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Google Cloud 2026年上半期アップデート総まとめ

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Last updated at Posted at 2026-07-25

はじめに

Google Cloud は 2026 年に入ってから半年強で、プラットフォームの土台に関わる変更を立て続けに行いました。Vertex AI というブランドが実質的に終わり、認定資格の更新方法が刷新され、Gemini のモデルは 3.1 → 3.5 と世代を進めています。

毎月のリリースノートを追っている人には既知の話が多い一方、月次の更新情報は流量が多く、半年分をまとめて振り返る機会は少ないのではないでしょうか。本記事では 2026 年 1 月から 7 月中旬までの主要な変更を、影響が大きい順に整理します。出典はすべて Google Cloud 公式ブログ、公式リリースノート、または Google Workspace Updates(Google 公式ブログ)に限定しています。

対象は Google Cloud 本体、Gemini Enterprise Agent Platform(GEAP)、Google Workspace、認定資格制度の4つです。個別サービスの細かい機能追加は取捨選択しており、網羅は目的にしていません。全体の流れをつかみ、必要な箇所は公式ドキュメントで深掘りするための地図として使ってください。


プラットフォームの再編、上半期最大の変化

2026 年上半期を一言で表すなら、Vertex AI というブランドが Gemini Enterprise Agent Platform(GEAP)に統合され、AI 基盤の入り口が一本化された半年でした。

変化の骨格は次の3つです。

時期 出来事 実務への影響 出典
2026-04-22〜24 Google Cloud Next '26(ラスベガス)で GEAP を発表 Vertex AI という製品名が終了、Agent 開発の窓口が GEAP に一本化 Google Cloud 公式ブログ
2026-06-24 Vertex AI SDK の生成 AI モジュールが完全に削除 旧 SDK(vertexai パッケージ)を使うコードは動作不能。Google Gen AI SDK(google-genai)への移行が必須に Google Cloud 公式ドキュメント
2026-07-09 Google Cloud 認定資格の更新方式が刷新 2 年ごとの再受験に加えて、コース受講・スキルバッジ完了でも資格を延長できるように Google Cloud 公式ブログ

このうち Vertex AI SDK の削除期限(6/24)はすでに過ぎています。もし手元のコードがまだ vertexai パッケージを使っている場合は、この記事を読んだタイミングで移行状況を確認することをおすすめします。

以降、この3つを軸にしながら、AI プラットフォーム、Google Cloud インフラ、Google Workspace、認定資格制度の4分野に分けて詳しく見ていきます。


AI プラットフォームの主要動向

Vertex AI から Gemini Enterprise Agent Platform へ

Google Cloud Next '26(2026年4月22〜24日、ラスベガス)で、Vertex AI の機能群を統合した Gemini Enterprise Agent Platform(GEAP)が発表されました(出典)。単なる名称変更ではなく、Agent の開発・実行・ガバナンスを一つのプラットフォームにまとめる再編で、次のようなコンポーネントが導入されています(出典:Google 公式ブログ)。

  • Agent Studio:Agent の設計・構築環境
  • Agent-to-Agent Orchestration(A2A):複数 Agent 間の連携をプロトコルとして標準化
  • Agent Registry:組織内で使える Agent のカタログ管理
  • Agent Identity:Agent 自体に ID を持たせる仕組み。IAM の管理対象が人やサービスアカウントだけでなく Agent にまで広がったと捉えると理解しやすいです
  • Agent Gateway、Agent Observability:Agent のトラフィック制御と可観測性

既存の Vertex AI ユーザーは基本的に自動で GEAP に移行され、API エンドポイントもおおむね互換性が保たれています。ただし SDK は別物として扱われており、これが次の話につながります。

Vertex AI SDK の生成 AI モジュール、廃止完了

Vertex AI SDK(Python の vertexai パッケージ)の生成 AI 関連モジュール(vertexai.generative_models など)は 2025 年6月24日に非推奨化され、2026 年6月24日をもって完全に削除されました。移行先は Google Gen AI SDK(google-genai パッケージ)です(出典:Google Cloud 公式ドキュメント)。

呼び出し方は次のように変わります。

# 旧: Vertex AI SDK(廃止済み)
import vertexai
from vertexai.generative_models import GenerativeModel

vertexai.init(project="my-project", location="us-central1")
model = GenerativeModel("gemini-3.5-flash")
response = model.generate_content("こんにちは")

