はじめに
本記事は、Project Opal のブラウザー操作において、会員制 Web サイトのログインを自動化する方法を紹介します。
序章
Project Opal を使い始めると、比較的早い段階で次の問題にぶつかります。
※本記事では以降も、Project Opal と表記しますが、一部「Opal」と表記している箇所もあります。
「会員制サイトにログインできない」
AI エージェントは Web サイトへアクセスできますが、会員制などのログインが必要なサイトではそこで作業が止まってしまいます。
OPSM バージョン1 (OPSM1) のおさらい
私は以前、この問題を解決するために Entra Password SSO を利用した OPSM(Opal Password SSO Magic) という仕組みを考案しました。
これは、Project Opal が会員制サイトへ到達する際に必要となる認証を、自動化するための設計パターンです。
スマホからプロンプト指示のみで 会員制 Web サイト内のジョブを完結 | Project Opal の「サイトログインで止まる問題」を解決する設計(OPSM パターン)
https://qiita.com/carol0226/items/df8b3f93e6e975ca0fd0
OPSM バージョン2 (OPSM2) の概要
OPSM1 によって自動ログインを実現できましたが、一方で対応できないサイトも少なくありませんでした。
実は当時、私は別の方法も検討していました。
それは、Microsoft Edge の パスワードマネージャー を利用する方法です。
しかし、パスワードの同期や自動ログインをどうしても実現できず、最終的には断念していました。
ところが、その後 Project Opal の検証を続けていく中で、大きな転機が訪れます。
Qiita Tech Festa Day で Project Opal の登壇が決まり、デモを準備することになったのです。
せっかくなら、ブラウザー操作だけでなく、会員制サイトへのログインまで含めた一連の流れを見せたい。
そんな思いから検証を進める中で、ふと以前に断念した「パスワードマネージャー活用方式」のことを思い出しました。
当時は実現できずに諦めた方法でしたが、
「Qiita Tech Festa Day までに、どうしても自動ログインを見せたい」
そんな思いから、再検証を始めました。
すると、以前は何度試しても実現できなかった構成で、自動ログインの実現に成功したのです。
そこで本記事では、従来の Entra Password SSO を利用する方式を OPSM1、新たに Microsoft Edge のパスワードマネージャーを利用する方式を OPSM2 として、その構成方法と活用シナリオを紹介します。
一度は諦めた方法が、試行錯誤の末に実現できるようになった。
そんな Project Opal の検証記録として、ぜひ最後までご覧ください。
デモ動画
この手法を利用すると、以下のデモ動画のように会員制サイトへのログインを Project Opal が自動的に実施できるようになります。
※デモ動画は平均 10 倍速で再生しています。実際の処理時間とは異なります。
デモ動画で自動ログインを確認できるタイミング
- 1:50 ANA へ自動ログイン
- 2:47 ハピタスへの自動ログイン(CAPTCHA は手動)
- 3:55 楽天トラベルへの自動ログイン
[注意]
2026年8月時点の検証では、パスワード自動入力以外に、CAPTCHA、MFA、パスキーなどでは、追加のユーザー操作が必要になる場合があります。これは、パスワードマネージャー側の問題ではなく Project Opal の仕様です。そのような認証の場合は、ユーザー自身で操作する必要があると設計されています。なお、パスキーは、Project Opal のセッションが対応していないため、認証に使うことができません。
利用シーンと使い分け
今回紹介する OPSM2 は、多くの Web サイトで自動ログインを実現できる強力な方法です。
しかし、今後は常に OPSM2 を使えばよいというわけではありません。
私のおすすめは、まず OPSM1 の利用を検討し、OPSM1 で実現できない場合に OPSM2 を選択することです。
なぜなら、OPSM1 は認証情報を Entra 側で管理できるため、業務環境との親和性が高く、認証情報の統制もしやすいためです。
一方で、OPSM1 はログインできないサイトも少なくありません。そのような場合に、より広い範囲のサイトへ対応できる OPSM2 が有効な選択肢となります。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
| # | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| OPSM1 | Entra が認証情報を管理できる Entra で利用する場合のみに限定できる 業務利用との親和性が高い |
自動ログインできないサイトが多い |
| OPSM2 | 多くのサイトで自動ログインできる | 有人で Edge を使う場合と共通利用 業務用途では運用ルールの検討が必要 |
簡単に言えば、
- 業務用途なら OPSM1 を第一候補として検討
- OPSM1 で対応できないサイトは OPSM2 を検討
という考え方がおすすめです。
[注意]
OPSM2 を使う場合は、以下の点に注意してください。
・ 有人で利用しているアカウントが、AI でも利用できる
・ Project Opal 以外の環境でも、同じパスワードを利用することが可能
Project Opal で パスワードマネージャーを有効にする方法
Project Opal を展開すると、Opal App Device Policy という Intune ポリシーが自動作成されます。
このポリシーによって、Cloud PC 上の Edge に制限が掛かるような仕組みになっています。
Project Opal が作成する「Opal App Device Policy」の Microsoft Edge ポリシーを調べてみた
https://qiita.com/carol0226/items/bda8cd85f31bd75e4e63
このポリシーをカスタマイズし、パスワードマネージャーを利用可能にすることで、OPSM2 を実現しています。
カスタマイズの概要
Project Opal の既定のポリシーでは、以下の通り パスワードマネージャーが利用できません。
トグルを右側へ変更する必要がありますが、ロックされています。

