はじめに
このたび Copilot+ PC を購入しました。
"Surface Laptop 13 インチ Snapdragon® X Plus/16/1TB - オーシャン グリーン" というモデルです。
Snapdragon は NPU (Neural Processing Unit) を搭載しており、Copilot+ PC の AI 機能をローカルで実行することができます。従来の PC と比較すると消費電力が低く、バッテリー駆動時間が長い点も魅力です。
Copilot+ PC 対応デバイスの中では比較的購入しやすい価格帯であり、私も今回このモデルを選択しました。
実際に1週間程度使っており、Teams、Microsoft 365、記事執筆、さらには 登壇でもフル活用していますが、不具合や制限に遭遇することもなく、とても気に入っています。
ARM アーキテクチャについて
Snapdragon を搭載した Copilot+ PC は、従来の x64/x86 とは異なる ARM アーキテクチャで動作しています。
多くの一般的なアプリケーションは互換機能により動作しますが、一部のドライバやシステムレベルのソフトウェアについては ARM 対応版が必要になる場合があります。
特に以下のような製品を利用する場合は事前確認をおすすめします。
- プリンタドライバ
- VPN クライアント
- セキュリティソフト
- USB デバイス用ドライバ
- 古い業務アプリケーション
私が普段利用している Microsoft 365、Edge、Teams、OneDrive、Intune 管理機能などは特に問題なく利用できています。
この記事の全体像
この図では、① プログラムと機能で有効化 が必要と記載がありますが、公開情報には 将来的に ① は不要になるとの記載もあります(記事内で説明しています)

結論
Windows 11 Pro + Microsoft Entra Join 環境では、Recall は既定では利用できません。
利用するためには以下の2つが必要です。
- Recall オプション機能の有効化
- Intune ポリシーによる許可
本記事では、実際に Surface Laptop (Copilot+ PC) で 利用できるようになった手順を紹介します。
記事を書いたきっかけ
購入した機種は、Windows 11 Home Edition でしたが、所持している Windows 11 Professional のライセンスキーを投入して、即日 アップグレードし、Entra Join を実施してから使い始めました。
数日経過してから、さて Copilot+ PC の機能である、リコール を使いたいと思ったのですが、なぜか 使えません。ネットを漁ったり、Copilot に聞いたりしましたが、一向に解決策が見つかりません。
どうやら、エンタープライズマシンでは、既定で使えない・・・ということは分かったものの、使えるようにする方法が全く分からなかったのです。
そんな中で、知り合いの Windows and Devices & Security ダブル MVP の Tamai さんに相談したところ、すぐに解決することができました。
今回の記事で紹介する Recall は、Copilot+ PC の代表的な機能の1つです。
ですが、せっかく Copilot+ PC を購入したのに Recall が使えず苦戦してしまいました。
私と同様なパターンに陥った方が救われればと、記事にまとめました。
リコール機能 (Recall) とは?
Copilot+ PC だけが利用できる Windows の新機能です。
常時 利用中の PC の画面のスクリーンショットを撮り続けてくれており、後から 必要に応じて AI 機能で画面を呼び出し、再利用することを可能にします。しかも そのスクリーンショットから文字だけをコピペすることも可能です。Qiita 記事を執筆する筆者にとって、待望の機能なのです。
公開情報:リコールとは
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/manage-recall?wt.mc_id=MVP_407731#what-is-recall
ハマるパターン
購入したままの Copilot+ PC Windows 11 Home Edition であれば、問題なく リコール機能 を使えていたハズです(試してなかったけど)
ところが、以下の組み合わせでは、リコール機能 が使えないのです。
- Windows 11 Professional
- Microsoft Entra Join
なぜ、使えないのか?
Recall は個人利用向け機能として設計されています。
組織管理されたデバイスでは、画面のスナップショットを保存する性質上、既定で利用が制限されています。
そのため、エンタープライズな構成になると、Recall の UI やスナップショット機能が利用できない状態になります。
公開情報:Recall のポリシーを構成する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/manage-recall?wt.mc_id=MVP_407731#configure-policies-for-recall
注意事項
Recall は定期的に画面のスナップショットを保存します。
個人利用では便利ですが、
機密情報を扱う環境では利用ポリシーを十分に検討してください。
こういった背景が エンタープライズな環境では 既定で 無効化されている理由かと思います。
リコールのシステム要件
- セキュリティで保護されたコア標準を満たす Copilot+ PC
- 40 TOP NPU (ニューラル処理ユニット)
- 16 GB RAM
- 8 つの論理プロセッサ
- 256 GB のストレージ容量(Recall を有効にするには 50 GB 以上の空き領域)
- ユーザーはデバイス暗号化または BitLocker を有効にする必要があります
- 認証するには、少なくとも 1 つの生体認証サインイン オプションが有効になっている
解決策
Tamai さんから、以下の記事を教えていただきました。
この記事から年月が経過しているので、CSP ではなく、設定カタログで実施できるよ・・とのヒントもいただきました。
これをきっかけに、解決することができました。
Tamai さんにお礼をお伝えし、設定カタログ版の記事を書くことをお伝えしました!
設定カタログで エンタープライズな リコール を利用するための手順
以下の2段階で有効化します。
① プログラムと機能 で有効化
② Intune ポリシーで UI を許可
※私の環境では、上記、① と ② の両方を実施することで利用できました。
公開情報:取り消しポリシーとスナップショット ポリシーを許可する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/manage-recall?wt.mc_id=MVP_407731#allow-recall-and-snapshots-policies
リコールの呼び名
公開情報では、リコールのことを 取り消し と記載されている箇所があります。リコール、Recall、取り消し、呼び戻し などの呼び方が混在していて慣れるのに苦労しますが、いずれも同じものを指していると考えてください。
① プログラムと機能 で有効化
公開情報で 以下で説明されている説明に該当する作業です。
この記載では、将来的には 有効化させなくても大丈夫になる可能性がありそうですね。

