どんな内容か?
ANYCUBICの光造形プリンタ Photon-Sで、Cherry MX軸用のキーキャップを自作してみた話になります。
いままでも、KailhロープロファイルのキーキャップをCNCで自作してたりするのですが、MX軸のキーキャップは初めて作ったので、その時の苦労したことをまとめておこうと思います。同じように光造形プリンタでキーキャップを印刷するときには、なにかのヒントになれば幸いです。
印刷物
いつものFusion360でノーマル?な形のキーキャップをデザインしました。
画像ではわかり難いですが、キーをタッチする部分は、ゆるい凹みがあり一般的なキーキャップと同じように押しやすさに配慮したデザインとしています。この緩いカーブは、安価なFDM方式の3Dプリンタでは、出力残念な形状になってしまうので私の場合はいつもフラットにしてしまいますが、今回は光造形ということでなめらかなデザインとしました。
左がFDM方式の出力例の残念な方で、右が今回のSLADLP方式の出力結果です。ツルっとして綺麗ですよね?
軸受けのサイズは、ノギスで測定して大凡こんなサイズにしました。
※実は、途中で割れたりしたので最終的にこのサイズにしています。本来は、推奨サイズとかなにか目安となるものがあるのかもしれません。
利用したレジン
Amazonで購入した「ELEGOO 光造形3Dプリンター用 UVレジン 405nm 500g 水洗い樹脂 無臭 光硬化可能樹脂 LCD 3Dプリンター向け(白)」を使います。(もう売ってない)
購入時は半額キャンペーン?でお安く購入できた記憶がします。無臭とありますが、無臭ではないですし、そこそこ臭いはしますね。※私は普通レベルの鼻だと思います。
英語で、注意書きがいろいろ書いてあります。少し驚いたのは、温度20~25度で利用するように書かれています。なかなか厳しい制限ですね。
このレジンだけではないと思いますが、使用期限もありますので、レジンのストックはあまりよろしくありません。注意しましょう。(私の場合は、2020年12月まで)
レジン液のパッケージ箱には注意書きがいろいろかかれています。
少し翻訳しておきます。
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Shake up the bottle before usage and do not use resin in the environment with lots of direct sunlight.
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Do not drink and keep away from children.
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Please wear gloves and mask when using to avoid direct skin.contact and maintain indoor ventilation.
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If exposed please wash away with water immediately and if you feel discomfort please see a doctor ASAP.
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Once the resin model is printed out please wash it with high-concentrated ethanol (95% degree recommended, the higher the better) for 30 seconds at least.
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Please do not put the resin in the slot back to the unused resin.
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Please do not keep resin in the slot for a long time if you don't use them.
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使用前にボトルを良く振り、直射日光では使用しないでください。
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飲んだり、子供の手に触れないように注意してください。
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直接皮膚に触れないように使用し、室内の換気を十分にして手袋とマスクを着用してください。
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皮膚に触れた場合は直ちに水で洗い流し、不快感を感じた場合は早く医師に相談してください。
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モデルが印刷されたら、高濃度のエタノール(95%程度を推奨、高いほど良い)で少なくとも30秒間洗浄してください。
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レジンタンクに残ったレジンを未使用の本体に戻さないでください。
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レジンをしばらく使用しない場合は、レジンタンクで長期間保管しないでください。
あれ?箱は、水洗いレジン用の説明とは違うのかもしれませんね。まあ、海外製品あるあるなので細かいことは気をせずに使いますが、安全には気を付けてつかいます。
水洗いといってもレジンなので、手袋とマスクは使用しましょう。手袋は使い捨ての100枚で600円くらいのゴム手袋が便利です。(私はモノタロウで購入してます。)
ニーズは少ないと思いますが、こんな感じの粘性です。レジンタンクに投入した際の動画です。レジン液は真っ白です。
スライサーでプリント用のデータを作成し出力する。
ここが一番大変でした。かなり失敗しました。
1回目
初回は、キーキャップは軽いしそんなにサポートを付与しなくても多分大丈夫だろうと、手付けで「3か所/キャップ」で細いサポートを付けました。
結果は、ご覧のように17個面付して、1つだけが生き残るという奇跡的な展開に・・・
おかげで、キーキャップを軸にはめると、少しきつかったようで割れたので、少し手直しがこの生き残りのおかげでできました。
※実は、軸受けが割れてしまいましたが、一番綺麗に仕上がっていたのはこれだったりします。
2回目
次は、全部落とさないぞ!と強い意気込みでサポート増やして再チャレンジしました。
結果は、ご覧のように18個面付して、5個だけが生き残るという全然使い物にならない展開に・・・
しかも仕上がりが酷くて、表面がボコボコでキャラメルのような感じで使い物になりません。やっぱりFDMと同じように光造形もサポートが少ない方が綺麗に造形されますね。剥がすのはFDMと比較とならないほど簡単にはがすことができます。
3回目
サポート付けると汚くなるし、それならばもう付けないで側面に付けてやってみようということで試してみました。
それでやってみると品質が安定して出力できました。ひとまず仮成功!
わかり難いかもしれませんが、写真の左下の面がツルっとしています。(少しだけバリもついてます。)
4回目
もう少し綺麗にできないか?ということで、スライサーではサポート付けずに、自前でデザイン側にサポートとなるものを付与してプリントしてみようと思いました。
結果は、斜めにスジが入ってしまい歪んだ出力になってしまいました。
5回目
もしかしたら、斜めにスジが入るのは、途中で地震のようなものが発生して、失敗したのかもしれないのでもう一度同じデータで再チャレンジしてみました。
結果は、4回目と全く同じでしたので外的要因ではなく、データに問題があると判断しました。1点しかないの自前サポートだけが問題だと思います。
結論
ということで、結局のところ、サポート無での出力が一番安定して出力できました。『光造形もFDMもサポートが重要だということ』サポート重要性を思い知ったのが今回の収穫です。光造形は面付しても印刷時間が増えることが無いので、小さいものの量産には良いですね。今回の出力だと1トライ2~3時間程度でした。(高さによって出力時間は異なります。)
最後に
白いキーキャップなので、LEDを背面から透かしてやると上手く光が拡散されて透けてみることができます。
新しいキーボードを制作中なので、それにも合わせて使いたいと思っています。
どなたかのご参考になれば。
以上です。