LoginSignup
9
5

ファンになってもらうコト(社内での活動事例)

Last updated at Posted at 2018-12-11

ジャーニーマン( @beajourneyman )と申します。

システムインテグレーターでCOBOLプログラマ、SE、PMなどを経て、現在はWebマーケティング(B2Bオウンドメディア/公式Facebookページ)を担当しています。1年半ほど運用を経験した駆け出しのマーケターです。

こちらは カスタマーサクセス Advent Calendar 2018 の11日目の記事です。

この記事の背景

コミュニティマーケティングの勉強会 #CMC_Meetupでお話しさせていただいたLT(Lighting Talk)が今非常に注目されているカスタマーサクセスに通じる取り組みだったと感じたことが、本エントリーを書こうと思ったきっかけです。

LTのスライドはこちらです。
thumbnail

LTでお話ししたテーマは、ファンになってもらうために、どう考え、何を実践したのか、そして結果です。カスタマーサクセスにも通ずる考えや実践方法だと考えています。

  • ブログなどによる情報発信を行う
  • ハンズオンを実施する
  • イベントでの周知する
  • オンライン・オフラインでユーザーのフォロワーになる
  • 社内のユーザーをカスタマーと見立ててサポートする

それでは取り組みの背景と実践して得た気付きをまとめます。

取り組みの背景

もう2年半前になりますが、「縦割りで、風通しが悪く、結果、意思決定が遅い」という社内状況があり、課題感を持っていた社員が多少いました。そこで、コミュニケーションの改革に着手することになりました。それが、社内でチャットツールを試験的に導入し、利用してみることでした。

今となっては大きな驚きもありませんが、当時はいわゆるエンタプライズのシステムインテグレーターとしては珍しいケースだったと思います。ただ、それまでの苦い経験から、導入は慎重に行われました。今までの社内ツール導入時の状況は「上がやれ、と言うからやる」「今のままで回っているのに何で変えるの?」「マニュアルがないから使えない(使わない)」など、ツールの良し悪しや導入で得られる効果よりも、変化そのものがブレーキとなり活用されないということが起こりがちでした。

そこで当時としては、隔世の感がありますが、以下のルールを前提にしました。

  • 希望者のみにアカウントを配布する

上から落としてやらせてもなかなか活用できない状況で、希望者を募って集まるのか? そんな酔狂なメンバーが現れるのか? そんな疑問は少なかららずありました。良いモノでも、利用者低迷となると、失敗を許容しにくい文化の中では討ち死にしてしまいます。そこで、試してみようと考えたのが口コミでグロースするコミュニティーマーケティングのフレームワークでした。

意気込みとしては、エバンジェリスト、アドボケイト、カスタマーサポート、カスタマーサクセスなど、"ユーザーに寄り添う"ことを通して、ファンになってもらうことを活動の軸にしました。

実践したコト

ファンになってもらうために実践したことを紐解きます。

  • ブログなどによる情報発信

社内で利用するチャットツールなので、これまでのスタイルに倣うのであれば、いわゆるファイルとしてドキュメントを作り、表紙、改定履歴などを添えるが一般的でした。ただ、UXからみるとあまり使い勝手が良いとは言えません。チャットツールはWebサービスです。ファイルサーバや紙を探すより、サービスのヘルプを開くように簡単にアクセスできる方がフレンドリーです。マニュアル然としていない使い方ですが、ブログとしてリリースしました。当時はツールの日本語版がなくUIやヘルプが全て英語だったので、日本語化も大事なポイントでした。以降、段階を追ってアップデートを何本かリリースしました。

併せて、ユーザーの皆さんが参加するチャットのよろず情報の場所を作り、お役立ち情報や便利な使い方などを定期的に発信しました。リアクションがしやすいツールだったので、反応を見ながら、次の投稿を企画し随時改善を繰り返して行きました。ツールの検索性も高かったので、ブログの記事の中の使い方も小分けにして前述の場所に投稿することで、検索窓にキーワードを入れると、ほぼ一発で欲しい情報にたどり着けるようになりました。情報が一箇所に集まることでストレスフリーになりとても楽でした。