そこで、パスワードマネージャーを利用できるようにするために、以下のポリシーを構成します。
| Intune 設定カタログ (下段は和訳) |
Edge ポリシー名 | Opal 既定値 |
|---|---|---|
| Disable synchronization of data using Microsoft sync services Microsoft 同期サービスを使用したデータの同期を無効にする |
SyncDisabled | Disabled |
| Enable saving passwords to the password manager パスワード マネージャーへのパスワード保存を有効にする |
PasswordManagerEnabled | Enabled |
所感
要件を満たすためには、上記の2つの設定変更で十分でした。
トライ&エラーを繰り返しても、デバイスへポリシーを適用する必要があったり、タイムラグがあったりするので、他にも縛り要件などによって、パスワードマネージャーの利用は不可能なのではないか・・・と思ってしまったことが、実現までに時間が掛かってしまった理由です。対応方法が分かってしまえば、簡単な設定で済むのです。
設定方法
1.Intune 管理センターを開きます。
2.デバイス > 構成 を開き、ポリシーの一覧から Opal App Device Policy を開きます。

3.ポリシーが開いたら、構成設定 の右隣にある 編集 を開きます。

4.Microsoft Edge の箇所を開き、以下の通り 2つの設定を変更します。

設定は以上で完了です。
続いて、Project Opal で検証を開始する前に、ポリシーを Cloud PC に適用しておきます。
1.すべてのクラウド PC を開いて、デバイスを1つずつ開きます。

これをすべての Cloud PC に対して実施します。
パスワードマネージャーの準備
もともと、Edge でパスワードマネージャーを利用している人は、本章は SKIP してかまいません。
以下のサイトを参考に、自動ログイン を構成するサイトの URL とアカウント+パスワードを登録しておきます。
https://explore.microsoft.com/ja-jp/edge/features/microsoft-password-manager
動作検証
Project Opal で、以下のような簡単なプロンプトを使ってテストを行います。
[プロンプト]
ANAのサイトにログインして、航空券の予約をしたいと考えています。
まずはサイトへログインして、待機してください。
予約内容は、そのあと指示します。
Cloud PC に接続され、以下のように自動的にログインが行われれば OK です。
うまく自動ログインが動作しない場合は、以下のプロンプトを使って Edge の同期を実施してみてください。
[プロンプト]
Edge のプロファイル欄を開いてください。
Sync is on を押し、下へスクロールしてから Re-sync を実施してください。
※または、Take control を使って手動で同期を試みたり、同期の結果を確認したりしてみてください。
以上が、Project Opal での自動ログインの方法です。
従来はログイン操作のたびに人の介入が必要でしたが、OPSM2 を利用することで、Project Opal が会員制 Web サイトへアクセスし、そのまま後続の作業へ進めるようになります。
実際に、ANA・ハピタス・楽天トラベルといったサイトで自動ログインを確認できており、Project Opal の活用範囲を大きく広げられるようになりました。
まとめ
本記事では、Project Opal の Cloud PC 上で Microsoft Edge のパスワードマネージャーを活用し、会員制 Web サイトへの自動ログインを実現する OPSM2 を紹介しました。
OPSM1(Entra Password SSO 活用方式)は認証情報を Entra で管理できるため業務利用との親和性が高く、まずはこちらを検討するのがおすすめです。一方で、OPSM1 では対応が難しいサイトに対しては、OPSM2 が有効な選択肢となります。
OPSM2 を活用することで、Project Opal がログイン後の操作まで継続して実行できるようになり、会員制 Web サイトを対象とした自動化の幅を広げられます。
Project Opal ではログインがボトルネックになるケースも少なくありません。会員制サイトの操作で行き詰まった場合は、ぜひ OPSM2 を検討してみてください。