以下の通り、GUI または コマンド のいずれかを実施します。
検証はコマンドベースで実施しています。
GUI の設定項目については参考情報として掲載しています。
GUI 編
コマンド編
Get-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Recall を実行してステータスを確認します。
初めは、以下の通り DisabledWithPayloadRemoved になっています。

DISM /Online /Enable-Feature /FeatureName: Recall というコマンドを実行します。

10.0% のまま、しばらく進捗がなく不安になりましたが、そのまま待っていると 100% まで進みました。

再度、Get-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Recall を実行してステータスを確認します。
State が Enabled になっていれば OK です。

② Intune ポリシーで UI を許可
PC 側での機能の有効化に加えて、Intune を使って UI を有効化します。
Tamai さんからヒントをいただいた 設定カタログ で実施できるよ・・に関する手順です。
Intune 管理センターを開き、設定カタログ から、以下の設定項目を選択します。
CSP : DisableAIDataAnalysis
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/mdm/policy-csp-WindowsAI?wt.mc_id=MVP_407731#disableaidataanalysis
CSP : AllowRecallEnablement
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/mdm/policy-csp-WindowsAI?wt.mc_id=MVP_407731#allowrecallenablement
ポイント
Disable AI Data Analysis という設定項目で、トグルは OFF になっていて、右側に Enable Saving Snapshots for Windows と書かれていて、ん? このトグルは、OFF が良いのか ON が良いのか迷います。
ここで、つい 設定を Enable に変えたくなりますが、そうではなく 既定値のまま が Recall を利用できるようになる設定です。
逆に ON にすると、管理者として 組織内で Recall を禁止する設定になります。
リコールの利用開始
前章の ① と ② の対応が完了すると、以下の通り リコールとスナップショット のメニューが表示されるようになります。

以下の通り スナップショットの設定 で オン に変更します。

以下の通り、生体認証 を実施します(生体認証が有効になっていないと リコールの設定は行えません)

Windows + J で Recall を起動
リコールを開始するためには、ショートカット Windows + J を実施します。

プライバシーへの配慮
記録されたスナップショットを閲覧するためには、生体認証 が必須となっており、他人に覗かれないようになっています。
機密情報のフィルター処理
機密情報のフィルター処理 という機能が搭載されており、以下の公開情報で説明されているような機密情報であると判断された場合には スナップショット の取得が制限(つまり保存されない)されます。
公開情報:リコールでの機密情報のフィルター処理に関するリファレンス
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/recall-sensitive-information-filtering?wt.mc_id=MVP_407731
フィルター処理するアプリ
以下の通り、アプリ選択することにより、そのアプリの利用中には スナップショット が記録されないように指定が可能です。

なお、上記の一覧に表示されていないアプリでも、検索窓に 任意のアプリ名を入力して指定することが可能です。
フィルター処理する Web サイト
スナップショットを取得させない URL を指定しておくことができます。

公開情報:アプリと Web サイトのフィルターポリシー
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/client-management/manage-recall?wt.mc_id=MVP_407731#app-and-website-filtering-policies
リコールの使用方法
タスクトレイのアイコンをクリックし、リコールを開く を行うことで、記録された スナップショット を参照できるようになります。ある程度 直感的に操作することができると思います。

明日まで一時停止 を使うことで、スナップショットを記録したくない場面で活用できます。
私も、まだ使い始めたばかりで便利に使ってはいますが、使い方を記事化するほどマスターしていません。
以下に、公式のユーザー向けの記事がありますので、こちらを参照してください。
3分の1程度読み進めると、「取り消しの使用方法」という章が見つかります。
まとめ
Windows 11 Pro + Microsoft Entra Join 環境では、Recall は既定では利用できません。
利用するために、私の環境では、
- Recall オプション機能の有効化
- Intune ポリシーによる許可
の両方が必要でした。
私自身、オプション機能の有効化までは辿り着いていたものの、
Intune 側の許可設定が必要なことに気付かず悩んでいました。
同じように Copilot+ PC を購入して Entra Join した方の参考になれば幸いです。
なお、本記事は個人所有の Copilot+ PC を Microsoft Entra Join した環境で検証しています。
組織で Recall の利用を許可する場合は、プライバシーや情報保護ポリシーとの整合性を十分に検討したうえで判断してください。










