この記事について
Modeling Forum 2023のEvent Stormingワークショップに参加したことについての記事です。ワークショップの学びを整理する流れで、参加した動機やきっかけ、感想などがざっくばらんに記事にしました。
この記事でしないこと
- Event Stormingそのものについての説明
Modeling Forum 2023とワークショップについて
2023年11月22日(水)に Modeling Forum 2023(以下 MF2023)が開催されます。
(この記事の執筆時点ではまだ開催されていません。)
その本会とは別に、11月10日(金)に開催されたワークショップ『ドメインモデリングの強力なツール: Event Stormingを体験しよう』に参加してきました。
ワークショップのファシリテーターは加藤潤一さんと成瀬允宣さんです。
(無料で大丈夫なんですかね・・・)
Event Stormingのワークショップに参加した動機
エンジニアとして技術的負債を始めとした開発に関わる問題について考えることが多く、それを解決するためにモデリングに可能性を感じているところがあります。エヴァンス本のまえがきに「モデルと動作する実用的なソフトウェアとの間にある溝を埋める」1とありますが、モデルとソフトウェアの間に限らず、開発に関わる様々なところに大きな溝があるように思えます。開発に関わるさまざまな問題も、そうした溝に真因があるような気がしており、その溝を埋めるためにモデリングが有効なのではないかと考えています。
エリック・エヴァンスは(DDDで)乖離を解決したかった 2 --t_wadaさん
しかしながら、モデリングに関する知識は学ぶことはできても、モデリングをしながら議論する機会はなかなかありませんでした。そんな時に、こちらのワークショップの存在を知りました。
こんな機会はまたとないので、すぐに申し込みをして、北海道から東京行きの計画を始めました。
ワークショップ参加前の状態
「Event Stormingなんもわからん・・・」
「Event Storming」という名前くらいしか知らなかったので、早速紹介されている『Learning Domain-Driven Design』3 を買い、Event Stormingについての章を翻訳して読みつつ大まかな流れを把握し、「あとは実際に体験してみよう」という気持ちでワークショップに臨みました。
体験して得たこと
ワークショップの目的としても「形式や厳密さよりも感覚を掴む」とあり、実際に体験して得た感覚であったり、講師の方がの経験則からくるアドバイスなどを聞けたのが大きな収穫でした。
イベントの起票について
最初は全員でとにかく貼り出していったのですが、精査している時に慣れが必要だと感じました。不足しているイベントや抽象度の高いそうなイベントについて議論していることが多かったと思います。
また、今回のワークショップではドメインエキスパートがいなかったので、判断が難しい(正解が決められない)という点もありました。ドメインエキスパートが参加することで議論がスムーズにいくのか、あるいは別の問題が出てくるのか、このあたりも体験してみたいところです。
ハッピーケースのタイムラインから作る
イベントのタイムラインを作っていく際に、まず注目するのはハッピーケースとのことです。起点となる最初と最後のイベント決め、その間を埋めていくことに集中します。その際に議論をしていると想像力が働いていろいろな観点が出てくるのですが、そういう時はホットスポットとしてメモしておくことで、議論が脇道にそれずに進めていけそうです。
ツールについて
「物理的な付箋は粘着力が落ちてくるので、安い付箋は避けたほうが良い」というお話がありました。こういったところは実際に経験しないとわからない部分ですね。ワークに集中したいので、こうしたツールはストレスが少ない良いものを選んだほうが良さそうです。
ちなみにワークショップはMiroを使ったので、付箋の粘着力で困ることはありませんでした。『Learning Domain-Driven Design』でもMiroは注目すべきツールとして出てきます。
大きな画面で同じところに注目する
ワークショップでは個人のPCでMiroを使っていたのですが、プロジェクターで壁に映して議論するのもメリットを感じました。個人のPCで作業をしている状況よりも、同じ画面を見ることで注目しているところを揃えやすい点があると思いました。できれば大きなディスプレイやプロジェクターを用意して、全員が同じところに注目できるようにできる環境を整えたほうが良さそうです。
感想など
こうした新しい仕組みを現場に導入するにあたっては、「導入していい結果になるイメージが持てるか」というのはというのは重要なことだと思うので、今回のワークショップはそうしたイメージを持つための貴重な経験だったと思います。はるばる北海道から参加してよかったです。
ファシリテーターのお二人、運営の皆様、同じチームや参加者の皆様、ありがとうございました。
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『エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計』 まえがき > 本書の構成 ↩
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https://www.oreilly.com/library/view/learning-domain-driven-design/9781098100124/ ↩