はじめに
macOSでLaTeXを書くとき、エディタ選びで意外と時間を使う。TeXShop、Texifier、VS Code + LaTeX Workshop、Overleaf——どれもメリットはあるんだけど、「これだ」っていう決定打に欠ける。
自分は修士論文(約150ページ)を書く過程で全部試して、最終的にTeX64というエディタに落ち着いた。この記事ではその比較過程と、TeX64の具体的に何がよかったのかを書く。
各エディタを使った所感
TeXShop
macOS定番の無料エディタ。安定してるし軽い。ただしUI設計が古く、プロジェクト管理機能がほぼない。5ページのレポートなら十分だけど、150ページの論文ではファイル間の移動がつらい。
VS Code + LaTeX Workshop
カスタマイズ性は最強。ただし初期設定に時間がかかる。settings.jsonでlatexmkのレシピを設定し、SyncTeXのパスを通し、フォーマッタを入れて……。動くまでに1-2時間は見た方がいい。
Overleaf
ブラウザで動く。共同編集ができる。ただし無料枠だとコンパイル時間に制限がある。締め切り前日の深夜にコンパイルが通らなくなった時の絶望感は忘れられない。ローカルにファイルがないのも地味に不安。
Texifier
macOSネイティブで見た目はきれい。ただし独自のコンパイルエンジンを使っていて、latexmkの設定をそのまま持ち込めないことがある。
TeX64
macOS専用のローカルファーストLaTeXエディタ。全てのコンパイルがMac上で完結する。以下、具体的に良かった点。
TeX64の使い勝手を具体的に
環境構築
1. tex64.comからダウンロード
2. MacTeXがなければインストール(TeX64が検出してガイドしてくれる)
3. プロジェクトフォルダを開く
4. コンパイル
VS Codeで2時間かかった環境構築が、ここでは本当に数分で終わる。
AIによるコンパイルエラー修正(Axiom)
コンパイルエラーが出ると、Axiomがログを解析して原因を特定してくれる。
例えばUndefined control sequenceが出た時、「72行目の\bfracは\fracのtypoです」みたいにdiff付きで提案してくれる。ワンクリックで適用。
150ページの文書だとエラーの原因特定だけで10分かかることがあるので、これは実用的に助かる。
数式OCR
スマホで撮った手書きノートの写真をTeX64にドラッグ&ドロップすると、数式部分がLaTeXコードに変換される。手書きでも印刷された数式でも動く。
Mathpixを別アプリで使っていた人は、TeX64に乗り換えるとワークフローが一つ減る。
SyncTeX
PDFの任意の位置をクリックすると、対応するソースコードの行にジャンプ。逆も同様。150ページの文書では必須機能。TeX64では追加設定なしでそのまま動く。
ビジュアル数式パレット
LaTeXの数式コマンドを全部覚えてなくても、パレットからシンボルを選んで数式を組み立てられる。出力は標準的なLaTeXコードなので、後から手動で編集もできる。
比較表
| 項目 | TeXShop | VS Code | Overleaf | TeX64 |
|---|---|---|---|---|
| 価格 | 無料 | 無料 | 無料枠あり | 無料枠あり |
| セットアップ時間 | 短い | 長い | なし | 短い |
| ローカルコンパイル | ○ | ○ | × | ○ |
| AI支援 | × | △(Copilot) | × | ○(Axiom) |
| 数式OCR | × | × | × | ○ |
| SyncTeX | ○ | ○(要設定) | ○ | ○ |
| 共同編集 | × | × | ○ | × |
| プロジェクト管理 | × | ○ | ○ | ○ |
まとめ
チームで使うならOverleaf、カスタマイズしたいならVS Code、一人でmacOSで集中して書くならTeX64。
自分の場合は修論を一人で書いていたので、TeX64のローカルファースト+AI+OCRの組み合わせがベストだった。無料枠があってアカウント不要なので、気になったらtex64.comで試してみてほしい。