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JYEtech DSO068購入・組み立て

Last updated at Posted at 2024-08-22

はじめに

こんにちは、オシロスコープキットを購入したbockringです。一応SIGLENTのSDS804 HDの導入予定はあるのですが、「そもそも私にオシロスコープは必要なのか?」という根本的な問いに答えを出すため購入しました。なんとなく半田付けもしたかったのでDSO Shell(150)やDSO 112、JYEtech Wave2などではなく、これにしました。あとはコイツが1番周波数帯域も広かったりします。

秋月電子通商さんにて8240円(+送料)で購入しました。

JYEtechだと本当はDSO094(リアルタイム50Msa/s・帯域10MHz・2チャネル)が欲しいのですが、そんなものとうの昔に製造・販売中止となっています。あとは068だと電圧感度が少し高いんですよね。ノイズとかも見たいので電圧感度が高いことは大きな利点です。

内部構成

MCU:Atmel ATmega48P
ADC:TI製のもの
UART bridge:CP210x

コード:C言語
↑無料でソースが配布されているので、面倒という気持ちを取っ払えば表示言語の変更などもできそう。

性能

項目 詳細
チャネル数 1
周波数帯域 3MHz
リアルタイムサンプリングレート 2MSa/s
等価時間サンプリングレート 20MSa/s
メモリ長 256/512/1024ポイント
縦方向分解能 8bits
時間軸(MAX・min) 0.5us/div・10m/div
電圧軸(MAX・min) 10mV/div・5V/div
ディスプレイ グラフィカルLCD 64×128
バックライト
その他機能 FFT/周波数カウンタ/FG/USBオシロモード など
測定カテゴリ 50Vpk(x1プローブ)・400Vpk(x10プローブ)

※時間軸/電圧軸ともに1-2-5ステップで変更。
※メモリ長は少なく感じると思いますが、画面の解像度を考慮すれば必要十分です。しかも、ポータブルオシロによっては記載がないこともあるので記載があるだけ良いです。
※ADCの分解能は8bitsですが、画面の高さ方向の解像度的に実質6bitsとなります。8bitsを発揮するためにはHOLD後拡大する又はCSVでの書き出し、後述のJYE LaboでPCオシロ駆動させる必要があります。
※FG = Function Generator, 任意波形発生器のこと。矩形波のみの生成です。スピーカーに繋いだら発狂もんですね。

オシロスコープの本体と組み立て部品以外に

  • USBケーブル(USB-A ↔︎ Mini USB)
  • 10:1オシロプローブ(10:1)

が付属しています。一応バッテリー動作も可能ですが、バッテリーは同封されていません。USBを繋げれば動きますが、私はバッテリーを取り付けます(後述)。1000mAhで大体3〜4時間駆動します(バックライト点灯時で 動作電流<300mA とのこと)。

なお、ご存知の方も多いでしょうが、等価サンプリングは繰り返し波形にのみ有効です。突発波形には有効ではありません。このオシロスコープでは2uS以下に設定された時のみ有効になります。つまり、リアルタイムサンプリングで観測する場合は5us以上で計測する必要があります。

そしてJYEtechのオシロスコープのかなり大きな欠点の一つ(機種による)が電圧軸の設定方法です。キーを押してロータリーエンコーダを回して…みたいなよくあり設定方法ではなく物理的なスライドスイッチ(SP3T)2個で行います。設定は以下のようになります。

桁数SW 倍率SW 電圧軸
10mV x1 10mV/div
10mV x2 20mV/div
10mV x5 50mV/div
100mV x1 100mV/div
100mV x2 200mV/div
100mV x5 500mV/div
1V x1 1V/div
1V x2 2V/div
1V x5 5V/div

となっています。というか何故このような設計にしたのかも大体分かります。ソフト的に変更するよりマイコンのアナログ関係だけで完結できるからでは無いでしょうか。しかしこのように9種類のまともに使えそうな区分けがされているのならソフト的に変えられたら便利なんですけどね…

2024/08/29追記
PCオシロ駆動の時ソフト的に変更できるようなので、なぜこの仕様なのかは不明です。

ちなみに、この制御方式を採用しているJYEtechのオシロスコープは

  • DSO138
  • DSO138 Mini
  • DSO062
  • DSO068

です。特にDSO138は有名ですね。赤色基板の組み立て式オシロスコープで縦方向分解能が12bitsだったり面白いキットですが、扱いは難しい面があるので要注意です。

特徴

このオシロスコープの特徴と言ったらまずは周波数帯域でしょう。キットとしてはかなり広めの3MHzです。多くの製品は200KHzだったり500KHzの1MSa/sだったりと、あくまで音響確認用と言った様子ですが、この製品ではリアルタイムでも500KHz、等価サンプルだとカタログスペックの3MHz(もしかしたら5MHzまでは行けるかもしれません)まで測定できます。つまり、電源関係のノイズなどが比較的観測しやすい訳です。

