はじめに
その日は、次に何を作るかを考えながらエディタを開いていました。
機能としては、まだ追加できるものがいくつもありました。
実装のイメージも、だいたい頭の中にあったと思います。
それでも、コードを書き始める前に一度手が止まりました。
「今日はここから先に進まない方がいい気がする」
そんな感覚だけが、妙にはっきり残っていました。
理由は、その時点では説明できませんでした。
起きていたこと
個人開発しているアプリは、ある程度形になっていました。
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基本的な機能は揃っている
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致命的な不具合はない
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次に足したい機能案もいくつかある
作ろうと思えば、まだ作れます。
実際、これまでずっとそうやって進めてきました。
ただ、機能を一つ足すたびに、
「どこまで影響するか」 を考える時間が、
以前より確実に増えていました。
違和感を覚えた瞬間
はっきり 「危険だ」 と思った出来事があったわけではありません。
ただ、次の機能を考え始めたとき、
どこから手を付けるべきかが、急に分からなくなりました。
選択肢は見えているのに、
どれを選んでも、あとで説明が必要になる気がする。
そんな状態でした。
その時の正直な気持ち
でも、書こうとすると、なぜか一拍置いてしまう。
「この一行を書いたら、どこまで責任を持てるんだろう」
そんなことを考えてしまい、手が止まりました。
まだ作れる。
でも、その 「まだ」 が、
自分にとってどこまで許されるのか分からなかった。
設計凍結という選択
そこで、機能追加を一旦止めることにしました。
完成させたわけでも、
やめたわけでもありません。
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データ構造に影響する変更
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画面構成を広げる追加
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将来の拡張を前提にした実装
これらを 「今は触らない」 と決めました。
進めない、というより
進まないことを選んだ 、という感覚に近いです。
止めてみて分かったこと
止めてみると、意外と視界が静かになりました。
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何を考えなくていいかが明確になる
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判断を先送りしていた部分が浮き彫りになる
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「今やる理由がないもの」が見えてくる
作業量は減りましたが、
頭の中はむしろ整理された感覚がありました。
やらなくなったこと
この判断以降、意識的にやらなくなったことがあります。
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思いついた機能をすぐ実装しない
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「後で直せばいい」という前提で進めない
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設計が曖昧なまま、作業を積み上げない
その代わり、
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今は決めないこと
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将来の検討事項として残すこと
を、はっきり分けるようになりました。
おわりに
設計を凍結する、という選択は
今でも、完全に正しかったと言い切れるものではありません。
ただ、あの時点で、
勢いで進み続けるより
一度立ち止まる方が誠実だ
そう感じたのは確かです。
個人開発では、「作り続けること」 そのものが目的になりがちです。
でも、止める判断もまた設計の一部なのだと、
今はそう思っています。
この判断が正しかったかどうかは、
もう少し時間が経ってから分かる気がします。