はじめに
PowerVC 2.2.0 以降では、ボリュームを接続しない仮想マシンデプロイが可能です。
厳密には、OSが存在するボリュームがないため、仮想マシンではなく、LPAR(Logical Partition) のみを作成します。
環境
[オンプレミス]
・IBM Power S1014 (9105-41B)
・PowerVC 2.2.0
・Hardware Management Console(HMC) V10R3.1050.0
・SANスイッチ SAN24B-6 (FOS v9.0.1c)
手順1. 空のイメージの作成
PowerVC GUI からイメージの作成でボリュームを何も指定せずに作成します。
↓では testblank という名前のイメージを作成しています。
作成後の詳細確認
ボリュームなしの状態です。
手順2. 1で作成したイメージでVMデプロイを実施
作成したイメージを選択し、VMデプロイを押します。
testblank1112 という名前のVMを定義しています。
意味があるかどうかはわかりませんが、NPIV接続を指定します。
ネットワークは、この環境で定義しているVLAN11 を指定します。IPアドレスは固定指定せず、お任せにします。
"ボリューム" では、イメージ・ボリュームが存在していないことが確認できます。
作成した仮想マシンの確認
・PowerVC
PowerVC 上では、IPアドレスは付与されており、VM停止状態です。
・HMC
対象LPARは作成されています。非アクティブ状態です。
(LPAR名の末尾に数字がつくのはPowerVC VMデプロイ時の仕様です。おそらくLPAR名が重複しないようにするためと推測)
仮想ストレージの仮想ファイバ・チャネルの接続はありませんでした。
仮想光デバイスで vtopt1 が作成されています。
(OS起動やcloud-init稼働がなくてもデプロイ時にはデバイスが作成されるという発見...)
LPARプロファイルの仮想アダプターでは、"イーサネット" と"クライアントSCSI" (上記のvtopt1) は作成されていますが、ディスク接続用のアダプター(クライアント・ファイバー・チャネル)は存在していません。
・SANスイッチ
ストレージ接続グループがNPIVの場合ではSANスイッチ上にゾーニングが作成されますが、今回はボリュームを接続していないので作成されていませんでした。
IBM_8969_F24:admin> cfgshow | grep testblank
IBM_8969_F24:admin> zoneshow | grep testblank
IBM_8969_F24:admin>
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おわりに
HMC上でLPARだけを作っておきたいときに、PowerVC からでも可能になりました。(v2.2.0以降)
LPARリソースを確保するためにLPARのみを作成しておくユースケースが考えられます。
またLPAR作成後にLPARにボリュームを接続したい場合でもPowerVC から操作できる点を利用して、
既存VMやボリュームがある状態で、IBMPower筐体のみを移行するケースなど、LPARを新たに作成し、そのLPARに既存のOS領域のボリューム、データボリュームを接続する、というような場合にも使用できるのではと思います。
以上です。