背景
MCT (Microsoft 認定トレーナー) になると、毎月 $150 まで無償で利用できる Azure のサブスクリプションが発行されます。
しかし、このテナントには Microsoft 365 のライセンスが無く、また Entra ID のライセンスも Entra ID Free となります。
そのため、以下のような Microsoft 365 ライセンスや Entra ID Premium が必要な検証が行えません。
例:
- Azure Automation から Teams PowerShell のコマンドを実行する
- Microsoft 365 の Graph API によるアクティビティログを Log Analytics Workspace へ保存する
※ Entra ID Premium ライセンスが必要
一方で、Microsoft 365 Developer プログラム の Microsoft E5 Developer ライセンスには、Entra ID P2 ライセンスも含まれています。
この記事では、Microsoft 365 Developer のテナントで、MCT 特典の Azure サブスクリプションを利用する方法をご紹介します。こうすることで、Microsoft 365 Developer のテナントで Azure と Entra ID Premium が必要な検証も行うことができます。
概要
以下の説明で使う用語です。
用語 | 意味 |
---|---|
MCT テナント | MCT 特典の Azure サブスクリプションの所有先となるテナント |
Developer テナント | Microsoft 365 Developer テナント |
MCT サブスクリプション | MCT 特典の Azure サブスクリプション |
MCT 管理者 | MCT テナントの管理者ユーザーである Microsoft アカウント |
MCT テナントの MCT サブスクリプションの所有先を、Developer テナントに変更します。
そのためには、MCT テナントのグローバル管理者である Microsoft アカウントのユーザーを、Developer テナントにゲストユーザーとして招待します。
手順
ステップ1:Developer のテナントで、 MCT 管理者ユーザーをゲストユーザーとして招待する
- Developer テナントのユーザーで Azure ポータルへサインインします
- [Microsoft Entra ID] - [ユーザー] - [新しいユーザー] - [外部ユーザーの招待] から、MCT 管理者をゲストユーザーとして招待します
- MCT 管理者に招待メールが届くので、招待を承諾します
ステップ2:MCT テナントで、MCT サブスクリプションのテナントを Developer テナントに変更する
- MCT 管理者で Azure ポータルにサインインします
- [サブスクリプション] から MCT サブスクリプションを選択し、[ディレクトリを変更する] をクリックします
- [フェールオーバー先] として Developer テナントを選択します
Developer テナントのテナント名は "MSFT" になっています。 - チェックボックスにチェックし、[変更] をクリックします
ステップ3:Developer テナントで、管理者ユーザーを MCT サブスクリプションの所有者に設定する
- MCT 管理者でテナントを Developer テナントに切り替えます
- [サブスクリプション] から MCT サブスクリプションを選択します
- [アクセス制御 (IAM)] - [追加] - [ロールの割り当ての追加] から、Developer テナントの管理者を MCT サブスクリプションの所有者に変更します
これで Developer テナントのユーザーで MCT サブスクリプションを使用して検証が行えるようになりました!
Microsoft 365 の検証をする機会が多く、せっかくの MCT 特典の Azure サブスクリプションを活用できていなかったので、方法がないか調べてみた内容を投稿させていただきました。お役に立てば幸いです。