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パッチオーケストレーションオプションについて

Last updated at Posted at 2021-07-11

Azure の仮想マシンを作成する際のオプションとして、パッチオーケストレーションオプション という設定があります。この設定によって、振る舞いにどのような差があるのかを調べてみました。
さらには、Azure で VM を展開した場合と オンプレミス(メディアからインストール)の場合で差がありました。これは 大変興味深い結果となっています。

検証してみて分かったこと

Azure仮想マシン作成時の規定値は、「OSによる自動処理(Windowsの自動更新)」です。
この設定は、新しい更新プログラムがあると、勝手にダウンロードされ OSの未使用時や再起動時に勝手にインストールが行われてしまいます。パッチセキュリティの観点では 常に最新が維持されますが、停止しておいた VM を起動した際に、更新が始まって 利用するまで待たされる・・という影響を受けます。
私も、すぐ使いたいのに、RDP接続ができずに待たされてイライラした経験があります。

上記の動作が好ましくない人は「手動」に設定しておいた方が良いでしょう。ただし、セキュリティが心配ですので、適宜 手動でパッチを適用してください。

オンプレミス環境へインストールした Windows Server の場合は、上記のどちらの構成とも違う動作となります。新しい更新プログラムが見つかると、自動でダウンロードが行われて、利用者へ通知が行われます。基本的には、利用者の指示によってインストールされるようになっています。
このため、Windows Update の適用されるタイミングが オンプレミスのOS と AzureVM とでは違っている点に注意が必要になる事が判りました。

設定する場所は どこにあるのか?

パッチオーケストレーションの設定は、Azure Portal で 仮想マシン作成時の「管理」タブの一番下にあります。
image.png

パッチオーケストレーションオプションで設定できる値は、以下の通りです。
image.png
(1) OSによる自動処理(Windowsの自動更新) = (English : AutomaticByOS)
(2) Azure オーケストレーション(プレビュー)= (English : AutomaticByPlatform)
(3) 手動で更新 = (English : Manual)
(4) イメージの規定値 = (English : ImageDefault)

上記のうち、標準で選択が可能なのは (1) と (3) です。今回は (1) と (3) の違いを見ていきます。
(2) は、「可用性優先のパッチ適用」とも呼ばれていますが、この機能は別の機会に解説したいと思います。(4) は、OS が Linux の場合の選択肢です。

詳細は、以下の公開情報に記載されています

【パッチオーケストレーションのモード】
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/automatic-vm-guest-patching#patch-orchestration-modes

【可用性優先のパッチ適用】
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/automatic-vm-guest-patching#availability-first-patching

仮想マシン作成後 に差がみられた箇所

(1) OSによる自動処理(Windowsの自動更新)と (3) 手動で更新 のそれぞれで 仮想マシンを作成して、違いを見てみたところ、以下の3か所に違いが見受けられました。

  • サーバーマネージャーの Windows Update 欄の表記
  • 設定(歯車アイコン)から、更新とセキュリティ、Windows Update 配下の構成
  • レジストリ値

サーバーマネージャの表記

Azure:OSによる自動処理(Windowsの自動更新)(AutomaticByOS) および オンプレミスの OS

日本語:Windows Update を使用して更新プログラムを自動的にインストールする
English : Install updates automatically using Windows Update
image.png

Azure:手動 (Manual)

日本語:更新プログラムを確認しない
English : Never check for updates
image.png

設定(歯車アイコン)-更新とセキュリティ-Windows Update

下図の赤枠部分をクリックした際の設定画面です。
image.png

Azure:OSによる自動処理(Windowsの自動更新)(AutomaticByOS)

赤字で、「一部の設定は組織によって管理されています」という注釈が出ています。
この構成の場合は、パターン1~3 まで時系列に変化していきます。

パターン1:利用できる更新プログラムはありません

image.png
※「OSによる自動処理(Windowsの自動更新)」の設定でも、仮想マシン作成直後は この画面になっている時がありますが、暫く時間が経つと パターン2へ遷移します。

パターン2:利用可能な更新プログラム

新しい 更新プログラムの情報が検知されると、この画面になり、ダウンロードが行われます。
ただし、インストールは 即時には行われず 「アクティブ時間」で設定された時間帯を避けたタイミングや OSを再起動したときに自動的に行われます。
日本語:利用可能な更新プログラムと表示され、インストールの保留中、[今すぐインストール] ボタン
English : Updates available, Pending install, [Install now] Button
image.png

パターン3:最新の状態です

更新プログラムが全てインストールされると、この画面になります。
再び、新しい更新プログラムが検知されると、パターン2 の画面に遷移します。
image.png

Azure:手動 (Manual)

赤字で、「一部の設定は組織によって管理されています」という注釈が出ています。
手動の場合は、何もしなければ 更新プログラムは一切入りません。
日本語:利用できる更新プログラムはありません
English : No updates available
image.png
※この画面で「更新プログラムのチェック」を押してしまうと、チェック&ダウンロード&インストールが実行されます。このボタンを押さない限り、更新プログラムの導入は行われません。

オンプレミスの OS

「一部の設定は組織によって管理されています」という赤字の注釈が出ていません。
この点が、Azureから展開したサーバとの差異となっています。
image.png
※オンプレミスのマシンがインターネットに接続されていると、このあと 更新プログラムが自動でダウンロードされて、インストール待ちの状態になりますが、検証した環境は インターネットに繋がっていないので上記の画面になっています。ご承知おきください。

設定(歯車アイコン)-更新とセキュリティ-Windows Update-構成されている更新ポリシーを表示

下図の赤枠部分をクリックした際の設定画面です。
image.png

Azure:OSによる自動処理(Windowsの自動更新)(AutomaticByOS)

デバイスに設定されているポリシーは、以下の2つ
(日本語)
 - 更新プログラムを自動的にダウンロードし、指定されたスケジュールでインストールする
 - 自動更新オプションの設定
(English)
 - Automatically download updates and install them on the specified schedule
 - Set Automatic Update Options
image.png

Azure:手動 (Manual)

デバイスに設定されているポリシーは、以下の3つ
(日本語)
 - 自動更新を無効にする
 - その他の Microsoft 製品の更新プログラムの入手
 - 自動更新オプションの設定
(English)
 - Disable automatic updates
 - Get updates for other Microsoft products
 - Set Automatic Update options
image.png

オンプレミスの OS

この設定画面はありません。

レジストリ値

\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\AU

OSによる自動処理(Windowsの自動更新)(AutomaticByOS)

  • AUOptions = 4 (4 の場合は、自動的にダウンロードしスケジュールされている時間にインストール)
  • NoAutoUpdate = 0 (0 の場合は、自動更新を有効化)
    image.png

手動 (Manual)

  • AUOptions = 3(3 の場合は、自動的にダウンロードしインストールを通知)
  • NoAutoUpdate = 1(1 の場合は、自動更新を無効化)
    image.png

オンプレミスの OS

  • AUOptions = 3(3 の場合は、自動的にダウンロードしインストールを通知)
  • NoAutoUpdate = 未設定(未設定の場合は、規定値として 0 つまり、自動更新が有効化)
    image.png

【レジストリの設定値による動作の違い】
レジストリ値の詳細は、以下の公開情報を参考にしてみてください。

参考URL

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