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自称エバンジェリスト(伝道者)のDX推進の旅!

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Tips早見表

  • 異動してすぐ渡された、初めて聞く言葉「エバンジェリスト」。カタカナ用語が苦手で最初は「がーん……」
  • それでも、戸惑いより先に来たのは、嬉しさとわくわくだった
  • やったことは、各地の拠点を訪ねて回る、地道なリアルコミュニケーション
  • 面白いアイデアが出ると、つい時間を忘れて「詳しく!」と聞いてしまう
  • ミーティングが飛んだ日は、間接部門との交流へシフト。ここが課題の宝庫だった
  • 会った人はだいたい好きになるし、困っていると聞くとすぐ助けたくなる(悪い癖)
  • 拠点にいなくても質問が来ると、心の中で「こうかありや!」とガッツポーズ
  • 広める順番は「まず聞く、信頼を作ってから伝える」

はじめに

2026年4月、20年以上いた事務部門から情報システム部門へ異動しました。

異動してすぐ、自分の役割の一つとして渡された言葉があります。「エバンジェリスト」。それまで聞いたことのない言葉でした。

社内DXを推進し、広める、伝える役。それが、この言葉に込められた役割でした。

その言葉に感じたこと

カタカナの横文字用語がとにかく苦手な私にとって、「エバンジェリスト」と聞いた瞬間は、正直「がーん……」という気持ちがよぎりました。

それでも、戸惑い以上に、正直嬉しかったし、わくわくしました。

異動が決まったときは、まずパソコンの設定など、情シスとしての基礎知識から学び直すんだろうな、と思っていました。でも実際は、これまで事務部門でやってきたことの延長線上にある部分の方が多かったのです。

知識を積み重ねていけば、動き方の選択肢が増えます。今までは「間に入る」だけだった人や部署とも、直接関われるようになる。視野がぐっと広がる感覚がありました。

戸惑いより先に、嬉しさとわくわくが来た。

「広める」「伝える」。この言葉を選んでくれた人は、きっと私のこれまでを見て、何かを感じ取ってくれたんだと思います。なんとなく空いていたポジションに当てはめられたんじゃなくて、私という人間を見て選んでくれた。そう思えたことが、素直に嬉しかったのです。

とはいえ、試行錯誤も、失敗も、反省もたくさんあるし、知識だってまだまだ足りません。それでも、これはめちゃくちゃ意味のある仕事だと思っています。

「広める・伝える」の実践 — 各地拠点へのリアル訪問

エバンジェリストとして実際にやってきたことの中心は、地道に足を運ぶことでした。各地に散らばる拠点を、自分の足で訪ねることです。

拠点ごとの定例ミーティングの日に合わせてお邪魔し、その場を交流の時間にしてもらっています。中身は大きく3つのパートに分けています。

パート 内容
① 今期の方針説明 今期何を頑張るか、方針3本柱(「セキュリティ」「DXを活用した生産性向上」「現場の伴走支援」)をざっくり共有
② 社内DX紹介 RPA、GAS、NotebookLMなど、社内で今進んでいるDXの取り組みを、実物を見せながら紹介
③ 業務改善アイデアディスカッション そこにいるメンバーと一緒に、業務改善のアイデアを出し合う時間

一方的に説明するだけで終わらせず、最後にディスカッションの時間を必ず入れているのがポイントです。

実はこの訪問自体が、3本柱の3つ目「現場の伴走支援」でもあります。「今日ここに来ていることも、その一環です」と、よく伝えています。

アイデアの引き出し方は、人数と時間で変える

3つ目のパート、業務改善アイデアディスカッションは、拠点や状況によってやり方を変えています。

状況 やり方
人数が多いとき 先にチームで意見交換してもらい、代表して口頭で発表してもらう
少人数のとき ホワイトボードに、一人ひとり自分の意見を書いてもらう
時間が取れない回 Googleフォームに入力してもらう

出てくるアイデアも様々です。

たとえば、ある部署からは「健康診断の予約枠パズルゲーム」を自動化したい、という話がありました。病院ごとに違う予約項目、オプション希望、社員の年齢、「この日はNG」という個人の都合まで考慮しながら枠を埋めていく作業は、担当者いわく、まさに難解なパズルゲーム。中でも人数の多い病院の仕分けが一番の難所で、引き継いだばかりの担当者が頭を抱えていました。「AIに資料をぶん投げてパズルを解かせたら、一瞬で終わるのでは?」というアイデアは、AIの得意分野を的確に突いていて、聞いていて思わず唸りました。