そしてこのオシロスコープで注意するべき点はオートセットができないことです。時間軸や電圧軸、トリガーモード(オート/ノーマル/シングル)、トリガータイプ(立ち上がり/下がりエッヂ)、トリガーレベル、トリガー位置の全てを任意で変更しなければいけません。とはいえ、オシロスコープを使うような中級者以上であれば困惑はしないでしょう。見たままの操作です。

そして画面は64×128のLCD(液晶)なので、ドットは目立ちます。とは言え、この解像度、見たことありませんか? そうですね、SSD1306のOLEDモジュールの解像度です。あれは解像度がそこま低いようには感じません。ですから画面のサイズこそ違うものの、解像度は同じと考えれば意外と悪く無いかもしれません。

あとは、キットやポータブルオシロとしては珍しくFFT機能を搭載します。画面の解像度が高いわけでは無いので、細かいところまでは見れませんが、それでも簡易的にスペクトラム分布が確認できるのはアドバンテージですね。使い方さえ慣れてしまえば意外と音響系のデバッグなどで便利そうです。

一応公式から画像があったので貼っておきます。これは前代モデルのDSO062でのFFTです。
IMG_1496.jpeg
https://jyetech.com/wp-content/uploads/2018/07/dso-062-fft-2.jpg のFFT実行画面のみ切り出して使用。2024/6/26編集。

これは1KHzの信号をFFTモードで表示しています。グラフはdb/freqグラフになります。画面上にサンプリング数のレート、そして下の目盛り1つあたりの周波数も表示されているので、どこにスペクトルが立っているかは分かります。これについては後ほど試してみます。

あと、デスクトップオシロスコープに対する、キットやポータブルのオシロスコープの利点はやはり起動の速さです。ポータブルということもあって持ち運ぶこともありますが、逆に 「あなたは外出先で少しだけ観測したいだけの時に起動の1分間を待ちますか?」 という話です。無理ですよね。暖機なんて言っている場合ではなく、あくまで突発的な電圧変動があるかの確認に使用するだけですから。もちろん、突発波形を見るためにはトリガー設定が正しくできていることが前提です

組み立て

ここまでグダグダ語ってきましたが組み立てしていきますというかその前に開封します(マジで今更)。

さすが秋月さん、箱が綺麗です(というかChina Postがもっと丁寧に扱えよって話)。

IMG_1793.png
これが外箱です。(グリーンバック生成の都合で色調が少々変化しています)

開けた時に落ちる部品もあるので要注意です。

ちなみに、測定時に必要なプローブは以下のものが付属していました。
IMG_1794.png
画像では写っていませんが、P6020というJYEtech製プローブです。耐圧600Vで20MHzまでのプローブです。型番はProve600V20MHzからとっているのではないかと思います。ケーブル断線防止の蛇腹(?)もしっかり長さがあります。

プローブのカテゴリはCAT II 600V(x10)です。通電中の電化製品などの中の部品での波形等が観測できます。このカテゴリがあればテスタの繋いでオシロスコープの要領で電圧などを測れたりします。便利ですね。

ちはみに、プローブは箱の中に押し込まれて入っているので、計測器の世界で生きている人には見難いものです。

なんとか慣らして良い感じに折り目が丸くなるようにしましたが、折り目がガッツリついています。さすが中華(((製品のクオリティは全体的に高いです
同軸は扱いがセンシティブなので是非気を付けていただきたい…とはいえDAISOのTVアンテナケーブルと同じような梱包なので意外と大丈夫なのかもしれません。

プローブ自体も安っぽさはありながら、減衰比の切り替えスイッチやフックキャップなどの樹脂部品に加工不良はなく、バリもしっかり取られていて引っかかることはないです。なんというか、 「及第点をしっかり超えてきた」 って感じのプローブです。

しっかりコネクタのハマりも良き。BNC-Jコネクタのロック機構のバネも程よく効いていて、この時点で 「あれ、中華製品らしさがあまり感じられない… これもしかして当たり中華か?」 と思っていました。

ちゃっちゃと半田付けしてしまいます。ちなみに、抵抗にはカラーコードの似ているものもあります。見る向きを間違えると(精神的に)爆散してしまいますので、テスターで測っておきましょう。そうすれば爆散せずに済みます。

組み立てシーン/テスト内容

お前初期不良かよ!

コテライザーに続いて初期不良でした… 残念。幸いにも秋月はJYEtechの代理店ですので、メール送って、待つだけです。

https://qiita.com/bockring/items/5e4ca0d3c84beee26e39

ここからはあらかじめ書いていた分になります。まだ検証していませんので、ご注意ください。(2024/08/22更新現在)
→交換品が届きました。(2024/08/28)

(完成画像を挿入し忘れていました… また撮影しておきます。)

あれ、なんか良さげじゃない?とか思いつつ、電源を挿します。電源ONはロータリーエンコーダ長押しです。Bootloaderモードの5秒後、「Booting…」と表示され、数秒後に起動します。