# 新: Google Gen AI SDK
from google import genai

client = genai.Client(vertexai=True, project="my-project", location="us-central1")
response = client.models.generate_content(
    model="gemini-3.5-flash",
    contents="こんにちは",
)

google-genai は Gemini Developer API(GEMINI_API_KEY 経由)と Vertex AI 経由の呼び出しを同じ SDK でカバーしているため、環境を切り替えても呼び出しコードをほぼ共通化できる点は移行のメリットです。廃止から時間が経っているとはいえ、放置されたバッチ処理やCIスクリプトで旧SDKが使われているケースは意外とあるため、心当たりがあれば検索して確認しておくと安全です。

Gemini モデルの世代交代

2026 年上半期は Gemini 3 系のモデルが着実に世代を進めた半年でもありました。日付とステータスは Google Cloud 公式ブログおよび公式リリースノートに基づきます。

時期 モデル ステータス 出典
2026-02-19 Gemini 3.1 Pro(Gemini 3 Pro の Preview を置き換え) Preview Google Cloud 公式ブログ
2026-03-03 Gemini 3.1 Flash-Lite Preview Vertex AI 生成 AI リリースノート
2026-04-30 Gemini 3.1 Pro Limited Availability Gemini Enterprise リリースノート
2026-05-08 Gemini 3.1 Flash-Lite GA Google Cloud 公式ブログ
2026-05-19 Gemini 3.5 Flash(Gemini 2.5 Flash がモデル選択肢から削除) GA Gemini Enterprise リリースノート
2026-05-29 Nano Banana 2(Gemini 3.1 flash image)/ Nano Banana Pro(Gemini 3 pro image) GA Google Cloud 公式ブログ

Next '26 で発表されたその他の基盤技術

Agent Platform 以外にも、Next '26 では基盤インフラ側の発表がありました(出典:Google 公式ブログ)。

  • 次世代 TPU:AI Hypercomputer の一部として、学習向けの TPU 8t、推論向けの TPU 8i が発表されています。推論用の TPU 8i は既存世代比で価格性能比が改善しているとされています。なお、前世代にあたる TPU7x(Ironwood)は 3月31日に GA 済みで(出典:Cloud TPU リリースノート)、8世代目はその1か月後に発表されたかたちです
  • Agentic Data Cloud:Apache Iceberg を標準として、他クラウド上のデータにも位置を変えずにアクセスできるレイクハウス機構
  • Agentic Defense:Google の脅威インテリジェンスとセキュリティオペレーションに、Wiz のクラウドセキュリティと AI セキュリティを組み合わせたセキュリティ機能

Next '26 全体では 260 件超の発表があったとされており(出典:Google Cloud 公式ブログ)、ここに挙げたのはそのうち影響範囲が広いものに絞っています。

AlphaEvolve の一般提供と Gemini Enterprise の日本リージョン対応

7月に入ってからも動きがありました。7月には、進化的アルゴリズムでコードや設計を最適化する AlphaEvolve が GEAP 上で一般提供(GA)されています(出典:Google Cloud 公式ブログ)。数値化できる評価関数を用意できるタスク(ルーティングやカーネルの最適化など)に向いた機能で、主観評価が必要なタスクには向きません。

また7月上旬には、Gemini Enterprise が日本(asia-northeast1)と英国(europe-west2)のリージョンに対応しました(出典:Google Cloud 公式ドキュメント)。これにより、両リージョン内でのデータレジデンシー(保存データを指定リージョン内に留める)と機械学習処理のリージョン内完結が可能になっています。データ主権の要件がある組織にとっては、これまで待たれていた対応です。


Google Cloud インフラの主要動向

AI 関連ほど話題性はありませんが、BigQuery やネットワークまわりでも実務に影響する変更が積み重なっています。日付・ステータスは各サービスの公式リリースノートに基づきます。

BigQuery

  • レガシー SQL の廃止:2026年2月25日に「2026年6月1日以降、レガシーSQLの利用を制限する」と予告され、予告どおり6月1日付けで廃止されました。まだ移行していないクエリやツールが残っている場合は標準 SQL への書き換えが必要です
  • Conversational Analytics の GA:自然言語でのデータ分析支援機能。1月29日に Preview で登場し、6月23日に GA しています
  • BigQuery Editions の fluid scaling(GA、6/3):需要に応じてスロットを自動で伸縮させる仕組み
  • 自動エンベディング生成(GA、6/17)と VECTOR_SEARCH のハイブリッド検索(Preview、6/25):BigQuery だけでベクトル検索を組む土台が整いつつあります

