はじめに
GitHub Copilotは、VSCode上で使用できるコード生成AIです。
個人であれば月額10ドル、企業向けのBusinessプランでも月額19ドルと、比較的導入しやすい価格設定になっています。無料版もあるので導入のハードルは比較的低いです。
Enterpriseプランは39ドルかかりますが、ここまでの機能を必要とする企業は少ないと思います。
しかも、この低価格でありながら高頻度で新しい機能がPreview版として提供されており、新しい機能をいち早く試したい人にとっても魅力的です。
しかし、このPreview版で提供される機能を使用することには一つ落とし穴があります。
それは、収集されたデータがGitHub Copilotの学習に使用される可能性があるということです。
GitHub Copilotの設定にはオプトアウトの設定があるから大丈夫だ!と思う人もいるかもしれません。しかし、この設定はGA(一般提供)されているものに限ります。
本記事では、GitHub CopilotのPreview版を使用する際に注意する点をデータ収集と学習への利用の観点から解説します。
GitHub Copilot Preview版の利用規約について
Github CopilotのPreview(Public Preview、Technical Preview)版の機能を使用する際には、GitHub Pre-release License Termsに同意する必要があります。
第4条において、データ収集に関する以下の記載があります。
a. Consent to Data Collection.
The pre-release software may collect information about you and your use of the software, and send that information to GitHub.
GitHub may use this information to provide services, to improve our products and services, or for any other purpose permitted under the GitHub Data Protection Agreement or GitHub Privacy Statement.
Your use of the pre-release software operates as your consent to these practices.https://docs.github.com/en/site-policy/github-terms/github-pre-release-license-terms
要約すると、
- プレリリース版のソフトウェアは、あなたとソフトウェアの使用に関する情報を収集し、GitHubに送信する可能性がある。
- これらの情報はサービスの提供・改善に使用されることがある。
- プレリリース版の機能を使用する際にはこの規約に同意したものとする。
となります。
よって、Preview版の機能を使用すると、そのデータはGitHubによって収集され学習に利用されることがあります。
でもBusiness版だったら学習に使用されないんじゃないの?
確かに、Business版はオプトアウトの設定を有効にしていなくても、学習には使用しないと明記されています。
Copilot for Business also does not use your code to train the Azure OpenAI model.
しかし、GitHub Pre-release License Termsには以下の記載があります。
These terms apply to the pre-release software made available to you by GitHub. To the extent there is a conflict between these terms and any other Agreement you have with us, these terms govern.
https://docs.github.com/en/site-policy/github-terms/github-pre-release-license-terms
つまり他の記載と矛盾があれば、Preview版の機能を使用する場合はこの規約が優先されると書いてあります。
すなわち、Business版のオプトアウト設定はあくまでGAされた機能にのみ適用されると考えられます。
Preview版機能の確認方法
どの機能がPreview版であるかを確認する方法は2つあります。
設定から確認する
GitHubのCopilotの設定に行くと、Copilot policiesの中に設定項目があります。
この中で、PreviewとついているものはPreview版の機能です。
(私のアカウントはCopilot Businessで管理されているので各設定を変更できないようになっています。Businessに紐づいていなければ設定が変更できると思います)
以上を見ると、Claude 3.5 Sonnetの使用はPreview版となっています。分かりやすいですね。
サイト上で確認する
ここに載っていない機能については、GitHubのブログにある新機能の記事で確認することができます。
例えば、先日リリースされたプルリクのレビュー機能については以下の記載があります。
このように、public previewと書かれているので、この機能はPreview版であることが分かります。
なお、これらの機能については先程のCopilotの設定にある「Editor preview features」を無効化することで使用できないようにできます。
まとめ
本記事で述べたように、GitHub CopilotのPreview版を使用する際にはデータが学習されることがあるので注意が必要です。
しかし、GitHub CopilotのPreview版を使用できないとエディタとしての利便性はCursorやWindsurfのような新興エディタに劣ってしまうと考えています。
個人的にはGA版の範囲で使用するとGPT-4oまでしか使えないので、Claude 3.5 Sonnetが使用できないのはマイナスポイントだと思っています。
会社員などでなく、個人開発でデータが学習されることを許容できる人であれば無理にpreview版を無効化する必要はないと思います。