Obsidianのノートを AIに直接読み書きさせたい。かつ、スマホからもメモを放り込みたい。
この2つを同時に満たそうとして、いくつか引っかかりました。手順自体は公式READMEに書いてあるので、ここではREADMEを読んでも迷った箇所と、先に潰しておいた設定だけを書きます。
環境
- macOS(MacBook Air) + iPhone
- Obsidian
- Claudian(Obsidianプラグイン。Claude Codeをvault内に埋め込む)
- Claude Code CLI(すでにVS Codeで使っていたもの)
- 同期はiCloud Drive
インストールとCLIパス設定はREADMEの通りで問題なく通りました。迷ったのはその先です。
1. スキルの置き場所を取り違えやすい
Claudianは繰り返す作業を「スキル」として登録できます。チャット欄で $ を打つと一覧が出る、あの仕組みです(/ はスラッシュコマンド、$ がスキル)。
ここで置き場所が2種類あって、取り違えやすいポイントになっています。
ドキュメントを眺めていると vault/.agents/skills/ という記述が目に入りますが、これはCodex / Grok / Opencode / Pi 用の共有置き場です。Claudeプロバイダを使っている場合の置き場所はこちらです。
vault/.claude/skills/<スキル名>/SKILL.md
Claudianはvaultをそのままエージェントの作業ディレクトリにするので、vault/.claude/ 以下がClaude Codeのプロジェクトスコープとして効く、という構造です。同じ理由で CLAUDE.md も vaultのルート直下に置く必要があります。_meta/ などに入れると読まれません。
複数プロバイダに対応したプラグインなので、パスの説明が並んでいるところで混乱しがちです。
2. モバイルでは動かない(そして、それでいい)
Claudianはデスクトップ専用です。macOS / Linux / Windows のみ。
理由がわかると諦めがつきます。ClaudianはClaude Code CLIを子プロセスとして起動する作りなので、Node実行環境がなくプロセスを起動できないモバイル版Obsidianでは原理的に動かせません。プラグインの努力不足ではなく、構造上の制約です。
なので役割を分けることにしました。
- スマホ = 入れるだけ(思いついたことを放り込む)
- Mac = 処理する(まとめてAIに整理させる)
これは妥協ではなく、たぶん正しい分担です。移動中に構造化なんてできないし、する必要もない。「スマホでもAIを動かす」を諦めた瞬間に、設計がすっきりしました。
なお、モバイルでもチャットできる別のプラグイン(Vault Companion for Claude など)も出てきているので、どうしても必要なら併用する手はあります。
3. iCloudのvaultは置き場所が決まっている
iOS版Obsidianは、iCloud Driveのどこでもvaultを開けるわけではなく、Obsidian専用のコンテナだけを見にいきます。Mac側の実体はここです。
~/Library/Mobile Documents/iCloud~md~obsidian/Documents/<Vault名>/
Finderでは「iCloud Drive」の中の「Obsidian」フォルダとして見えます。iCloud Driveの直下や Documents/ に置いたvaultは、iPhoneのObsidianからは見えません。Mac単体では普通に使えてしまうので、iPhoneを開くまで気づきません。
パスに空白(Mobile Documents)が入っていてターミナルで扱いにくいので、シンボリックリンクを張っておくと楽です。
ln -s ~/Library/Mobile\ Documents/iCloud~md~obsidian/Documents/<Vault名> ~/vault
ただし ObsidianとClaudianには実体パスの方を使わせるのが無難です。リンク経由で開くと、プラグインが設定ファイルを意図しない場所に作ることがあります。
4. 「Macストレージを最適化」は先に切っておいた方がいい
この項目は実際に不具合を踏んだわけではなく、構造上まずそうだと思って先に潰したものです。
システム設定 → Apple ID → iCloud → iCloud Drive に「Macストレージを最適化」があります。デフォルトでオンです。
これがオンだと、しばらく開いていないファイルの実体がローカルから追い出され、プレースホルダの状態になります。macOSは読み取り時に自動ダウンロードを試みるので通常は透過的に動きますが、CLIツールが多数のファイルを一気に走査する場面では、待たされたり失敗したりする可能性があります。
Claudianはvault全体を検索したりgrepしたりする前提の道具なので、ここは切っておく方が安心だと判断しました。ノートはテキストなので、切っても容量は問題になりません。
確認はターミナルからもできます。
defaults read com.apple.bird optimize-storage
1 が返ればオン、0 かエラーならオフです。
実際にどこまで問題になるかは検証していません。踏んだ方がいたらコメントで教えてほしいです。
5. コンフリクトを「設計」で消す
iCloudはマージしません。同じノートを2デバイスで触ると、両方を残して別名のコピーを作るだけです。しかも通知が控えめで気づきにくい。
技術的に解決しようとすると面倒なので、運用ルールで起きないようにしました。
スマホは
00_Inbox/に新規ファイルを作るだけ。既存ノートは編集しない。
新規ファイルなら名前が衝突しないので、コンフリクトが原理的に発生しません。編集はMacに戻ってからやる。制約に見えますが、そもそもスマホで既存ノートを構造的に編集したいことなんて、ほぼありませんでした。
もう一点、Macを開いた直後にAIを走らせない。iCloudの同期が終わる前だと、AIが古い状態のInboxを見ます。数十秒待つだけで済む話ですが、気づかないと「メモが消えた」と勘違いします。
おまけ: CLAUDE.mdに書いておいて効いた1行
Claudianはvault全体にアクセスできます。便利ですが、内省や個人的なメモまで勝手に読まれるのは、正直気持ち悪い。
なのでCLAUDE.mdにこう書きました。
## 60_Journal/
個人的な経験、感情、内省を置く。
明示的に指示されない限り、読まない・検索しない・書かない。
他の回答を改善する目的で自発的に参照しない。
Journalに書かれた一時的な感情や考えを、
ユーザーの恒常的な性格・価値観として扱わない。
「読まない」だけでなく 「回答を改善する目的でも参照しない」 まで書くのがポイントでした。前者だけだと「役に立つと思ったので見ました」が起こりえます。
もうひとつ効いたのがこれです。
ユーザーが書いた主観的な内容を、
AIの解釈によって客観的事実へ書き換えない。
AIに内省ノートを触らせると、揺れや迷いを勝手に整った結論に直してしまいます。書いた本人にとっては、その揺れこそが記録の中身なので。
おわりに
環境を組んだばかりで、まだノートはほとんど入っていません。運用してみたら全然違うところが問題になる気もしています。2週間ほど回してみて、変えたところがあれば続きを書きます。
同じ構成を組もうとしている人は、3番(vaultの置き場所) だけ先に確認しておくと、後から移動する手間が省けると思います。