なに?
AppsflyerのNullコンバージョン値を使って、Appleのプライバシーしきい値によりマスキングされてしまったコンバージョンを推定してみます。
なお、Apple公式では「Null値」という表現はされておらず
プライバシーしきい値を満たしている場合のみ、コンバージョン値(conversion-value
)が提供されると記載されています。
なぜ?
今までは、IDFAをベースにした推定モデルを使用していましたが、昨今データがどんどん減少していく中で精度が信頼できなくなってきた。
コンバージョンの推定
SKAがレポートするインストールには
- CV値が載っているポストバック
と
- 載っていないポストバック
があります。
Appsflyerでは、後者を「Nullコンバージョン値」と表現されています。
インストールの計測だけを行う場合は、Appleによるしきい値の影響を受けません。
よって、すべてがポストバックされので問題がありません。
しかし、CV値の方はAppleによりマスキングされてしまう場合があります。
つまりポストバックからCV値が取得出来ません。
そこで、実際に取得できたCV値を使って、このマスキングされてしまったCV値を推定してみます。
計算してみる
例)
-
SKAで計測したインストール:100件
取得出来たCV
- 課金CV=0:25件(期間中課金しなかった)
- 課金CV=1:10件(1,000円未満課金)
- 課金CV=2:5件(1,000円以上課金)
-
Nullコンバージョン率:60%
この時のコンバージョンを推定してみます。
まず、しきい値にかかってしまった件数を算出。
- 100件 × Nullコンバージョン率 60% = 60件
なので、CVが取得出来たインストールは
- 100件 - 60件 = 40件
となります。
次に、この40件のCV内訳を計算します。
- 課金CV=0 → 25件 ÷ 40件 = 62.5%
- 課金CV=1 → 10件 ÷ 40件 = 25%
- 課金CV=2 → 5件 ÷ 40件 = 12.5%
この内訳を元に
しきい値にかかってしまったCVを導出します。
推定課金CV件数
- 課金CV=0 → 60件 × 62.5% = 37.5件
- 課金CV=1 → 60件 × 25% = 15件
- 課金CV=2 → 60件 × 12.5% = 7.5件
この推定CVと実測されたCVと合算すると
- 課金CV=0 → 37.5件 + 25件 = 62.5件
- 課金CV=1 → 15件 + 10件 = 25件
- 課金CV=2 → 7.5件 + 5件 = 12.5件
となりました。
これは合算すると当然、100件になります。
おわりに
今回はAppsflyerの例を挙げましたが、SKAdNetworkのポストバックが確認出来る環境であれば、どこでも使えると思います。
また、この計算で出したCV内訳はあくまで「推定」の域を出ません。
ただ、利用できる計測指標がますます限定されていく中で、有用な方法のひとつと感じました。
今後、SKAdNetwork4.0 がより浸透してくれば、また新たなソリューションが出てくるかも知れません。期待したいですね。