概要
教えていて「この人伸びるな」と思う人の特徴を羅列します。
逆にこれと反対の行動をとると伸び悩むなぁという印象です。
また(新人)教育に携わる際の注意点も書いていきます。
簡単に自己紹介
前職で新入社員への教育、既存従業員への教育を約5年行ってきました。
IT業界に転職してから、まずは自己育成を中心に進めていたのですが、
ここ最近「エンジニアになりたい」という方のサポートをすることが増えてきました。
そんな経験から、
- 伸びる人の特徴
- 教育時に気をつけていること
の2つを言語化しました。自身の経験から感じたことを記事にしたので良かったら見てって下さい。
①伸びる人の特徴
長いなぁと思った人は まとめ だけでもみていって欲しい。
①-1 素直
教える人の言ったことに対して素直に吸収します。
最初は全体像が見えていないので疑問に思うこともあると思いますが、とりあえず言われたことはする
ということが徹底してできています。
成長の段階は守離破で表現できます。
一番最初は教えを守ることが肝要。
まだ型もできていないのだから、応用もへったくれもありません。
疑問に思ったことも心に留めておいてとりあえずやる。
終わってからまだ疑問が解消できてなければ嫌味なく質問する。
ただずっと素直に言われたことだけをやっているといいのか?というとそうではありません。
型を学びながら、自分の考えももっていかないと次のステージにはいけません。
素直だけではダメ、自分の考えが強すぎてもダメ
過去新入社員を教えていたときに
- 極端に素直。受け持った30人ぐらいの中でダントツに素直。ただ中々自分の考えが持てない
- 頑固。自分の考えを曲げない。自分が正しいというスタンスが全面的に出ている
という2人を教えたことがあるのですが、結果はどちらもあまり変わりませんでした。
両者とも最初の1年は上記のスタンスで仕事して、「これじゃダメだ」と気づき方向転換したことで数年経過後の能力はそれほど差がない状態になっていました。
どちらに寄りすぎていてもダメ。それを入社してすぐに変えるのは難しい。
①-2 レスポンスが早い
「〇〇時間ある時にやっておいて〜」といった指示を受けた時のレスポンスが恐ろしく早いです。
OK
- 必要かなと思って既にやってる
- 緊急の仕事がなければ最優先で終わらせる
- 「いつまでに完了予定です」「○日から実行します」ととりあえず連絡が返ってくる
NG
- 「はい」と返事だけして、その後の連絡がない
- 納期当日に困っていることを話し出す
①-3 ここまでをまとめると
- 打てば響く
- 報連相ができる→報連相の品質が高い
この2点が重要かと思います。
この2点を実行できていると「教える側」のモチベーションが上がります。
教える側も人間なので、モチベーションに左右されます。
成長が早い人は結果として上司やトレーナーを上手く使っている印象です。
打てば響く
仕事の指示に対してレスが早いのはmustですが、「〇〇やっておいたほうがいいよ〜」といった内容にも早く反応すべきです。
トレーナーはあなたの成長を願っており、邪魔をしたいわけではない。
特に関わり始めて最初の方にくる「〇〇やっておいたほうがいいよ〜」はmustに近い重要な内容が多いです。
僕は試金石としてよく使ってました。
最初はお互いの信頼関係を結ぶことが大切なので、教える側もより重要度が高い部分から伝える傾向にあると思います。
2,3回投げて反応薄ければ次からは言わなくなる気がします。
報連相ができる→報連相の品質が高い
社会人になるまでの20年前後の経験が影響しています。できる人は最初からできる。
教える側や管理する側の立場になって「どういった報告が嬉しいか?」を考える必要があります。
ただこれには段階があり、まずは報連相ができるようになって欲しいです。
報連相ができる
