🐱はじめに
こんにちは。私は現在、北海道でアプリエンジニアとして働いています。
今回 女性エンジニア応援 Advent Calendar 2025 をきっかけに、
サーバーサイドを10年以上歩んできた私が、アプリエンジニアへ転身して「得たもの」、そして「変わったこと」を書き残したいと思います。
転身は怖いものです。
でも私は、キャリアを変える勇気によって、もう一度前進できるようになりました。
この記事が、同じように迷う誰かの背中をそっと押せたら嬉しいです。
💻エンジニアキャリアのスタートと苦悩
私は大学卒業後、エンジニア職として社会に出ました。
大学はいわゆる「情報メディア」系で、プログラム・デザイン・3Dなど、デジタルものづくりの基礎には触れていました。
きっかけはただひとつ、「ものづくりっておもしろい」と気づいたこと。
その中で、自分にできる手段としてエンジニアを選びました。
しかしスタートは厳しいものでした。
- 学校で習ったことはほぼ通用しない
- 研修制度がなく、実務で必死に覚えるしかない
- 業務が過密で、勉強する時間がない
そんな環境だったので、成長実感は少なく、自信も持てませんでした。
それでも救いだったのは、当時の先輩エンジニアの皆さんです。
会社の良いところも悪いところも、実務の心得もしっかり教えていただきました。
この時期に積み上がった「基礎の基礎」が、後から大きな支えになりました。
🏥サーバーサイドで10年選手、襲われる病
気づけばサーバーサイド開発の道を10年以上歩んでいました。
部門リーダーのような役割も経験し、責任は増え続けていきました。
一方で、
- 業務に追われてスキルアップの時間が取れない
- 後輩に知らないことを教わるほど知識が停滞する
- プレッシャーが積み重なり、精神的にすり減っていく
そんな状況が続きました。
そしてついに、精神面で病を患い、
「働くことそのもの」が苦しくなる生活に突入しました。
長く積み上げてきたキャリアがあるほど、
立ち止まらざるを得ない状況は、とてもつらいものでした。
🐱実家に戻り迎えた「アプリエンジニア」としての再スタート
限界を迎え、私は実家に戻り、心身の回復を最優先にしました。
ゆっくりと時間をかけて休むうちに、
もう一度エンジニアとして歩きたい、という気持ちが少しずつ戻ってきました。
その感情は大きな決断ではなく、
胸の奥でほんの小さく “しゃっ” と灯るようなものでした。
後から思えば、それが私の再スタートの合図だったのかもしれません。
そんな時に出会ったのが、とある求人です。
当時楽しんでいた野球に関係する会社でのエンジニア募集でした。
募集職種は「フロントエンド」。経験の浅い領域でしたが、
なぜか「なんとかなる気がする」と思えたのを覚えています。
意を決して応募し、そして――無事採用が決まりました。
これが、私の「アプリエンジニア」としての再スタートでした。
📱アプリエンジニアとして感じた世界の違い
アプリエンジニアとしての最初の日は、正直とても緊張していました。
これまでのキャリアがあるとはいえ、Swift も UI も初学者。
基礎用語から調べなければならず、「本当にやっていけるのだろうか」と不安はつきませんでした。
しかし、一つ大きな違いに気づきました。
アプリ開発は、成果が“目で見える”ということです。
画面が動く。色が変わる。ボタンが反応する。
たった数行のコードが、自分の想像した UI をその場で形にしてくれる。
その“動く喜び”は、サーバーサイドでログと格闘する日々とはまったく別物でした。
理解が進むたびに、「あ、できた」という小さな達成感が積み重なり、
止まっていた自分の時間が少しずつ前へ進んでいく感覚がありました。
振り返ると、これが私にとっての“再スタートの実感”だったように思います。
🔄サーバーの経験は、アプリで確かに活きていた
アプリエンジニアはまったく別領域のように見えますが、
これまで積み上げてきたサーバーサイドの経験は決して無駄ではありませんでした。
特に役に立ったのは次の3つです。
■ 1. データの流れを俯瞰する力
View・ViewModel・Repository の責務分離は、
サーバーで培われた“構造を見る目”が非常に活きました。
■ 2. APIの扱い
通信の落とし穴やエラーハンドリングの癖。
サーバーの視点を知っていることで、クライアント側の実装判断がしやすくなりました。
■ 3. ロジックの頑健さ
UIに気を取られても、
「この裏にはデータがある」「失敗パスがある」
という発想が自然に出てくるのは強みでした。
“ゼロからの挑戦”に見えて、実は“別の武器で戦う”だけだった。
そう気づいた瞬間、肩の力が抜け、前へ進むことが楽になっていきました。
🚶♀️人生が再び動きはじめた瞬間
アプリ開発の楽しさを知ってから、
毎日ほんの少しずつ「もっと学びたい」という気持ちが戻ってきました。
- UIが動いた
- バグが取れた
- 新しい概念が理解できた
- 小さな画面が完成した
その一つひとつが、止まっていた時間に小さなリズムをつけていくようで、
まるで“自分の中の歯車が回り直す”ような感覚がありました。
転身したことで、新しい技術を学ぶ楽しさだけでなく、
“働くことが再び自分の人生の一部として戻ってきた”という実感を得られたことが、何より大きかったです。
🌟転身を迷う女性エンジニアへ伝えたいこと
キャリアチェンジは怖いものです。
特に年数を重ねているほど、「今さら変われるのだろうか」という不安は大きくなります。
でも私は、転身したことで人生が大きく変わりました。
立ち止まった時間さえ、無駄ではなかったと思えるようになりました。
- 一度止まっても、もう一度歩き出せる
- 経験は必ず別の形で自分を支えてくれる
- 新しい領域には、新しい楽しさがある
- 遅すぎる転身なんて存在しない
そして何より、
新しいことに挑戦したいと思えた瞬間が、人生を動かす合図になります。
その合図は大きな音ではありません。
胸の奥でそっと灯る小さな光のようなものです。
どうか、その小さな気配を見逃さずにいてください。
それはあなたが前へ進もうとしている証拠だからです。
🐾まとめ:これは“キャリアの話”であり、“人生の話”でもある
サーバーサイド10年からアプリエンジニアへの転身は、
技術の変化以上に、私の人生そのものに変化を与えてくれました。
キャリアは直線ではなく、自分で描ける曲線です。
この記事が、誰かが新しい一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。