出典:BigQuery 公式リリースノート

コンピュートとネットワーク

命名変更にも注意

4月には Looker Studio の名称が Data Studio(日本語表記:データポータル)に戻っています(出典:Google Cloud 公式ドキュメント)。URL は変わらず自動リダイレクトされますが、ドキュメントやチュートリアルを検索する際は旧名称と新名称の両方で探す必要がある場面がしばらく続きそうです。


Google Workspace の主要動向

Workspace 側は、Gemini を各アプリに溶け込ませる方向の更新が中心でした。出典はすべて Google Workspace Updates(Google 公式ブログ)です。

Gemini の各アプリへの統合

  • Google カレンダーの時間提案(1/26、出典)、Google ドキュメントの音声要約(2/12、出典)、Google フォームの定量分析(2/24、出典)など、既存アプリに Gemini の支援機能が順次追加
  • Google スプレッドシートの Gemini が日本語対応(6/18、出典)、数式エラーの自動対応(6/22、出典
  • Workspace Studio(ノーコードで業務エージェントを組める機能)にリストのループ処理「Repeat for each」が追加(6/2、出典)され、複数件のデータを1件ずつ処理するようなワークフローが組みやすくなりました
  • Google の管理する MCP サーバーが Google Workspace 向けにも提供開始(5月、出典:Google Cloud 公式ブログ)。Gmail、Drive、Calendar、Chat のデータを MCP 経由で外部の AI ツールから扱えるようになっています

セキュリティ・ガバナンス

  • Google ドライブのランサムウェア検出・ファイル復元が GA(3/30、出典
  • Google カレンダーの DLP(データ損失防止)機能が Beta(2/11、出典)→ GA(6/3、出典
  • Google グループで内部・外部メンバーの分類機能が追加(2/23、出典)され、6/24 にはセキュリティ・プライバシー強化のためこの分類がより厳格化されています(出典

Workspace の管理者にとっては、Gemini 関連の機能追加を追いかけるだけでなく、DLP や外部共有制限まわりの既定値変更が組織のポリシーに影響していないか確認する回でもありました。


認定資格制度の変更

2026年上半期でエンジニアの学習計画に最も直結する変更は、認定資格の更新方式刷新です。

これまで Google Cloud の認定資格は、有効期限(取得から2年)が来るたびに監督付きの再試験を受け直す必要がありました。7月9日の発表以降は、これに加えて次の2つの経路でも資格を1年延長できるようになっています(出典:Google Cloud 公式ブログ)。

  1. Google Skills(skills.google.com)でのコース受講
  2. スキルバッジ(実践的なハンズオンラボ)の完了

対象は今のところ Cloud Digital Leader、Associate Cloud Engineer、Professional Cloud Architect、Professional Data Engineer の4資格です。日常的に該当分野を使っている人はスキルバッジで最短更新、しばらく実務から離れていた人はコース受講で復習を兼ねる、といった使い分けができます。対象資格が今後増えるかどうかは公式アナウンスを待つ必要があります。最新の対象資格・条件は公式の認定資格ページで確認してください。


まとめ、下半期に向けて

2026年上半期の Google Cloud は、AI 基盤の再編(Vertex AI → GEAP)、モデルの世代交代(Gemini 3.1 → 3.5)、認定資格の更新方式刷新という3つの大きな変化がありました。個別の機能追加を追いきれていなくても、この3つを押さえておけば上半期の流れはつかめます。

実務上、優先して確認すべきことを整理すると次のとおりです。

  • vertexai パッケージを使ったコードが残っていないか(6/24 に完全削除済み)
  • BigQuery のレガシー SQL に依存したクエリ・ツールが残っていないか(6/1 に廃止済み)
  • 保有している認定資格の有効期限と、コース・スキルバッジでの延長対象になっているか
  • Looker Studio(データポータル)など、リブランディングでドキュメント検索時の名称が変わっていないか

下半期は7月30〜31日に Google Cloud Next Tokyo '26 が開催予定です(出典:Google Cloud 公式ブログ)。グローバル版の Next '26(4月)で発表された内容が日本市場向けにどう展開されるかが、ひとつの見どころになりそうです。

各アップデートの詳細は、変更が速いため必ず公式情報で最新状態を確認してください。

参考(出典一覧、すべて Google 公式)

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