猫社員のいる会社で有名な qnote のアドベントカレンダー2015始まります!
と、Qiitaらしくない感じの出だしですが、初日は繁田が担当します。
はじめに
僕は猫会社で一応 CTO やってます。
ところで CTO って何かご存じですか?
そもそも何の略?
C=キャット、T=トーク、O=おじさん
猫会社なだけに間違ってはないですが、そうではなくて、
Chief Technology Officer
の略ですね。日本語に訳すと、
とかいうしょうもない前置きはさておき、説明するまでもなく最高技術責任者のこと。
というわけでアドベントカレンダー初日は弊社規模での CTO 論についてちょっと思っていることを偉そうにお話します。どうか関係各所で炎上しませんように。
肩書としてのCTO
まず最初にお断りしておくと弊社は25名程度(猫社員含む)の規模で受託開発が主業務の零細企業です。会社に猫が居たりといろいろ変わったところがあるので、必ずしもここに書いたことが全ての会社に当てはめられるわけでもなく、また特定の人物をdisってるわけでもないので、予めご了承下さい。
さて、CTO というと、とある経営学的には経営者の部類に入るらしいです。僕的には一切自覚したことはありません。大企業ならまだしもうちみたいな零細企業であれば CTO というのはある種のステイタスというかシンボル的なところの意味合いの方が強いのかもしれません。下町の町工場的な技術経営を目指している弊社なら尚更、どちらかと言うと対外的なアピールとして使われる事が多い気がしています。大事な案件を担当したり、原稿書いたりするときに箔が付くと言えばわかりやすいですかね。
なので、個人的にはCTOは「役職」ではなく「肩書」だと思っています。
(実際、僕の給料明細の役職欄は空白です)
技術的判断というおしごと
思い起こせば僕が CTO に着任したのは10年くらい前で、着任って言ってもある日突然社長から「今日から CTO ね」って昼飯の帰りに軽く言われたのが始まりだったと記憶してます。当時IT系の CTO と言えば GREE の藤本さんが有名で、僕も Ethna の開発コミュニティに入ったりとお近づきになれたタイミングでもあったので、いろいろお話が聞けて CTO の理想像みたいなものが出来上がりました。
以来、10年ほど最高技術責任者というを肩書を背負っていろんなお仕事をさせて頂きました。弊社は受託専門の会社なのですが、時には大きな失敗もしつつ、時には胃潰瘍になりながらも、責任を意識しながら様々な技術的判断をしてきました。
この技術的判断というのがまた難しいお仕事で、請負会社の立場上、品質を保つというのは当たり前なのですが、その責任の重さに負けて冒険をせず無難な(枯れた)技術の選択ばかりしているといつまでたっても経験が得られないし、だからと言って、聞いたこともないような最先端すぎる技術を「流行ってるんで!」とか「やってみたかったんです!」という理由だけで導入し、もし失敗でもしたら「なんでこんなライブラリ使ったの!」って絶対なるわけで、この絶妙な駆け引きの中、ひとつの選択をするのは難しくもあり、それでいてやり甲斐のある選択だと思います。実際分間数万というPVのサービスで当時無名だったPHPのテンプレートエンジンSmartyの採用を選択していざリリースした瞬間高負荷でサーバが落ちた時はなかなかしびれました。
まぁ、いきなり実戦投入せずに普段から勉強しとけよって言われればそれまでなのですが、机上論で得た知識と実践での得た知識は全く違い、ぐぐっただけの知識よりも経験に基づく知識の方が3000倍くらい価値があるものだということもこの仕事をやってて学んだことの一つでした。毎回新しい案件に望む度に2〜3個は新しい技術を盛り込んで終盤に後悔することが多いのですが終わってみればその後悔も含めてが心地よい経験値となるこのマッチポンプ感はやめられません。
で、役割は?
こういった技術的判断以外にも、単発で書籍を書かせてもらったり、某有名技術雑誌や技術ポータルで連載を担当させて頂いたり、OSS のプロジェクトに参加したり、地味ではありますがそれなり胸を張って CTO だと言えることはしてきたつもりです。
本当に?
そもそも、CTO ってナンダッケ?と書きながらふと思い、冷静に初心に返ってみました。
当時の藤本さんのお言葉を思い出します。
「その会社に技術という血を通わせ続けること」
みたいなことを CTO の役割としておっしゃってたか、どっかの記事に書いていたか、そもそも夢だったか忘れましたが、受け売りですが CTO の役割はこういうことなんだと思います。
でも、熱い技術論は納期や利益優先の現場では敬遠され、時として反発が生まれ、気がつけばそれを恐れて技術提案をする頻度が少なくなってて、びびってんじゃねーぞゴルァみたいなことを最近後輩から指摘されてムカついて反省してます。ごめんなさい。
つまり
横道に逸れましたが、CTO の役割は会社の”道標"であり、仲間の技術者達に常に新しい技術を体験させることが仕事だと僕は思います。
でも、そのために他の社員の追随を許さない絶対的なセンスや圧倒的な経験の差は必ずしも必要ではないということ、また、全ての技術分野において頂点である必要はないということも同時に付け加えておきます。もちろんそれらはあったほうがよいですが、それよりもなによりも、技術に対する貪欲さや、知識を追求する姿勢、さらに技術を身につけることの"楽しさを伝える技術"の方が大事なんだと思います。
ちょっと言い訳じみた感じになりましたが、言いたかったことは、CTOはそれほど華のある肩書ではなく、いわゆる後方支援。裏方だと言うこと。あと経験値が足りなくても若い人はどんどん"道標"を目指すべきだと思います。スタートアップとかで1年目や2年目でCTOというのもよく聞きますが全然アリだと思います。
さいごに
そんな弊社もありがたいことに、人数も増え、社内外の勉強会に参加する人も増えて、ノウハウをアウトプットする機会が増えました。そして何より嬉しかったのはチームメンバからこのアドベントカレンダーの提案を受けたことです。ちょうどアドベントカレンダー受付開始のニュースを見てて「企業枠でこういうのできる会社って憧れるなぁ。」と思っていた矢先です。とても嬉しい反面、道標になれなかった自分は終わったなと感じるのでありました。もちろん良い意味で。
と、引退するの?死ぬの?的な流れになったところで終わりにしたいと思います。
Qiita らしからぬポエムな感じで最後はしりつぼみになってしまいましたが、まだまだ若いのには負けませんよとさらに曖昧な感じにしておきます。どうか削除対象とならないよう祈りつつ、明日から本番の弊社アドベントカレンダーをお楽しみに!