その後、10:1プローブの校正をします。みなさんご存知でしょうから割愛します。テスト信号を入力してトリマキャパシタを回して調整するだけですし。

テスト使用

適当な波形を観察します。正弦波信号と矩形波信号を3.5mmミニジャックから出力してそれを観測します。

1kHz正弦波
IMG_1826.jpeg

10kHz正弦波
IMG_1827.jpeg

ノイズ1
IMG_1835.jpeg

ノイズ2
IMG_1847.jpeg
安定化電源の無負荷ノイズです… 400mVpkpkってなかなかなノイズじゃないですか…(プローブ減衰比x10)

ノイズ3
IMG_1871.jpeg
安定化電源のUSB出力です……ってこっちもノイズまみれかいな…ETS(等価時間サンプリング)駆動ですが、USBでも500mVのノイズが乗っているようです。絶対に使いたくないですね。

ちなみに周波数は500kHzのようです。結構高いですね。通常の充電器なら100kHzくらいまでですからね。

ノイズ4
IMG_1869.jpeg
CIOのモバイルバッテリーのUSB-A出力のノイズです。x10ではノイズが確認できなかったのでx1で観測しています。つまり35mVです。優秀ですね。

パルス1
IMG_1828.jpeg
パルス波形の立ち上がりをHOLDしています。これはiPadで信号発生ソフトを用いてイヤホンジャックから出力している(正弦波も同様)ものなのですが、減衰比のx10を乗算したものによるとiPadの(とても薄っぺらい)DACでも2.5Vpkpkくらい出るんですね。

HOLDするタイミングが合えばこのように立ち上がった後の跳ね返りのようなものもキャプチャーできています。

パルス2
0%〜70%くらいまでです。信号源にはTOMIX N-DU101-CLを用いました。筆者は実は鉄オタだったりします。
IMG_1839.gif
このパワーユニット(信号源に使用した機器)ってパルスの立ち下がりが鈍ってるんですね。

パルス3
IMG_1879.gif
こちらはArduino DUEで生成したPWM信号(3.3Vpkpk, ≒1kHz)です。3.3Vを入力した可変抵抗器で調整した電圧をA0の入力し、D9から出力しています。Arduinoを持っている方は分かると思いますが、一応コードを載せておきます。

PWMgen.ino
void setup () {
  Serial.begin();
}

void loop () {
  int value = analogRead(A0) / 4;
  Serial.print("PWM value : ");
  Serial.print(value);
  Serial.println("/255");
  analogWrite(9, value);
}

PC経由でデューティー比を確認できるようにしています。

FFT
IMG_1868.jpeg
微弱信号を扱う時はプローブをx1にした方が良さそうです。

周波数カウンター
IMG_1859.jpeg

実使用のための準備

ここまではあくまでテスト使用でした。ここからはさらに実用的に使用するための準備をしていきます。

1 MODEボタンの穴の加工

Trigger Modeのスイッチの穴の部分が狭いのか押したら戻って来ません。紙やすり(#480)で丁寧に削って穴を広げ、湿らせた綿棒とキムワイプで削りカスを取り除きます。

せっかく基板ごと外したので、(DAISOで見つけて気になって買ってしまった)シリコンスプレーを噴いて滑りをよくしておきます。

2 バッテリー実装

バッテリーは絶対と言っても過言では無いほど必要です。毎回USBで電源供給するのは面倒ですし、ポータブルオシロのメリットは小さくて軽いことですのですぐ移動できないといけません。ケーブルも煩わしいですからバッテリーを実装します。

DSiバッテリーを取り付けます(え?)。860mAhですので、バックライト点灯時でも3時間程度は駆動できるはずです。あらかじめコネクタを半田付けしたバッテリーを基板のコネクタに差し込んだらOKです。

しかし、事前に作業した時はトランジスタテスター用の向きにコネクタを取り付けてしまっていたので、端子を入れ替えます。いや、やっぱりコネクタが硬すぎて抜けないのでコネクタをケーブルごと(付属のものに)変えます。

本体に昇圧BOB(基板)があるので、そこで5Vにして駆動します。

パチッ(差し込み音)

これでOKです。計測が楽になりますね……
 と言いたかったのにぃ!
分厚過ぎてケースが閉まりません。仕方ないので300mAhのLi-poバッテリーを実装しました。すぐにバッテリーが切れます。薄くて容量の大きいバッテリーを見つけたら交換しておきます。

1000mAhの薄いバッテリー安く売ってないかなぁ。

バッテリーを取り付けるとシャットダウンに不具合が出現する可能性があります!

バッテリーを実装すると、シャットダウンに失敗する頻度が上がります。

画面が完全に消えるまでエンコーダを押し込みましょう。

3 PCへのJYE Laboソフトの導入

これはまた今度やりますが、Windows専用ソフトであることは注意が必要です。このソフトを導入し、接続することでDSO068をPCオシロスコープとして使用できるようになります。

このメリットは表示の高解像度なのですが、実際はTera Term経由でCSVファイルを書き出してExcelで読み込めば良い、というのはありますが、手順を踏まなくても良くなるので是非入れたいです。

終わりに

すごくグダグダの記事になってしまいました…

今回の驚きは、水平軸解像度を上げると意外と画面の更新速度が速かったことですね。

それではまた〜

そして組み立てし、記事を書いてから気付いたんですよ。DSO154 Pro買えば良かった!!!

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