Re:VIEWで同人誌の原稿を書いている場合、TechBooster/C89-FirstStepReVIEW-v2 がテンプレートとして役に立つことかと思います。一度セットアップしてしまえば、以降はコマンド一発でPDFファイルがビルドできるようになっているリポジトリで、これ自体Re:VIEWを使った本の執筆環境を解説するものです。
ただ、ビルド環境はMacOSやLinuxなどのUnix互換環境を前提としているようです。Windows環境でのビルド方法は自明ではありません。今回はWindows 10 Anniversary Update以降で追加されたBash on Windows (WSL) を使って、ユーザーでもこのリポジトリが使えるようにする方法を簡単にまとめます。
(Re:VIEW自体のビルドはcygwinで出来るかもしれませんが、ここではRe:VIEWの原稿を揃えるだけでPDFファイルのビルドまで出来るようにテンプレートが整備されているこのリポジトリを対象とします。)
まず、筆者はBash on WindowsをUbuntu 16.04環境に切り替えているので、これを前提とします。Ubuntu 14.04ベースのBash on Windowsでも、同様の操作は可能かもしれませんが、パッケージは存在していない可能性もあります。Windows 10 build 14951以降のBash on Windowsであれば、Ubuntu 16.04になっているようです。それ以前のビルドであれば、手動でアップグレードが可能です。(ただ、問題が発生しないとは言えないので、いざという時に自力で調べて復元できる自信が無ければ、やめておいたほうが賢明でしょう。)
さて、Bash on Windowsの環境が整った後は、大して難しいことはないはずです。ただし、review環境はtexliveの巨大なパッケージのインストールを必要とするもので、ディスクスペースは2GBくらい消費すると思います(正確には調べていません)。
まず、github上のリポジトリをcloneします。(sudo apt install git
でgitをインストールしてからgit clone
するのが手っ取り早いでしょう。)
次に、リポジトリのビルドに必要になるパッケージをインストールします。以下の内容でたぶん大丈夫だと思います。(足りないものがあったらコメントで教えてください。) 後はほぼ README.md
にある内容を実行するだけです。
sudo apt install ruby nodejs texlive texlive-latex-extra texlive-binaries texlive-lang-japanese
ln -s /usr/bin/nodejs /usr/bin/node
sudo gem install bundler
npm install
npm run pdf
一つ注意すべきことですが、Ubuntuでインストールされるnode.jsのコマンドは /usr/bin/nodejs
となっています。(Ubuntuにはnode.js以前から node
というパッケージとコマンドが存在していたので、後から登場したnode.jsの node
コマンドは改名せざるを得なかったわけです。) FirstStepReVIEW-v2で使われているパッケージの何かが、node
を実行しようとして失敗するので、今回は(やっつけですが)ダミーの /usr/bin/node を作成してやり過ごします。
npm run pdf
が成功したら、articles ディレクトリの下にPDFファイルが生成されているはずです。これをWindowsデスクトップ環境(/mnt/c/ = c:\Users\ユーザー名など)にコピーするなどして確認してみてください。