初めてITプロジェクトに関わることになったけれど、「正直、全体像がよく分からない……」という声を、現場でよく聞きます。
要件定義をして、開発ベンダーに発注するんでしょ?というざっくりしたイメージはあるものの、
- 実際にはどんな段取りで進むのか
- いつ、誰が、何を考える必要があるのか
といったプロジェクト全体の流れまでは分かっていない、という人は意外と多いです。
その結果、現場ではこんなことが起こりがちです。
- とりあえず要件定義を始めてしまう
- 「まずは見積が必要だ」と焦ってしまう
- 計画がないまま進み、行き当たりばったりになる
これは個人の能力というより、ITプロジェクトの全体像を最初に共有されていないことが原因です。この記事では、初めての人でも全体像が掴めるように、ITプロジェクトの進め方を「大きな流れ」に絞って解説します。
まずは、何を・どんな順番で進めていくのかを押さえることで、安心感を持ってプロジェクトに向き合えるようになるはずです。
この記事でわかること
- ITプロジェクトで何を、どの順番で進めていくのか
- 各工程でやる作業と主な担当者
- 作るべき成果物の概要
ITプロジェクトの全体像
まずは、ITプロジェクトの全体像を図で確認してみましょう。
ITプロジェクトは、大きく分けると次の 4つのフェーズ で進みます。
- 計画
- 企画・要件定義
- 開発
- 導入
はじめに、プロジェクト全体の目的や進め方を決める 計画フェーズ があります。その後、企画・要件定義フェーズ で課題を整理し、対応方針を定めたうえで、システムとして何を実現するかを要件としてまとめます。
要件が固まったら、それを どう実現するか(ソリューション方針) を検討し、要件とソリューション方針をもとに開発ベンダーから見積を取ります。
見積を確認し、社内での決裁などを経て発注したら、開発フェーズ としてベンダー側でシステムの設計・開発・テストが進みます。開発が一通り完了したら、発注元で受け入れテストを行います。
テストで品質に問題がないことを確認できたらリリースし、導入フェーズ として、現場で使われるよう定着支援を行っていきます。
全体像を整理すると、このような流れになります。各フェーズの中にはさらに細かい作業がありますが、まずは「どんな順番で何が起きるのか」という全体の流れを掴むことが重要です。
各工程の概要
全体像を把握したうえで、ここからは各工程の概要を見ていきます。
まずは、それぞれの工程で
- 何をするのか
- 誰が中心となって進めるのか
- どんな成果物を作るのか
をざっくり掴むことが大切です。
工程全体は、次の10ステップで構成されています。
- ① プロジェクト計画
- ② 課題・現状分析
- ③ 対応方針の決定
- ④ 要件定義
- ⑤ ソリューション方針検討
- ⑥ 見積・発注
- ⑦ 構築(設計・開発・テスト)
- ⑧ 受入確認(UAT)
- ⑨ リリース
- ⑩ 現場定着支援
ここでは詳細な手順には踏み込まず、「各工程の役割」を中心に整理していきます。
① プロジェクト計画
ITプロジェクトが始まったら、最初に行う工程です。プロジェクト全体の計画をたて、可視化していきます。
-
主な担当
PM(業務企画・IT企画) -
成果物
プロジェクト計画書
② 課題・現状分析
理想と現実のギャップをはかり、そこから課題を抽出していきます。対応方針の検討とセットで行うこともあります。
-
主な担当
業務企画 -
成果物
課題一覧、AsIs業務フロー
③ 対応方針の決定
課題に対して、どのような方針で対応するか?を決める工程です。
-
主な担当
業務企画 -
成果物
課題・対応方針一覧
④ 要件定義
対応方針をもとに、「システムで何を実現するか」を具体化する工程です。ToBeの業務フローを作成し、それをベースに業務要件、機能要件を具体化していきます。
-
主な担当
業務企画・IT企画 -
成果物
ToBe業務フロー、業務要件定義書、機能要件定義書、非機能要件定義書
⑤ ソリューション方針検討
どのような手段で要件を実現するか決める工程です。複数のソリューション案から、プロジェクトで採用するソリューションを決めます。
-
主な担当
IT企画・業務企画 -
成果物
ソリューション方針
⑥ 見積・発注
要件とソリューション方針を前提に、正式にベンダーへ依頼する工程です。まずは、RFP等をもとに見積もりを取り、社内での決裁を得たのち、正式に発注を行います。
-
主な担当
IT企画 -
成果物
見積書、契約書
⑦ 構築(設計・開発・テスト)
要件を、実際のシステムとして形にする工程です。設計からテストまでを対象にすることが多いですが、どこまで発注するかはプロジェクトにより変わります。
-
主な担当
開発ベンダー -
成果物
システム一式、テスト結果
⑧ 利用者確認(UAT)
完成したシステムを、実際の業務目線で確認する工程です。発注者側でテストシナリオを作成し、最終的な品質確認を行います。
-
主な担当
業務企画・現場担当者 -
成果物
UATシナリオ、UAT結果
⑨ リリース
確認が完了したシステムを、本番環境へ展開します。
-
主な担当
開発・保守ベンダー -
成果物
リリース完了報告
⑩ 現場定着支援
システムが現場で「使われ続ける状態」を作る工程です。マニュアルや運用ルールの整備、現場広報など、使われるための対応を行います。
-
主な担当
業務企画 -
成果物
運用ルール、マニュアル など
まとめ
ITプロジェクトには、多くの作業や工程があります。そのすべてを最初から細かく理解するのは、決して簡単なことではありません。
一方で、全体の流れだけでも把握できていると、
- いま取り組んでいる作業が、どの工程に位置づくのか
- この判断が、次にどこへつながっていくのか
といった点が少しずつ見えるようになります。
後続の工程を知っているだけで、目の前の作業が「何のために行われているのか」を理解しやすくなり、プロジェクトへの向き合い方も変わってきます。
ITプロジェクトは、個々の作業だけを見ると分かりにくく感じがちですが、全体像として眺めると、やっていることの意味や役割が整理されていきます。
今回まとめた全体像が、プロジェクトの流れを整理したり、状況を考える際の一つの土台として役に立てば幸いです!
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