あらすじ
2024/11/15のTwitterの規約変更で、SNSそのものから撤退したり、画像そのもののアップロードに不安を覚えている絵描きの方が多いように感じています。
また、それにともなってウォーターマークなどで作者のサインや意思表示を入れてアップロードしようという流れもあり、ウォーターマークを無料配布している方も多く見かけました。
しかし 「配布されているウォーターマークは簡単に除去できてしまう」 という意見も見かけ、本当のところどうなのだろう……?となりました。
そこで、自分のイラストソフト等を使い、ウォーターマークデータが割れていれば、本当に剥がせてしまうのか?……を検証してみました。
この記事に書いたこと
実際に効果のあるウォーターマークやサインについて、実験した結果をまとめました。
- 手動で剥がしやすかったウォーターマークの特徴
- 配布されているウォーターマークを使うと剥がしやすい理由
この記事には書かなかったこと
- ウォーターマークの具体的な剥がし方や手法
本来、記事にまとめるのならばどういった手法で簡単に剥がせてしまった……ということも合わせて書くべきなのですが、
今回については、やり方を読んで得をするのは悪人だけなので、書いていません。
誰向け?
- 無料配布されているウォーターマークを使用している/検討している人
- 自分のイラストをwebにアップロードしたいが、無断転載や無断使用が不安な人
- 上記のためにこれからウォーターマークやサインを作ろうと考えている人
- 自分の使用しているマークが効果のあるものか自信がない人
想定していない読者
以下の方はこの記事を読んでも、何か参考になるような真新しい知識はないかと思われます。
- 配布ウォーターマークを使う危険性がわかっている人
- web上に絵を公開しない人
本題
ざっくりとした結論
ウォーターマーク有 | 除去加工後 | |
---|---|---|
黒一色 x 透過 | ||
白抜き文字 x 複数色 x 透過 |
黒1色 x 透過ウォーターマークはほぼ完璧に除去が可能です。
文字に白フチをつけるなど、2色以上使われているウォーターマークは完全にとは行きませんが、それでもウォーターマークのデータが割れていれば、目立たない状態までは除去できます。
理屈としては、ウォーターマークの形がわかっているとその範囲の色変更をすればウォーターマークが無かったも同じことになります。
そしてそれは、ウォーターマーク除去ツールを使わずとも、手動で加工を施すと除去できてしまいます。
具体的な除去方法を書くと、そういった目的の方の手助けになってしまうため、そこは濁しますが……。
ただ、私が試した除去方法では、
ウォーターマークの元データが入手できる場合、
- 特別な除去ツールを使わなくても、目立たない状態までは除去できる
- つまり、無断転載・無断使用する人にとっては十分なレベルまで除去できる
- 黒色x透過のウォーターマークは除去が容易
ということは言えそうでした。
ウォーターマークの脆弱性
ウォーターマーク自体は作者の意思表示をするもので、そもそも剥がしてはいけないものですが、SNS上で無断転載・無断使用を受けた被害者の中には、トリミングや塗りつぶしなどで、ウォーターマークを消された上で利用されたといった話もききます。
そのため、つけて安心……ではなく、どういったマークをどこにつけるかを考える必要が出てきます。恐ろしいことに、ウォーターマーク除去ツールも出回っているのでつけて終わりにはなりません。
そのため、私が今回検証した結果、剥がされやすいと考えた避けるべきウォーターマークの特徴について少し書きます。
透過x単色は元の色のヒントが残っている
単色のウォーターマークを透過した状態で絵に被せる場合、ウォーターマークを被せる前の元の色のヒントが残ることになります。
具体的には、薄いグレーでウォーターマークを被せた場合、ウォーターマークの部分だけ、薄いグレーのシートを被せて色変化を起こすことになります。
そのため、ウォーターマークの部分だけ逆変化を起こせば、元の色に戻せることになります。
