クリスマスですね。ジャーニーマン( @beajourneyman )と申します。
システムインテグレーターでCOBOLプログラマ、SE、多種多様な案件のPMなどを経て、現在はコンテンツマーケティング(オウンドメディア/SNS)を担当しています。1年半ほど運用を経験した駆け出しのマーケターです。
こちらは データ活用 Advent Calendar 2018 の25日目の記事です。
このエントリーの背景
業種業態、選定技術、利用ツールも異なる様々なプロジェクトをPMとして担当して来て、データ活用をキーワードに振り返った時、過去にDr.Sum製品軍をお客様に導入した際、実践を通してとても大切なポイントだと実感したことをお伝えします。
Dr.Sumについては詳細の説明は以下のリンクに代えさせていただきます。今では多種セルフサービスBIにとっても共通するテーマだと感じますので、他の製品に読み代えていただいても良い構成でまとめます。
セルフサービスとは?
ITのツールにおける"セルフサービス"とは何でしょうか? 当方のイメージは、真にエンドユーザーコンピューティングを実現できている状態と捉えています。老舗のIT用語辞典e-Wordさんの解説によると以下の解説があります。
キーワードは"現場で業務を行う従業員や部門"です。主役はあくまで現場の担当者さんであるということです。Qiitaの読者のエンジニアの皆さんからすると"非エンジニア"という大きな枠組みの中の人という印象だと思います。
当たり前ですが、現場担当者は、プログラミングの素養は基本的にありませんし、いわゆるITリテラシーも決して高いとは言えないでしょう。そんな彼らが、自らの業務を円滑に遂行するために、自ら作成し利用し改善する状態、それがセルフサービスです。社内IT部門や外部のシステムインテグレーターの手を借りずに。
実現の鍵は"教育"
極々当たり前のことを書いていることは十分理解しています。BIでも基幹システムでもユーザー教育は行われます。ただし、セルフサービスを目指す教育の質は異なります。業務システムのユーザーマニュアルは、日々行なっている業務をフローに則った操作説明で業務を円滑に進めるモノです。一方でセルフサービスの場合はどうでしょうか? それは自ら作成し利用し改善するために必要な教育です。かつまた、オーダーメイドで作成したシステムとは異なりツールの制約を踏まえたモノである必要があります。
ゴールのイメージは「ツールの特性を踏まえ作成し利用し改善するサイクルを自走して回せる」状態です。
ポイントは自走です。自走するには並走しているサポートチームの存在が欠かせません。また、読んで理解でき作成し利用し改善するアクションを自ら行えるマニュアルとそれを想定したツールの設計が必要です。
"教育"から自走へ
これまでの自身がカットオーバーした実プロジェクトの経験を元に、実際にどんな取り組みをしたのかご紹介します。
これまでとこれからの違いを明確に伝える
例えば、今回テーマとして取り扱っているセルフサービスBIであれば、これまでは紙の売上日報やExcelなど、必ずと言っていいほど、これまで利用していた資産があります。その時に注意することとして、エンドユーザーが分かる言葉で、どんな違いがあり、どう変わるのか、そして以前のこの項目は今後BI上のどの項目に該当するのかのレベルで丁寧に説明することです。新しいモノを理解する時に既存の慣れ親しんだモノとの対比は極めて重要です。伝えるだけでなく、覚えてエンドユーザー自身が自分のモノにできているかの観点で届けます。
マニュアルとハンズオンは実業務そのもののシナリオを
セルフサービスBIを導入する時に欠かせないマニュアルを用いたハンズオン、ここでも徹底したエンドユーザーファーストを貫きます。昨日、現場で実施した数値確認やExcelでの集計、ハンズオン開始までに現場が何をしているのかのシナリオを繰り返し繰り返しヒアリングして、実戦そのもののストーリーをマニュアルとハンズオンに実装します。
全国から初めてそのツールを習いに来られる多くの方にとって、ファーストタッチはとても重要です。可能なら、大規模にハンズオンをする前に、数名のパイロットを複数サイクル回して内容を磨きます。自分の場合は、毎回改善点が見付かり、セルフサービス化、"自走"化の成否を分ける重要な取り組みでした。
実際のハンズオンの際は、十分時間をとり、脱落者がいない状態を目指して、時間配分、人員配置、環境準備を行なってください。これは実戦した個人の感覚値ですが、20名くらいの単位が全員をフォローしやすくやりやすかったです。
また、これはオプションですが、全国からいらっしゃる場合は当日宿泊を伴うケースが多いため、是非終了後の懇親会をセットしてください。これはユーザーグループの勉強会などと同じ理由で、発表者(講師)と受講者(参加者)の構図だと、どうしても一方通行になるためです。相互にコミュニケーションを取ることで今後に繋がる重大な気付きを得られることは少なくありません。是非検討してみていただければ。
社内の問い合わせ窓口はカスタマーサクセスであれ
タイトルそのままなので、多くは語りませんが、ツールのファンになって使い倒していただくために必要なことをどんどん実施してください。社内におけるカスタマーサクセスについては以下の別エントリーで書いているので、そちらをご覧ください。
結果だけお伝えすると、これら3つの取り組みを通して、雛形のダッシュボード数個のみを実装しリリースし、約1ヵ月で日本全国で利用される各現場のエンドユーザーさんが実装したダッシュボードが100を超えました。"自走"を目指していたので、とても嬉しい結果でした。
最後に
データ活用にとって大切な最後の一歩について、現場で業務を行う従業員や部門が"自走"するための教育をキーファクターに紹介しました。"自走"する状態をイメージして教育を設計・実施する際のポイントを、まとめとして3点お伝えします。
- エンドユーザー自身の既存と新規の違いの理解が重要な基礎となる
- マニュアルとハンズオンはエンドユーザーとツールの出会い、最高のおもてなしで挑む
- "自走"を並走してサポートするカスタマーサクセスのマインドを持ったチームを編成する
"自走"を実感できた後、自分はプロジェクトを卒業しましたが、エンドユーザーさんが自分ゴト化し取り組むことで、当初出てこなかった前向きなフィードバックやユーザーさん全員にとって価値のある改善提案に繋がるなど、愛されるセルフサービスBI基盤として、バージョンアップを続けたそうです。
皆さんのセルフサービスツール導入ミッションが成功し、エンドユーザーの皆さんが存分にデータ活用できるコトをお祈りして筆をおきます。