##クリッピングマスクとは
オブジェクトを、他のオブジェクト(マスク)の形状でくり抜いたように表示させるもの。
上図はイラレを使って作成した建物のイラスト。
「丸」の形をしたオブジェクトを使ってこのイラストにクリッピングマスクを適用すると、右側のようにイラスト内の一部が丸くくり抜かれたように表示される。
オブジェクトそのものを切り抜いているわけではなく、マスク範囲外が表示されないように隠して「のぞき穴」のようにしているだけなので、上図のように、あとからマスクの形状や大きさを変更することも、クリップされたオブジェクトや写真の位置を調整することも容易にできる。
※「のぞき穴」と表現したが、マスク範囲外は透明である。
##クリッピングマスクのしくみ
この画像のようなクリッピングマスクの場合、レイヤーパネル上では、イラストを構成するパーツ群の一番上に丸いオブジェクト「<楕円形>」が配置され、これらが「<クリップグループ>」の中に一緒にグループ化されている。
最前面のオブジェクトの形状でグループ内にあるその背面すべてのオブジェクトをクリップしていることになる。
- クリップしたいオブジェクトを用意し、それとは別にマスクにしたい形状のオブジェクトを描く。上図では「<楕円形>」という名前のオブジェクトになっている。※わかりやすいようにここでは太い黒線で描画しているが実際はアピアランス設定の必要はない。
- クリップするオブジェクトの上にマスクにするオブジェクトが重なるように配置する。
- 両方を選択し、command+7でマスクが作成される。
##テキストマスクについて
マスクにはテキストを用いることもできる。
少し古めの解説サイトなどでは、文字の形状でマスクを作るにはテキストをアウトライン化する手順が解説されていることが多いが、最新のIllustrator CCではアウトライン化せずにテキストをそのままマスクにすることができる。
アウトライン化させずにマスクにできるため、クリッピングした状態を保ちながら、上図のようにあとからフォントを変えたりテキスト内容を書き換えたりすることができる。
##クリッピングマスクに色などの効果を付ける
前記した手段でクリッピングマスクを作成した際マスクのオブジェクトそのものは自動的に描画されなくなるが、新しく塗りの色をつけなおしたり線をつけたりすることができる。
例:コップに水を入れたように2色に塗り分ける
方法はいくらか存在するが、のちに水や容器の形状などを調整しやすくすることを考慮してクリッピングマスクで実現することにする。
1.コップを模した台形を描く。下図ではよりコップらしく見えるようにライブコーナーで角を丸くしている。
2.コップの下半分に完全に重なるように長方形を描く。ここではオレンジ色で描画。
3.長方形の上辺のパスを波打たせるように変形させる。
4.コップを最前面に移動させ、コップと波型の両方を選択したうえでクリッピングマスクを作成する。波型のオブジェクトがコップの形でクリッピングされる。この際、下図のように、水面よりも上側は透明になっている。
5.マスク(コップ)を選択し、塗りの色と線の色(ともに灰色)を指定する。これにより、コップに入った水の表現が完成する。
6.下図のように、あとからコップの形を変更したり、波の形を編集して水嵩を増減させたりの調整ができる。