そのため、ウォーターマークのデータが入手できる状態であれば、その色変化が起きた範囲が特定できるため、逆の色変化をかければ目立たない状態へ持っていくことが可能です。
また、暗記シートのようにウォーターマーク箇所以外を、ウォーターマーク同様の色変化を起こしてから、逆変化を起こすこともできるでしょう。
ウォーターマークのデータがわかっていることは、それだけ除去難易度が下がります。
絵の隅に入れるとトリミングされてしまう
少しでも元絵が見やすいよう、絵の隅にウォーターマークを配置している人は少なくありません。
ただし、絵の端に入れたウォーターマークは端をトリミングすればなかったものと同じになってしまいます。
また、ウォーターマークが完全に除去できなくても目立たなくする加工ができれば、絵の端は違和感が薄れます。
SNSなどで一番最初にアップロードした人間が自分であると証明する手段があれば違法性は問えるかと思いますが、そもそも無断使用箇所を見つけ、指摘し、投稿を削除してもらうまでは自分の手を動かして対応しなくてはいけません。
ですので、せっかくウォーターマークを入れるのならばイラストの華となる部分に大きくハッキリと入れることをお勧めします。
ウォーターマークは除去される時は除去され、悪用されてしまうことがありますが、除去した後や違和感を完璧に消すことは難しかったです。また、除去されにくいウォーターマークを使えばそれは顕著になります。
そのため、トリミングされることなく、イラストの華になる部分に効果のあるウォーターマークを入れることは効果があります。
自分の作品に自分が望まない加工を施すのは抵抗があることですが、あなたの絵を本当に好きな方は、必要な対策だとわかります。
ウォーターマークがはっきりとあって困ったり怒ったりするのは泥棒だけです。
フリーフォントもデータが公開されているのと同じ
フリーフォントを使ったウォーターマークも避けるべきかと思います。
具体的には、気に入ったフリーフォントを使ってウォーターマークを入れても、悪意ある人がそのフォントを入手できる状態では、配布ウォーターマークと同じく、除去範囲がほぼ正確に予測できるものになります。
完全除去が難しくても、どうとでもなる
完全に除去されなければ大丈夫!……でもありません。
予期せぬ利用をする人間にとっては目立つ位置に目立つ形でウォーターマークが残っていなければ利用できるため、目立たない形まで持っていければいいのです。
また、ウォーターマーク除去ツールなどもありますし、生成AIにかけるのであれば、ある程度目立たない状態まで持っていければ使えてしまうものかもしれません。
再結論
配布ウォーターマークは使わずに、デザインを参考にして自作するのがオススメ
ウォーターマークはイラストの華となる部分に、単色・透過を避けてつけよう
ウォーターマークが重要!……ということと、でもウォーターマーク作るのって大変だし、使っていいよ!……と互助が広まるのはとても良い流れだと思っています。ただし、その流れを観測できたのがSNSでなければ。
結局のところ、SNSにはそのイラストを大好きで大事にしてくれる人もいれば、作者に嫌がらせをしようとする人も、そのイラストを悪用しようと企む人もいます。
悪人にのぞかれている環境下で防犯ツールを配布しても、あまり効果は期待できないでしょう。
今後の検討
ウォーターマークの作り方
予測できないパターンや、複数色・イラスト調のウォーターマークを使うと、ウォーターマークと認識され辛く、除去され辛いという記事を目にしました。
どこまでいたちごっこになってしまうか……という思いもあるのですが、弱いウォーターマークの話をしたので、効果がありそうなウォーターマークについても検討し、ウォーターマークの作り方についてもまとめてみたいと思います。
ウォーターマーク以外のイラスト加工方法について
ウォーターマークを1か所に入れただけでは、生成AIに利用されてしまうのではという話もあります。
そのため、生成AIへの利用を拒否する場合、ウォーターマークを入れただけでは対策として不十分な場合があります。
そういった場合のイラストそのものへの効果的な加工案についてもまとめられればと思います。