もう一つ印象に残っているのは、別の部署から出た「『対応完了』ボタンを押すまで追いかけ続けるSlackリマインダー」というアイデアです。特定のタスクが完了ボタンを押されるまで、Slackがしつこくリマインドし続ける仕組みで、提案者いわく「自分を追い込むストイックな仕組み」。これなら返信漏れは物理的にゼロになります。「そこまでやるか」と笑いながらも、確かに理にかなっているなと感心しました。

ドラえもんの道具みたいな夢物語から、明日からでも作れそうな実務的な話まで、出てくる幅は本当に様々です。

実は、みんなのアイデアを聞くのが面白すぎて、困っています。前半は時間配分をめちゃくちゃ気にしているのに、面白いアイデアが出てくると「え、なにそれ、いいじゃん、詳しく!」と、自分から時間を引き伸ばしてしまうことがよくあります。

diagram-site-visit-flow.png

終日滞在してわかること

せっかく行くので、だいたい終日その拠点に滞在するようにしています。ミーティングだけして帰るのではもったいないからです。その場で今何が起きているかを見せてもらったり、一人ひとりがどんな業務をしているのかを教えてもらったり。「こうだったらいいのに」「ああだったらいいのに」という理想の話も聞けます。

もちろん、理想の話ばかりではありません。「メールの設定がうまくいかなくて」「パソコンの調子が悪くて」「Wi-Fiがいまいちで」といった、地味だけれど切実な困りごとも山のように出てきます。でも、そういう話も含めて、実際に訪問することの価値だと思っています。

皆さんの目が温かい理由

拠点を回っていて、もう一つ感じることがあります。先輩と一緒に訪問することが多いのですが、皆さんの目がとても温かい、好意的だなと感じることがよくあります。誰だって一度は「パソコンが動かない」「メールが送れない」と情報システムに助けを求めたことがあるはず。困った時に手を差し伸べてもらった相手には、自然と好意的になるものです。

役得だぁ! だからこそ、日々の対応は丁寧に。

そういえば、この温かさは一方通行でもない気がしています。会った人はだいたい好きになるし、困っていると聞くとすぐ何かしてあげたくなる。事務部門にいた頃からの性分です。

ミーティングが飛んだ日こそ、間接部門の宝庫

とはいえ、いつも計画通りに進むわけではありません。訪問先の拠点は売上を追う部隊なので、お客様都合が優先されると、こちらのミーティング自体が順延になったり、中止になったりすることもしばしばあります。

そういうときは、無理にその日程にこだわらず、ターゲットを変えることにしています。同じ日、同じ拠点にいる間接部門の各課の方々との交流会にシフトするのです。

これがまた、思いがけず課題の宝庫でした。出てきたのは、たとえばこんな話です。

  • 特定のメールに届く添付ファイルを、システムに自動保存したい
  • 毎日手作業で抽出・加工しているリストの一連の作業を自動化したい
  • 課のマニュアルを整理したい
  • システムをもっと効果的に使う方法を知りたい

まさに、これこそ聞きたかった話でした。情報システムの人間が同席しているというだけで、「ついでに聞いてみようかな」くらいの気軽さで、日頃のモヤモヤが出てくる。予定が崩れたおかげで、むしろ違う発見があった回でした。

聞いたら終わりにしない — 7日以内に動く

聞きっぱなしにしないことも、自分の中で決めているルールです。いただいた声は、基本的に7日以内の解決を目指しています。中身は一様ではなく、だいたいこんな感じです。

パターン 対応
その場で答えられる 即日回答や対応
持ち帰りが必要 部門に持ち帰り、上司に相談。担当を決めて進める
そもそもDXの話ではないと判明 大きな案件は上司同士で話してもらう形に切り替え

間接部門との交流会で出てきた声については、その日の夕方にあらためて時間をもらい、詳細を聞いて、やり方を教えながら自分たちで進めてもらう、ということもやりました。

たとえば、ある課のマニュアルが数十ファイルにまたがってバラバラになっていた話。詳しく聞いてみて、これは専用のNotebookLMを作るのが一番合っていると判断し、作り方と目次化のコツをレクチャーしました。もともとDXへの関心が高い課だったこともあり、ポイントを伝えただけでさくさく作業を進めてくれて、バラバラだった資料が必要なところをすぐ探せる状態になりました。

