はじめに
こんにちは。今回は新品電卓でございます。
というのも、fx-375ES AとF-789SGの比較なども含めたおすすめ電卓の記事をそのうち投稿する予定なのですが、前者のfx-375ES Aを所有していないのです。そもそもF-789SGも同時に買った訳ですが。
しかし、fx-375ES AはCASIO fx-ESシリーズ第2世代の電卓です。これには国内ではfx-ES Aシリーズと海外のfx-ES 2nd Editionシリーズが該当します。
今回はCASIOのNatural-V.P.A.M.系最上位機種のfx-115ES Plus 2nd Edition(以後fx-115ES+2
)をレビューしていきます。
fx-375ES Aのレビューと思って読んでください。
スペック等
本記事で紹介するfx-115ES+2はfx-375ES Aと本質的に同じものです。色と機能が違うだけなので、モード比較だけしておきます。
モード
MODE | 略称 | 機能 | fx-115ES+2 | fx-375ES A |
---|---|---|---|---|
COMP | COMPUTE | 基本計算 | √ | √ |
CMPLX | COMPLEX | 複素数 | √ | √ |
STAT | STATISTICS | 統計 | √ | √ |
BASE-N | BASE-N | n進計算 | √ | √ |
EQN | EQUATION | 方程式 | √ | √ |
MATRIX | MATRIX | 行列 | √ | |
TABLE | TABLE | 数表 | √ | √ |
VECTOR | VECTOR | ベクトル | √ | |
INEQ | INEQUATION | 不等式 | √ | |
VERIF | VERIFY | 真偽検算 | √ | |
DIST | DISTRIBUTION | 確率分布 | √ |
CASIO公式PDFではTI-36X Proの上位互換・fx-991EXの下位互換といった立ち位置のようです。
正規品確認
MODE
キーを押したあと0
を押すとQRコードが表示されます。これを読み取り、確認ボタンを押すと正規品か、模造品かが判定できます。
開封状態で届いた(新品のはずなのに…)ので確認に通しました。
正規品とのことです。開封跡は検品なのでしょうか…(不審感)
レビュー
とりあえずレビューしていきます。
使い方自体はClassWiz EXシリーズ(ClassWiz第1世代)と似通っているところが多くあります。圧倒的な違いは画面の差でしょう。
fx-ES IIシリーズ | ClassWiz EXシリーズ | |
---|---|---|
画面 | 96x31 | 192x63 |
機能別ファンクション | 2ndファンクション |
OPTN キー |
ざっくりとこの差があります。
計算上のバグ(?)
実は、内部演算15桁・数学自然表示のCASIO製関数電卓にはバグ(?)が存在します。
それが現れる式は以下の2式です。
- $\frac{11^6}{13}$
- $\frac{12394643}{23}$
これらの式は前者が136273.9231
、後者が538897.5217
となるのですが、精度15桁の中に誤差が生じない、あるいは無視できるレベルの誤差となるπを用いた近似値を表示してしまいます。
それぞれ、
- $\frac{156158413}{3600}\pi (\simeq136273.9231)$
- $\frac{720452917}{4200}\pi (\simeq538897.5217)$
と表示されます。
これは、精度が15桁のfx-115ES Plus 2nd Editionにも再現性があります。特定の計算でしか発生しない現象のため、CASIOが気付くのも難しいということでしょうか。
おそらくですが、πの計算はπ以外を計算する
のではなく、計算後にπで比較的単純な形に直せるものはπを用いて表示する
というアルゴリズムなのでしょう。
このように説明すれば、間違った解の係数の分母部分が100の倍数となっていることも納得できます。
一応これに対して問い合わせをしたみたのですが、仕様とのことです。
本件の担当者に掲載の可否を求めたところ、ありがたいことに投稿者による要約文であればOKと許可をいただけましたので、ご紹介します。
要約文
fx-JP900・fx-375ES Aなどの機種について対象製品の数学自然表示入出力モードにて、
$\frac{11^6}{13}$や$\frac{12394643}{23}$の計算を
行った際に$\pi$を含んだ計算結果を出す現象はバグではなく、仕様。そのため結果が小数でも、$\pi$の分数倍に十分近い小数は、
$\pi$の分数倍として計算結果を表示される。近似値のため正確ではないが、関数電卓という限られた有効桁数の範囲に対して変換している。
後半部分はバッサリとカットして、かなり要約しましたが、非常に丁寧な説明かつ親切な対応でした。対応も速く丁寧で、カスタマーサポートに関しては★評価で5分の5です。ここまで的確な対応は初めてかもしれません。
また、どうやら考察も概ねあっていそうです。分数倍の結果で表される、すなわち小数点で表すよりも正確に表すことができる場合は$\pi$を用いた解を返すということです。
キーの押し心地
キーはクリック感があるタイプです。TI-36X Proほどの心地良さはありませんが、クリック感があることで半押しに気付くことができます。クリック感がないと押せてなくても気付きにくいんですよね。
しかし、カーソルキーは小さくて半押しになりやすいかな、と思います。ClassWiz EXシリーズではカーソルキー全体で楕円状であったため、大きさももう少しあり押しやすかったのですが、廉価版ですから仕方のないことです。
演算速度
なぜか、極めて遅く感じます。あれ、そんなことないはずだけどなぁ… 他の機種が速すぎるんですよ。まぁ一般的には十分速いかと思われます。
と言っても25年くらい前のプログラマブル関数電卓よりも遥かに遅いのですが
試しに無駄に時間のかかる方法で円の面積を求めてみましょう。半径$r$に1を代入した時、答えは$\pi$となります
\int_{-r}^{r}{2\sqrt{r^{2}-x^{2}}dx}
これ、無駄に時間がかかります。普通に$1^{2}\pi=\pi$なので、この定積分の答えも$\pi$になります。
電源
ツインパワーで、電池はLR44が1個です。素晴らしい。多分ソーラー単体でも極端に強い光を与えることなく動くと思います。
おわりに
どうでしょう、fx-375ES Aのレビューだと信じて読めましたでしょうか。
また本機種特有の機能は加筆予定です。
それではまた〜