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あの頃の自分へ――社会人6年目のエンジニアが、新人だった自分に伝えたいこと

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Last updated at Posted at 2026-04-07

あの頃、言葉が聞き取れなかった

新卒で入った会社のことを、今でも時々思い出す。

文系出身、IT未経験。右も左もわからないまま、とにかく飛び込んだ。先輩たちは親切だったと思う。でも、彼らが話す言葉の意味が、私にはわからなかった。

会話の中に知らない単語が出てくる。それが何なのかもわからない。「何でも聞いていいよ」と言ってもらっても、何を聞けばいいかがわからなかった。

それでも勇気を出して質問した。でも的外れな質問しかできなかった。叱責された。そのうち、質問すること自体が怖くなった。

質問できないまま、ただ時間が過ぎた。半年も経たないうちに、会社を去った。

ふらふらしながら、気づいたこと

辞めた後はアルバイトをしながらしばらくふらふらしていた。そんな中で、ふと基本情報技術者試験の勉強を始めた。

「実務では役立たない」と言われがち資格だ。確かに、試験の内容がそのまま現場で使える場面は少ない。それでも私は、この勉強が人生を変えたと思っている。

大げさに聞こえるかもしれない。でも本当にそうなのだ。

もちろん、基本情報技術者試験だけが答えではない。書籍でも、動画学習でも、手を動かした独学でもいい。大事なのは資格を取ることではなく、IT技術者として知っておくべき知識を、自分の専門外まで含めて広く身につけることだ。私にとっては、基本情報の試験勉強が、広く学ぶきっかけとして一番手軽だった。それだけの話だ。

景色が変わった

基本情報を取得して、次の職場に入った。派遣社員として、情報システム部の社内ヘルプデスクとしてのポジションでの入社だった。

でも、景色が違った。

先輩の話す言葉が、聞き取れるようになっていた。完全に理解できなくても、「あ、これは知っている単語だ」と思えた。知っていれば、調べる当てがつく。調べれば、自分で解決できる。

そして何より。

「ここまでは調べたんですが、ここから先がわからなくて」

そう言える自分になっていた。

この変化が、どれだけ大きかったか。質問できるようになると、先輩との会話が噛み合うようになる。噛み合うと、仕事が前に進む。最終的には、ヘルプデスクとして入ったはずが、開発まで任せてもらえるようになった。

「聞く」と「調べる」を分けるということ

今になって思う。あの頃の自分に足りなかったのは、技術力ではなかった。

業務で必要な情報には、2種類ある。

聞かなくてもわかること。
ネットワーク、OS、セキュリティ、プログラミング、データベース。職種を問わず、エンジニアとして知っておくべき標準知識だ。調べれば答えが見つかる。

聞かなければわからないこと。
プロジェクト固有のルール、社内システムの構成、チームの暗黙知。これはどこにも書いていない。先輩に聞くしかない。

この2つを区別できるようになると、質問の中身が変わる。先輩に聞くべきは、後者だけでいい。

でも、区別するためには「標準的な知識の輪郭」を知っている必要がある。それがなければ、目の前の疑問がどちらなのか判断できない。

基本情報の勉強が教えてくれたのは、その「輪郭」だったのだと思う。技術力より先に、これが必要だった。

AI時代の今も、変わらないこと

今の新人エンジニアには、私の頃にはなかった武器がある。AIだ。

わからないことをAIに聞けば、すぐに答えが返ってくる。素晴らしいことだと思う。でも、一つだけ伝えたいことがある。

AIも、何を聞けばいいかわからないと使いこなせない。

広い知識があると、AIへの質問が変わる。「なんかエラーが出ました」ではなく、「このプロトコルのこの挙動について」と聞けるようになる。そして、AIの答えが正しいかどうかを判断する軸にもなる。

基礎知識は、AIが奪うものではない。AIをより深く使うための、土台だ。

最後に、あの頃の自分へ

深く知ろうとしなくていい。最初から専門家になろうとしなくていい。

まず広く知る。深めるのは、その後でいい。

手段は何でもいい。書籍でも、動画でも、資格試験でも。自分に合ったやり方で、まずIT全体の輪郭をつかんでほしい。

「何がわからないかがわかる」状態になること。それだけで、仕事の景色はがらりと変わる。私がそうだったように。

あの頃、言葉すら聞き取れなかった自分が、今はクラウドを中心としたインフラの設計・構築に携わっている。遠回りしたからこそ、今ここに立っている気がしている。

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