全部を自分で作るより、最初のひと押しだけして、あとは任せる。このやり方も悪くないな、と思いました。

耳の痛い発見 — 自分のリストが認知されていなかった

拠点を回る中では、こんな発見もありました。以前、自分も作成に携わったリストが、思いのほか現場に認知されていなかったのです。しかも、認知してくれていたメンバーにとっても、決して使いやすいものではなかったこともわかりました。

その場でじっくり背景を聞けたのは、良い機会でした。作る側にいるだけでは気づけなかった「実際にどう使われているか(あるいは、使われていないか)」を、直接聞くことでようやく実感できました。

さっそく持ち帰って、近くにいるメンバーにも聞きながら、今も試行錯誤しているところです。まだ「直しました」と言える段階ではありませんが、少なくとも「気づかないまま放置する」ことだけは避けられたと思っています。

自分で作ったものほど、実際の使われ方は見えなくなるのかもしれません。

細かいルールの向こうにある「同じ方向」

これまで、部門ごとに細かいルールやチェック事項があることを、正直「大変だな」と思うこともありました。でも、現場の話を聞いてみると、そのルールの向こうには必ず「相手」がいました。お客様との関係を円滑に進めるため、トラブルを未然に防ぐため。細かいルールほど、誰かとのやり取りを大事にしている証だったんです。

遠くから見て「大変そうだな」と思っていたことも、近くで聞けば、向かいたい方向は同じだった。

だったら、できるだけ遠回りではない方法を、一緒に見つけられたらいい。そう思うようになりました。

その業務は本当に必要なのか、他の部署でも同じことをやっていないか。1つの拠点だけでは気づけない視点も、複数回ることで持てるようになりました。

画面越しでは見えないもの

画面越しのやり取りだけでは、「誰が何に興味を持っているか」「今後何かを進めるときに、誰に話を聞けばいいか」「協力してくれそうな人は誰か」までは、なかなか見えてきません。直接顔を合わせて話すからこそ、そういう「次につながる情報」が自然と集まってきます。

会う人が増えるほど、拠点にいない時にもふとした質問をもらうことが増えました。そういうとき、心の中では「やったぜ、こうかありや!」と、こっそりガッツポーズしています。

事務部門出身だからこそできる「広める」の形

同じ「広める」でも、たぶんやり方は人それぞれです。技術に強い人なら、新しいツールのデモを見せたり、勉強会を開いたりする広め方もあると思います。

自分の場合は、そのやり方とは少し違う気がしています。今の自分にできる範囲で、自分に合ったやり方で、というのが正直なところです。

20年以上、事務部門で色々な部署の人と向き合ってきた中で身についたのは、まず相手の話を聞く、ということでした。これが今の自分にとって、一番の武器です。

定例ミーティングそのものは、方針を先に説明する構成です。それ以外の時間—終日滞在している間の雑談や、間接部門との交流会—では、まず「今どんな感じですか」「困っていることはないですか」と聞くところから始めます。DXの話をしに来ているはずなのに、実際に多くの時間を使うのは、メールの設定やパソコンの調子といった、担当外に見えるような困りごとを聞くことだったりします。

でも、そういう小さな困りごとに一緒に付き合うことが、結局は一番の近道なんじゃないかと思っています。話を聞いてもらえた、という信頼があって初めて、次に「こんな仕組みがあります」という話も届くようになる。

聞くことは、次に自分が何を身につけるべきかのヒントにもなっています。困りごとを聞くたびに、「これは知っておきたいな」ということが少しずつ見えてくる。今できることをやりながら、次の武器を探している最中です。

まとめ

「エバンジェリスト」という言葉をもらってから、まだそれほど経っていません。

それでも、拠点を回り、話を聞き、困りごとに一緒に頭を悩ませ、時には「AIに資料をぶん投げてパズルを解かせたら」なんてアイデアに笑いながら、少しずつこの言葉の中身を自分の手で埋めてきた気がします。

事務部門にいた頃は、間に入ることしかできない場面がたくさんありました。今は、知識という武器が一つ増えたことで、直接関われる人や部署がどんどん広がっています。この感覚は、思っていた以上にわくわくするものでした。

この肩書を、これから少しずつ自分のものにしていきたい。

これまでやってきたことの上に、少しずつ積み重ねていけばいい。

カタカナ用語には、今でも密かに身構えてしまいます。それでも今日もまた、どこかの拠点に向かいます。次はどんな話が聞けるだろう、と思うと、ちょっと楽しみです。

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