今回、手順検証の録画から修正点を抽出し、既存の手順書へ反映するCopilotエージェントを作成したので、ご紹介します。
はじめに
既存手順書の検証をしていると、
- 操作手順の不足
- 実際の作業との相違
- わかりづらい表現
など、多くの修正点が見つかることがあります。
しかし、手順検証終了後に録画やスクリーンショットなどの証跡を見返しながら修正点を手順書へ反映する作業は想像以上に時間を要し、修正漏れや記載ミスが発生することも少なくありません。
そこで、手順検証の録画から修正点を抽出し、既存手順書へ反映するCopilotエージェントを作成しました。
このエージェントは録画と既存手順書を照合しながら修正点を整理し、最終的には既存手順書のフォーマットに沿った手順書へ仕上げることを目的としています。
本記事では、エージェントの設計思想や指示内容、工夫したポイントを紹介します。
解決したかった課題
検証後の手順書作成では、以下のような課題がありました。
- 録画のどこに修正点があるかわからない
- 会議中の指摘事項を整理するのに時間がかかる
- 手順書への反映漏れが発生する
そのため、
手順検証の録画から修正点を抽出し、それを手順書へ反映する
という仕組みを作りたいと考えました。
エージェントの概要
今回作成したエージェントの概要は以下の通りです。
目的
Teams会議などで記録した手順書検証の録画から修正点を抽出し、既存手順書へ修正内容を反映する。
Copilot環境
Microsoft365 Copilot上のエージェント機能を使用。
主な機能
- 既存手順書の分析
- 検証録画の内容抽出
- 修正点の整理
- ユーザーへの確認
- Excelへの反映
- 修正箇所の強調表示
エージェントに与えた指示
今回作成したエージェントには、主に以下の方針を指示しました。
回答方針
- アップロードされた手順書を基準として修正する
- 既存手順書の形式や言い回しに合わせる
- 必要であれば、録画のパート名や時間帯を指定してもらう
- 情報不足の場合は追加質問する
- 修正対象セル以外は変更しない
処理フローと活用例
本記事では、既存のEntraConnectバージョンアップ手順を検証・修正した事例を紹介します。
今回は「ステージングモード有効化」の手順を以下の通り変更しました。
修正前:PowerShellコマンドで実施
修正後:GUIで操作
処理フローは以下の通りです。
① 手順書と録画ファイルをアップロード
最初に以下のファイルをユーザーにアップロードしてもらいます。
- Excel形式の手順書
- Teams会議録画
※録画が長時間の場合は、チャプター単位や時間帯での指定も可能です。
例
② 修正点を抽出
録画内容と既存手順書を比較し、修正点を整理します。
その後、反映候補として一覧で出力します。
例(反映候補は一部抜粋)
③ 反映対象を確認
エージェントには、修正前に必ずユーザー確認を行うよう指示しています。
先ほど提示した反映候補の中から、実際に手順書へ反映する手順をユーザーへ確認します。
例
④ 手順書へ反映
ユーザーが選択した修正点を手順書へ反映します。
不要な行追加、関係ないセルの更新などは行わず、あくまで修正対象セルのみ更新します。
※今回は先ほど記載した通り、ステージングモードの有効化手順の修正を指示しました。
※修正したセルは黄色で強調表示します。
これによりユーザーが修正箇所をすぐに確認できます。
⑤ Excel形式で出力
修正した手順書はExcel形式で出力します。
工夫したポイント
① 修正前に必ず確認を行う
AIに対して「検証で発見した修正点を反映して」といった曖昧な指示を与えた場合、意図していない箇所まで修正される可能性があります。
そのため、
修正点抽出
↓
ユーザー確認
↓
Excel反映
という流れを必須にし、ユーザーが修正したい手順のみを反映するようにしています。
② 元となる手順書の形式を維持する
案件ごとに手順書のフォーマットは異なります。
そのためエージェント側で勝手に文章や構成を変更せず、元の形式を維持するよう指示しています。
例えば、
- 項番形式
- 言い回し
- 記載粒度
などは既存の手順書に合わせます。
③ 修正対象セル以外は変更しない
AIに手順書修正を依頼すると、関係ないセルにまで変更が加わり、かえって手間が増えがちです。
そのため、
「修正対象セル以外には変更を加えない」
というルールを設けています。
④ ハルシネーションを防止する
AIによる手順書修正においては、推測による補完が大きなリスクになります。
そのため、
- 情報不足時は追加質問する
- 録画で確認できない内容は記載しない
- 根拠のない追記はしない
というルールを明示しています。
今後の展望
今回の検証では、Teams会議を利用して2人で手順検証を実施したため、録画データに加え、トランスクリプトも分析対象として活用しました。その結果、作業内容だけでなく、検証時のやり取りや判断内容も踏まえた手順書修正を行うことができました。
特に、検証中の会話には手順修正の根拠となる情報が多く含まれており、修正精度の向上に寄与したと感じています。
一方で、実際の案件では一人で検証を行うケースも少なくありません。今後は、一人で実施した検証の録画に対しても同様のアプローチを適用できるよう、さらなる改良を進めていきたいと考えています。
まとめ
今回作成したエージェントは、既存手順書のフォーマットを維持したまま修正内容を反映し、実業務で利用できる手順書として仕上げることを目的としています。
特徴は以下の通りです。
- 検証録画から修正点を抽出
- 修正内容を項番付きで整理
- ユーザー確認後に修正点を反映
- 修正対象セルのみ更新
- 修正箇所を黄色で強調
- ハルシネーションを防止
録画やスクリーンショットなどの証跡を見返しながら手順書を更新する作業は、想像以上に時間がかかります。
Copilotエージェントを活用することで、検証結果の整理から手順書の修正までを効率化し、より短時間で高品質な手順書を作成できたと感じています。
今後も手順書修正の際にはこのエージェントを活用するとともに、他の業務についてもCopilotエージェントを活用し、さらなる業務効率化につなげていきたいと考えています。
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