新入社員でよく見かける例としては「忙しそうだから」という理由で全く連絡がない人。
あとは「質問することで自分の能力が低いと思われそう」と考える人。
これストレートに書くと迷惑です。まず最初はなんでもいいから声をあげて欲しい。
「分からないことが分からない」「しんどい」「正直指示の内容が理解できない」と何てもいいので声をあげて欲しいのです。
もしそれが「この忙しいタイミングに連絡しないで」「それは自分で考えて」というものであればそれはトレーナーから伝えます。
そう言われて初めて自分で考えて行動する。特に最初のうちは。
報連相の品質が高い
品質を高める例として、
-
適切なタイミングで連絡できる
→基本的には少ないより多い方がいいです。
1.作業開始時
2.作業完了時
3.トラブル発生時
の3点が基本とされていますが、追加で
4.作業開始してすぐに(簡単なプロトタイプができた時。進捗で言うと20%前後)
5.プロトタイプから1つの機能実装が終わったタイミングで(進捗で言うと40%前後)
45 は特に大切かなと思います。
4→土台の方向性がずれていた場合その後何十時間かけても求めていたものは完成しないので。最初のすり合わせがとても大切。
5→4 のサンプルから進んで実際に動くものの最小単位を作った辺りで確認する。これがOKであれば後は似た作業の反復になるので
※上記作業例は1日以上のタスク想定です。 -
会話のキャッチボール回数を減らす
例えばエラーが直せないという時に「エラーが出ました。直りません」とだけ送ってくる方がいますがNGです。
この場合聞き手が1つ1つ確認していかないといけない。
「エラーにはなんと表示されていますか?」「〇〇はしましたか?」「再現方法はなんですか?」など
・エラー文を貼り付ける(スクショだと検索できないのでテキストが良い)
・求めている振る舞いを書く。チケットURLがあればそれも貼る(あなたのタスクを全員は把握していない)
・エラーの再現方法を書く
・実際に起こっている事実と自分の推測は必ず分離させる
・テキストだけで説明できない部分は動画や画像も使う
質問の時は返答がYES / NO
でできるように聞くのもポイントです。
①-4 伸びる人の特徴まとめ
- 素直で言ったことをすぐにやる
- 気になったとこは質問できる
- 報連相の量が多い
- 報連相の質が高い
すぐに実行して、気になることは質問できるので経験が蓄積されて自己の考えが生まれてくる。
守破離の破への移行準備が自然とできている。
また、報連相も量が多い & FBを素直に受け止めるため報連相の品質が上がっていく。
というサイクルな気がします。
②教育時に気をつけていること
では逆側の視点で教育中にどういう点を気をつけているか?
②-1 できる限り本音に近い話ができる環境を作る
上司/部下の関係もそうですし、トレーナー/トレーニーもそうですが
1に信頼、2に信頼。3、4も信頼、5も信頼です。
お互いに信頼関係の土台がなければ成立しません。
100%の本音で話し合うのは難しいですが、それに近づける努力が必要です。
で、そのためにはお互いの信頼関係がないとできないのですが、信頼関係を作るために気をつけていることをざっと書きます。
信頼関係を作るために気をつけていること
基本的には自分が上司にされて嫌なことはしない。嬉しいことをするなんですが
とにかく早く
早ければ早いほどいい。
「〇〇お願いします」と言って「はいー」と空返事して数日放置
なんてのを繰り返してたらあなたの信用貯金は0です。
とくにトレーニーや部下からの依頼は時間がかからないものが多くあります。
誰か待ちの仕事ほどストレスが溜まる仕事もありません。
部下に仕事依頼してスルーされるのが続いたら「あぁもういいかな…」と思うでしょ?同じです。
信頼されていないと感じるあなた。あなたにはまず何よりも速さが足りないっ!!
