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今回はローレンツゲージにおけるマクスウェルの方程式で導出したマクスウェルの方程式を「アインシュタインの縮約記法」 を使用すると簡潔にかけるのでやってみたいと思います。 相対論的なマクスウェルの方程式と呼びましょう。
結果
\boldsymbol{A} = \left(\frac{\phi}{c}, A_x, A_y, A_z \right) \tag{電磁ポテンシャル}
\boldsymbol{i} = \left(\rho c, i_x, i_y, i_z \right) \tag{4元電流密度}
\Box A^\mu - ∂^\mu \left(∂_\nu A^\nu \right)
= - \mu_0 i^\nu \tag{相対論的なマクスウェルの方程式}
∂_\nu i^\nu = 0 \tag{相対論的な電荷の保存則}
∂_\nu A^\nu = 0 \tag{相対論的なローレンツ条件}
証明
ローレンツゲージにおけるマクスウェルの方程式の(7)式、(8)式からスタートする。再度式番号は振り直す。
\left( \triangle - \frac{1}{c^2} \frac{∂^2}{∂t^2} \right) \boldsymbol{A} -
\mathbf{grad} \left( \mathbf{div} \boldsymbol{A} + \frac{1}{c^2} \frac{∂ \phi}{∂t} \right) = - \mu_0 \boldsymbol{i} \tag{1}
\triangle \phi\ + \mathbf{div} \frac{∂ \boldsymbol{A}}{∂t} = - \frac{\rho}{\varepsilon_0} \tag{2}
まず(2)式を(1)式に近づけることから始める。
(i)左辺に$ \frac{1}{c^2} \frac{∂^2 \phi}{∂t^2} $を足して引く。 \left( \triangle - \frac{1}{c^2} \frac{∂^2}{∂t^2} \right) \phi
+
\mathbf{div} \frac{∂ \boldsymbol{A}}{∂t}
+
\frac{1}{c^2} \frac{∂^2 \phi}{∂t^2}
=
- \frac{\rho}{\varepsilon_0}
(ii)左辺の第二項以降を$\frac{∂}{∂t}$でくくる。
\left( \triangle - \frac{1}{c^2} \frac{∂^2}{∂t^2} \right) \phi
+
\frac{∂}{∂t} \left( \mathbf{div} \boldsymbol{A} + \frac{1}{c^2} \frac{∂ \phi}{∂t} \right)
=
- \frac{\rho}{\varepsilon_0}
(iii)両辺をcで割る。
\left( \triangle - \frac{1}{c^2} \frac{∂^2}{∂t^2} \right) \frac{\phi}{c}
+
\frac{1}{c} \frac{∂}{∂t} \left( \mathbf{div} \boldsymbol{A} + \frac{1}{c} \frac{∂}{∂t} \frac{\phi}{c} \right)
=
- \frac{1}{c} \frac{\rho}{\varepsilon_0}
(iiii)ここで、ローレンツゲージにおけるマクスウェルの方程式の出てきたものと(5)式を導入すると
\boldsymbol{A} = \left(\frac{\phi}{c}, A_x, A_y, A_z \right) \tag{3: 電磁ポテンシャル}
\boldsymbol{i} = \left(\rho c, i_x, i_y, i_z \right) \tag{4: 4元電流密度}
\frac{∂ }{∂w} = \frac{1}{c} \frac{∂ }{∂t} \tag{5}
\left( \triangle - \frac{∂^2}{∂w^2} \right) A^0
+
\frac{∂}{∂w} \left( \mathbf{div} \boldsymbol{A} + \frac{∂}{∂w} A^0 \right)
=
- \mu_0 i^0 \tag{6}
となる。(6)式と(1)式は同じような形をしている。なので、「アインシュタインの縮約記法」を用いると
\Box A^\mu - ∂^\mu \left(∂_\nu A^\nu \right)
= - \mu_0 i^\nu \tag{14: 相対論的なマクスウェルの方程式}
なる。終わり。
相対論的な電荷の保存則
電荷の保存則も簡単にかける。 ∂_\nu i^\nu = 0 \tag{15: 相対論的な電荷の保存則}
相対論的なローレンツ条件
ローレンツ条件も簡単にかける。 ∂_\nu A^\nu = 0 \tag{16: 相対論的なローレンツ条件}