はじめに
本記事では Microsoft Entra Hybrid Join 環境において、
FIDO2 セキュリティキー(パスキー)を利用して Windows へ
サインインする際に遭遇したエラーと、その原因・対処方法をまとめています。
エラーメッセージごとに発生条件を整理していますので、トラブルシューティングの参考にしてください。
前提条件
本記事は以下の環境で検証しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デバイス | Microsoft Entra Hybrid Join |
| OS | Windows 11 |
| 認証方式 | FIDO2 セキュリティキー |
| アカウント | Active Directory と同期されたアカウント テストによっては、あえて同期されていないアカウントを使っています |
| ドメイン | Active Directory Domain Services |
| クラウド | Microsoft Entra ID |
Hybrid Join の環境へ セキュリティキー (FIDO2) を使ってサインインできるようにする方法は、以下の記事を参照してください。
資格情報を確認できませんでした。(コード:0xc000005f、0x0)
クラウド専用ユーザーであることが原因の可能性があります。
ドメインコントローラー側にアカウントがありません。ドメインコントローラー側にアカウントが存在し、Entra 側へ同期されたアカウントを使ってください。

初回ログオンの際に発生するエラー
初回ログオンでは、Entra ID による認証だけでなく、ドメインコントローラー側のユーザー情報取得も必要になるため、両方への疎通が求められます。
一方で、一度サインインが成功した後は、Windows のキャッシュログオンの仕組みにより、同じ条件でもログオンできる場合があります。
インターネット接続なし、ドメコン疎通なし
この場合ですが、以下の2通りのエラーを観察しています。
一度でもサインインが行われていれば、以後は キャッシュログオン が可能になるのですが、初回ログオンの場合には、Entra テナント と ドメインコントローラー の両方との疎通が同時に満たされている必要があります。
インターネット接続あり、ドメコン疎通なし
Entra テナントとだけ疎通ができていると、メッセージが変わります。
この場合には、ドメインコントローラーとの疎通が無い状態のため、きちんと接続できているのかどうかを確認してみてください。
パスワードログオン、セキュリティ抑制時
管理者によって AD 側で、ユーザーアカウントのプロパティで、対話型ログオンにはスマートカードが必要 にチェックが入っている場合に、パスワードでログオンしようとすると、このエラーになります。
パスワードではなく、セキュリティキーを使ったログオンをするようにしましょう。
2回目以降のログオンでも発生するエラー
キーに資格情報が一切入っていない(PIN設定のみ+まっさら)
PIN の入力が求められ、正しい PIN を入力後に以下の画面になる場合があります。
これは、Entra ID のアカウントが このセキュリティキーには登録されていないことを示しています。
キーの取り違えが無いかを確認し、正しい Entra ID が登録されているキーを挿入してください。
※正しいハズなのにこのエラーが出る場合は、何らかの影響で登録した鍵が壊れているなども考えられます。再度 セキュリティ情報 (https://aka.ms/mysecurityinfo) の画面から再登録してみてください。
新品 リセット直後(PIN未設定)
PIN の入力さえ求められずに、以下の画面になる場合があります。
新品のセキュリティキーを挿入した場合に、こうなりました。
まずは、セキュリティ情報 (https://aka.ms/mysecurityinfo) の画面から Entra アカウントへセキュリティキーの登録を実施してください。
インターネット接続あり、ドメイン疎通あり、ドメインアカウント無効
Active Directory 上のアカウントを わざと 削除したり、ロックアウトさせると、以下の画面が表示されました。
これは Entra 側では きちんと アカウント情報と セキュリティキー を使った認証が成功しているのに、AD 側で弾かれている状態です。AD 側のアカウント状態を再確認してください。
PIN 入力成功した後に タッチせずに PIN を抜く
セキュリティキーでの認証は、PINを入力した後に、タッチ操作を求められます。その際に わざとタッチせずに キーを抜いてみました。すると このようなエラーが出ました。USB の接触が悪い場合などは、このエラーに遭遇することがあるかもしれませんね。
PIN 入力失敗(誤入力)
これは、わかりやすいエラーです。PIN が誤っているので、正しい PIN を入れましょう。
2回目以降ログオン、ドメコン疎通あり、ドメインアカウント無効、FIDO2
ログオン成功します。
これで良いのかどうかですが、2回目以降の セキュリティキーを使ったログオンの場合、ドメインアカウントが無効化されていても、ログオンに成功してしまいます。
そのため、管理者として 意図的にアカウントを無効化させる場合は、Entra アカウント側もケアした方が良さそうです。
※検証環境で観察した結果です。
※Windows のキャッシュログオン動作や PRT/チケット状態の影響を受ける可能性があります。
※環境によって結果が異なる可能性があります。
イレギュラーパターン
セキュリティキー利用後、Entra アカウント削除
セキュリティーキーを使って、Hybrid Join が可能になっている PC を使ってキャッシュログオンします。
あえて、この利用環境のユーザーの Entra アカウントを管理側で削除してみました。
すると、OS ログオンは可能ですが、SSO が機能せず、クラウドのサービスは利用できません。
すると、以下のエラーが発生します。
さいごに
Microsoft Entra Hybrid Join + FIDO2 サインインは、
Entra ID、Active Directory、Windows のキャッシュログオン、
そしてセキュリティキーの状態が組み合わさるため、
一見すると似たエラーメッセージでも原因が大きく異なる場合があります。
本記事で紹介したエラーの多くは、
「Entra 認証」
「Active Directory 認証」
「セキュリティキーの状態」
「初回ログオンかどうか」
の4つの観点で整理できます。
エラーメッセージだけを見ると難しく感じますが、どの認証フェーズで失敗しているのかを切り分けることで、原因をある程度は 絞り込むことができます。
本記事が切り分けの参考になれば幸いです。








