はじめに
UKIです。
今回は論文検索の方法について紹介します。
論文検索の目的
まず、なぜ論文検索が必要か?ということを簡単に列挙します。
投資戦略を理論武装する
仮想通貨は新興的なプロダクトです。取引主体に占める個人投資家の割合が多く、非効率な取引が存在します。このため、既存の投資理論を持ち込むことで大きな利益を獲得できる場合があります。筆者がこれを感じたのが、マーケットメイク(高頻度取引)に関わる戦略でした。2018年頃の話ですが、株式戦略で体系の出来上がってきた板取引戦略の論文を活用することで、ボットの収益性を向上することができました。
また仮想通貨のプロダクトには金融商品としての設計が拙いものが存在します。通常の金融商品では考えられないようなrebateが設定してあり、デリバティブ戦略を組み合わせて正しく取引を行うことで低リスクで利益を獲得できたりします。
投資戦略のアイディアを探す
いくら優秀な人間でも、自分ひとりの考えのみに基づいて戦略構築や検証を行うと局所解に辿り着いてしまい、ブレイクスルーが難しくなることがあります。そんなときは他人のアイディアを参考にすべきです。
論文を読むことで単純な投資アイディアだけではなく、その過程における検証の道筋の建て方や、実際の検証に使う手法も学ぶことができ、自分の持ち札に加えることができます。
車輪の最発明を防ぐ
車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、英: reinventing the wheel)とは、「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を(知らずに、または意図的に無視して)再び一から作ること」を指すための慣用句(Weblio辞書より)
自分が閃いたアイディアはとても画期的で斬新なものに感じられると思います。しかし世の中は広いもので、自分の閃いたアイディアは必ずといっていいほどどこか他の誰かも閃いているものです。従って、論文検索によって先行事例の有無を確認すべきです。もしも先行事例があったとしても、それは他の誰かが自分の代わりに途中まで検証を行ってくれたものだとポジティブに捉えることができます。そこから先の探索へ進みましょう。
論文検索のやり方
SSRNを使います。早速サイトにアクセスしてみましょう。
アカウントを作る
とりあえずアカウントは作っておきましょう。
検索する
Advanced Searchを使う方法がお勧めです。クリックしてください。
設定ですが、
(1)検索ワード
検索したいワードを入れます。複数のワードの場合はスペースを入れて入力してください。今回はcryptocurrencyを検索します。
(2)検索範囲
基本的には真ん中のTitle, Abstract & Keywordsでよいです。
(3)検索期間
仮想通貨界隈の変遷は激しいため、直近の論文に絞ることをお勧めします。ここでは直近2年を選択します。
検索結果
直近2年で634件もヒットしました。並び順ですが、Download数の多いものから降順で表示されています。上に表示された論文ほどDownload数が多く、たくさんの人に参照されている、ということになります。TOP3の論文は、
- The Best Strategies for Inflationary Times
(インフレ下における最適な投資戦略) - Defi and the Future of Finance
(Defiとファイナンスの未来) - Tokenized: The Law of Non-Fungible Tokens and Unique Digital Property
(トークン化: NFTとユニークなデジタル資産の法の在り方)
興味ある論文をピックアップする
面白そうな論文が並んでますね!TOP50の中からさらに興味のあるものを1つ選んでみました。
How Elon Musk's Twitter Activity Moves Cryptocurrency Markets
(イーロンのツイートがどのように仮想通貨市場を動かしたか)
こんなの研究して論文まで出す人がいるんですね!相棒のHohetoがイーロンボットを作っていましたが、自分でバックテストしなくても論文検索するだけで過去の収益性がどうだったか、確認できてしまいます。
アブストラクトを読む
我々にはDeepLがあるので「英語が苦手」というセリフはもう使えません。Chromeの拡張機能がお勧めです。翻訳対象の文章を選択してワンクリックで、翻訳が完了します。
本文中のグラフを見る
あとは本文中のグラフだけは見ておきましょう。優れた論文には、一瞥で結論を言い表せるグラフが記載されていると思います(この論文のグラフはイマイチですね)
おわりに
いかがでしたか?やってみると非常に簡単だということが分かります。
論文検索は非常に地味な作業ですが、積み重ねていくうちに確実に自力が身につくと思います。
読者の皆様も「論文読んだマウント」取れるようになりましょう!
レッツ論文ライフ!