教育の主体は相手であると強く心に刻む
相手はあなたの答えを聞きたいわけじゃない。自分の中にある疑問を解消したいのです。
頭の良い人ほど相談を受けると「この人に足りないのはこれだ!」と自分で先に答えを出します。
そんな時あなたは途中から相手の話を聞いていません。
自分の正解をどう伝えれば伝わるのか?を考えているのです。
面談をしたら相手が話す時間が8割こっちが2割ぐらいの分量でいい。
逆になってませんか?そんな時は「あぁこの人話聞いてくれないな」とトレーニーの心のシャッターが降りていくのです。
相手に合わせる
「この人〇〇さんに似てるな」「自分の教育パターンはこれ!」といったものがあれば考えなくていいので楽になります。
ですが、十人十色という言葉通り、人それぞれ考えていることや求めているのもは違うのです。
また、10年前に受けた自分が良かったと思う教育が昨今も通用するとは限りません。
(だって自分入社した時サービス残業普通でしたし、その10年前は灰皿が飛んでくることが普通にあったって話ですから)
相手や時代に合わせて自分の行動も変化させる必要があります。
もちろん会社なので、会社のゴールに目を向けてもらわないといけないタイミングもありますが。
これでもか!というぐらいにコミュニケーションを取る
前述した内容と被ることですが、相手のことを知ろうとしないと相手もあなたに興味を持ってくれません。
後輩の彼女の誕生日を把握して「後半休み多くてもいいから前半は頑張ってね」的な話もしてました。
それぐらいまで気軽に話せる状態じゃないと、相手のしたいことも引き出せないし、会社としてしてもらいたいことも伝わり難い。
オフラインの場なら↑こんな感じで押してました。オンライン主体だと少し方法は変わると思いますが、
基本的には回数や時間をしっかりとって雑談することが大切かなと思います。
部下/後輩は良くも悪くも嘘をつくということを念頭におく
明らかに回らないレベルの仕事振られている時に「〇〇間に合いそう?」と振った張本人から声をかけられると
「(間に合うわけねーだろ)あー多分大丈夫と思います」
「(間に合わないとスキルがないと思われるから、帰ってからやろ)はいー」
みたいになることが往々にしてあります。
なので「間に合わないよね?どこ手伝えばいい?」と聞いてました。
この聞き方だと本当にOKな場合以外は「ありがとうございます。ここお願いします」となりやすい。
こうしていくことで「この人見てくれてるんだな」という観点から信頼が築きやすい。
ちゃんと守る
新入社員は何かとターゲットになりやすい。
新入社員が入ってすぐチーム内で不具合があると「彼かな…?」といった推測を持つ人は少なくないと思います。
また、トレーナーから聞いた通りに実行していたら他の人に指導される。という経験をした新入社員もいると思います。
そういった時にトレーナーは「すいません。僕が教えました」と声を上げましょう。
たまに見て見ぬ振りする人いますけど、そんなことしたら1発で見限られますからね。
②-2 できる限り多くの人に見てもらう
どれだけ自分がトレーニーから信頼されていても、必ず複数の考え方を聞いたほうが良い。
自分の考え方が合っているとは限らないし、どんな人からでも学ぶ余地はある。
むしろ優秀だと思う人ほど早くに独立させてました。
色んな人の考えを聞いて自己を確立していかないと大きくは成長しない。
②-3 自分が教えれば教えるほど相手の成長機会を奪う
トレーナーとトレーニーが考える比率ですが、最悪99:1でも構いません。最初は。
この比率でもできることは増えていきますが、改善していかないといけない。
徐々に 95:5→87:13→72:28... といった具合に。
教えているとついつい「あ〜こっちの方が良いやり方があるのにな…」と口を出してしまいそうになる。
ですが、そこで口を挟めば挟むほど、相手の成長を阻害していきます。
もちろん会社として払えるコストと払えないコストがあるので、そこの見極めは必要ですが。
教育は導くことが仕事で、相手に気付いてもらい行動してもらうことがゴールです。
②-4 割り切る
教育担当をしている人は「熱い何か」を持っていることが多い。
ですが、教育は万能ではありません。相手に気付いてもらうことはできても、相手を変えることは難しい。
トレーナー自身にも教育以外の仕事はあると思いますし、会社なので「できること」と「できないこと」があって当然です。
できる限り良い教育を行うためには、トレーナーが俯瞰的に見れている必要があります。
業界の展望、会社の方向性、職場のタスク量、トレーニーのスキル感…
冷静に見るためにトレーニー1人に熱中するのではなく、割り切って進めることも大切です。
今できないものは、怒ったって焦ったってできないもの。
②-5 教育時に気をつけていることまとめ
- 信頼が全て
- 新人教育のゴールは自立してもらうところ
ごちゃごちゃ書きましたが信頼が全てです。
最初に信頼関係が築けていないと感じたら、トレーナーを交代してもらってもいいと思います。人の相性ってあるので。
信頼関係さえ築ければ、後はあなたがいなくなっても問題なく走れるようにすればいい。
さいごに
後半の教育についての部分は、リモートワークだと少し勝手を変更しないといけないかもしれません。
色々書きましたが教育ってめっちゃ楽しいです。今後もずっと携わりたいと思ってます。
トレーニーに仕事を振る時に「これぐらいの品質だろうな」とレスポンスを想定しているのですが、
その想定を大きく上回った時なんてめちゃくちゃ楽しいです。自分のことより嬉しい。
この記事を読んで少しでもこれから教育に携わる人の参考になれれば幸いですm_ _m