプションとしては「管理読み取り」「データ読み取り」「データ書き込み」の3種類で、それぞれの設定項目は次のような内容となってます。サービスの種類や使い方によってはかなり大きなサイズになることが想定されるため、システムの要件にあわせ必要に応じて有効化するようにしましょう。

No. 設定項目 概要
1 管理読み取り
(ADMIN_READ)
Google Cloudリソースの構成やメタデータを読み取るオペレーションを記録します。デフォルト無効です。
2 データ読み込み
(DATA_READ)
Google Cloudリソースからユーザー提供のデータを読み取るオペレーションを記録します。デフォルト無効です。
3 データ書き込み
(DATA_WRITE)
ユーザー提供データをGoogle Cloudリソースに書き込むオペレーションを記録します。デフォルト無効です。

なお、次の表を見ていただくとわかる通り「デフォルトの監査構成」の方で有効化するとサービス個別には無効化することはできないため、一部のサービスだけ無効化したいといった場合はやや大変ですがサービスごとに有効化する必要があるのでご注意ください。

No. デフォルトの監査構成 サービス個別の監査構成 結果
1 「有効」に変更 「有効」に変更 監査ログを取得する
2 「有効」に変更 「無効(デフォルト)」のまま 監査ログを取得する
3 「無効(デフォルト)」のまま 「有効」に変更 監査ログを取得する
4 「無効(デフォルト)」のまま 「無効(デフォルト)」のまま 監査ログを取得しない

アクセスの透過性ログ

アクセスの透過性ログの有効化は、Cloud Consoleからであれば「IAMと管理」→「設定」の画面にて行うことができます。詳細については公式ドキュメントをご参照ください。

なお、「生成する監査ログの種類」で述べたとおり、組織に属していないプロジェクトについてはアクセスの透過性ログを有効化することはできませんのであしからず。

監査ログの参照方法

監査ログはCloud Loggingに保存されていますので、Cloud Consoleの「ロギング」→「ログエクスプローラ」から参照できます。

02-print-audit-log.png

Cloud Loggingへの保存期間が過ぎたものについてはこの方法では参照することができません。保存期間を過ぎたログも含めて参照するには、このあとの長期保存方法にてエクスポートした監査ログを用いてBigQueryなどから参照する形になりますのでその点ご承知おきください。

監査ログの長期保存方法

生成した監査ログの保存先」で記載したとおり、Cloud Loggingへの保存期間は一部を除いて変更ができないため長期保存のためにはエクスポートし、別のストレージサービス(Cloud StorageやBigQuery)にて長期保存をしていく形になります。

監査ログのエクスポート方法については、Cloud Loggingのログルーターとシンクという他のストレージサービスへログを転送する機能を用いて実現できます。

転送先にはCloud StorageやBigQueryの他にもさまざまな選択肢がありますが、法令順守のための長期保存といった要件があるならば、Cloud Storage(Archive)にエクスポートしてCloud Storageの保持ポリシー機能で指定した期間は変更も削除もできないように保護してくことをオススメします。

ご参考、監査ログを用いた不正監視

Google Cloudでは、Event Thread Detection(Security Command Centerの一部)というSIEMサービスが提供されています。組織に属していないプロジェクトでは利用できませんが、Google Cloud純正で実装していく際にはこちらを活用して行く形になってくるかと思いますので参考にしてみてはいかがでしょうか。

終わりに

いまさらの情報でしたがいかがだったでしょうか。こんな記事でもだれかの役に立っていただければ幸いです。以上、「Google Cloud監査ログ(Cloud Audit Logs)の構成および長期保存について」でした。


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