  • ハンズオンを実施する

使い始めにつまずいてしまうと離脱してしまうケースがあると思います。こちらが主体で行うケース、依頼を受けて行うケースも含め、まずは使って体験してもらう場を設けました。その場で疑問が解消でき、先行で使っているユーザーと同じように使いこなせる体験は、大きな前進の手助けになりました。オンラインで非同期に対処するケースが増えた昨今、集まって行うハンズオンは、かかる負荷に見合うだけの威力がありました。そこでも、紙を排して、参加者全員のコミュニケーションを通じて理解を深める仕掛けを重視しました。

  • イベントで周知する

どんなモノなのか興味はあるけれど、わざわざハンズオンをして貰ったりするのは面倒だし、積極的に使いたい訳でもない、そんな方にも社内で行われるイベントで少し時間をもらって、どんなモノなのかをその場でデモして知ってもらう機会を何度も設けました。百聞は一見に如かず、オフラインの場でライブで体感することも、うっすらした興味をグッと引き寄せるには良い機会でした。

  • オンライン・オフラインでユーザーのフォロワーになる

ふわっとしていますよね?具体的にどんな活動なのかでしょうか? これは、ユーザーひとりひとりの振る舞いを観察しながら、都度都度ユーザー個々にフォローをする活動です。例えば、良い投稿があった時には、まずは投稿にリアクションする。投稿を覚えていて対面で投稿の感想を伝える。何か困っていそうと感じた時にはプロアクティブにヘルプする。こちらから課題を見つけにいき体験の質向上に必要なインサイトを得る感覚です。オンオフ問わず常に伴走していて、いつでもチャットでやり取りできる状態をつくるイメージです。ひとりではないこと、これはとても重要だったと感じます。

  • 社内のユーザーをカスタマーと見立ててサポートする

まず何よりもユーザーの困りごとを真っ先に拾おうと考えました。先ほどのチャットのよろず情報の場所は、いつでも問い合わせを受けられる場として全員に解放していました。英語のヘルプとサポートしかなかったので、ユーザーが解決できないモノは、こちらで代行して問い合わせ、同じ課題にぶつかった時に困らないようお役立ち情報としてすぐにコンテンツにし共有するサイクルを回しました。サービスのヘルプを充実させるイメージです。長きに渡って実施するコトで、少なくないナレッジが資産になりました。

どう変わったか

それぞのアクションが、チャットによるコミュニケーションの価値訴求、コミュニティの一員としてエンゲージメント向上、ユーザー課題の解決を通してロイヤリティの向上などに繋がっていたのではないかと考えています。

導入当初は全社的に活発に使われる状況はイメージしにくかったですが、口コミで良さが広がり、インバウンドでユーザーがユーザーを呼ぶサイクルになって行きました。初期の段階は、個人ごとも多かったですが、チーム単位での申し込みが増え、部門全体で利用を促進する流れが生まれました。

部門全体での利用促進のきっかけは、トップがファンになってくれたことでした。部門の責任者が良いと感じてファンになってくれると良さが伝わるパワーは大きいです。トップが率先してアクションしているとそれに着いて行こうとするフォロワーの動きも活発になります。上から下に指示命令する流れでなく、良さを伝えるという口コミの基本的な軸がブレなければ、良い循環が生まれると思います。

結果、一部のユーザーが使うツールから多くのユーザーが使うツールになり、ちょっとしたやり取りに使うツールが業務のコミュニケーションのコアツールへと変化していきました。数十人から数百人に利用が広がる場面を当事者として体感できたことはとても良い経験でした。

最後に

実践していた当時より、カスタマーサクセスの理解が深まった中で、この活動の文脈はとても近いのではないか? と感じ、このエントリーを書くことを決めました。LT当時のスライドを読み返しながら、ユーザーのインサイトをどう掴むか、そこから得た情報からどんな提案が出来るのか? そこからユーザーの体験をどう向上していきファンになってもらえるのか? 常にそんなことを考えアクションしていたことを思い出しました。

現在のことも少し添えます。今、チームでは社内のやり取りはチャットツールに一本化されました。どこにいてもシームレスにコミュニケーションが取れ、アイデアを形にすることや、意思決定することがチーム全体で共有されています。しっかり、現場のツールとして根付いている実感があります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。サブスクリプションビジネスが主流になる時代、カスタマーサクセスの活躍の場面はどんどん広がるのではないでしょうか? このエントリーが多少なりともお役にたてば幸いです。

9
5
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
9
5