はじめに

ローカルで動作させるのkubernetes環境をできる限りクラウド上にあるクラスターと同一にするため、microk8sにIngressを導入してみる。

ローカル環境で動作するkubernetesとしてはminikube が有名だと思いますが、自分は microk8s を使っています。
また、Mac/Linuxの両方で同じように使いたいので、multipass を間にはさんでいます。

multipassを使ったmicrok8s環境構築に興味がある方はこちらの記事をどうぞ

注意点・前提条件

microk8sをインストールしたmultipassのインスタンスとして microk8s-vm を作成しています。
また、このインスタンスはこちらの記事で作成したもので、以下のようにして microk8s.kubectl のaliasとして kubectl が設定されています。

$ snap alias microk8s.kubectl kubectl

以下、特に断りがなければ例示しているコマンドはmultipassのゲスト環境（VMインスタンス内）で実行されたものになります。
ホスト側でゲストのコマンドを実行するには以下のようにする必要があります。
場合によって適宜置き換えて確認してください。

multipass exec <インスタンス名(microk8s-vm)> -- <ゲスト側のコマンド>

やってみる

multipassインスタンスにログイン

まずはホストからmicrok8sのあるゲスト環境に入ります。

$ multipass shell microk8s-vm

Ingressの `mandatory` リソースを作成

このリソース作成はどの環境、どのクラウドプロバイダーでIngressを使う場合でも共通です。

$ kubectl apply -f https://raw.githubusercontent.com/kubernetes/ingress-nginx/nginx-0.28.0/deploy/static/mandatory.yaml

`nginx-ingress-controller` をデプロイする

この設定はクラウドプロバイダーごとに異なりますが、microk8sではIngressアドオンを有効化するだけでよい。

$ microk8s.enable ingress

nginx-ingress-controller が存在するかチェック

$ kubectl get pods -n ingress-nginx
NAME                                        READY   STATUS    RESTARTS   AGE                                    
nginx-ingress-controller-5556bd798f-9gvqv   1/1     Running   0          55s

echoサーバーのServiceを作成

Ingressのルーティングを確認するため、appleサービスとbananaサービスを作成します。

# apple.yaml
kind: Pod
apiVersion: v1
metadata:
  name: apple-app
  labels:
    app: apple
spec:
  containers:
    - name: apple-app
      image: hashicorp/http-echo
      args:
        - "-text=apple"

---

kind: Service
apiVersion: v1
metadata:
  name: apple-service
spec:
  selector:
    app: apple
  ports:
    - port: 5678 # Default port for image

# banana.yaml
kind: Pod
apiVersion: v1
metadata:
  name: banana-app
  labels:
    app: banana
spec:
  containers:
    - name: banana-app
      image: hashicorp/http-echo
      args:
        - "-text=banana"

---

kind: Service
apiVersion: v1
metadata:
  name: banana-service
spec:
  selector:
    app: banana
  ports:
    - port: 5678 # Default port for image

以下のコマンドで、上記のリソースを作成します。

$ kubectl apply -f apple.yaml
$ kubectl apply -f banana.yaml

Ingressを作成する

いよいよIngressを作成します。

# ingress.yaml
apiVersion: extensions/v1beta1
kind: Ingress
metadata:
  name: example-ingress
  annotations:
    ingress.kubernetes.io/rewrite-target: /
spec:
  rules:
  - host: echo-server
    http:
      paths:
        - path: /apple
          backend:
            serviceName: apple-service
            servicePort: 5678
        - path: /banana
          backend:
            serviceName: banana-service
            servicePort: 5678

以下のコマンドで http://echo-server/apple をappサービスへ、 http://echo-server/banana をbananaサービスへルーティングするIngressが作成されます。

$ kubectl create -f ingress.yaml

動作確認

appleサービスへアクセス

$ curl --header 'Host: echo-server' http://localhost/apple
apple

bananaサービスへアクセス

$ curl --header 'Host: echo-server' http://localhost/banana
banana

ブラウザで表示する

ホスト環境のブラウザでIngressにアクセスするためには少し工夫が必要ですが、そこまで複雑ではありません。
以下のコマンドやファイルはすべてホスト側のものです。

multipassインスタンスのIPを取得

multipassのインスタンスに割り当てられたIPアドレスを確認します。
以下のコマンドで microk8s-vm のIPアドレスが 10.205.54.200 であることがわかります。

$ multipass info microk8s-vm
Name:           microk8s-vm
State:          Running
IPv4:           10.205.54.200
Release:        Ubuntu 18.04.3 LTS
Image hash:     ae2c9391b71a (Ubuntu 18.04 LTS)
Load:           0.15 0.11 0.10
Disk usage:     2.7G out of 38.6G
Memory usage:   720.8M out of 3.9G

`/etc/hosts` にecho-serverを設定

簡易DNSとして /etc/hosts に以下の1行を設定してください。

# /etc/hosts
...
echo-server    10.205.54.200

ブラウザで表示

資料

今回使ったファイルは以下にまとめています。

参考文献

https://matthewpalmer.net/kubernetes-app-developer/articles/kubernetes-ingress-guide-nginx-example.html
https://kubernetes.io/docs/concepts/services-networking/ingress/