はじめに
2023/1/31にOracle Cloud上でRedhat Enterprise Linux(RHEL)が正式にサポートされる、というニュースが出ました。
正式にサポートされる、というのはRedHat社のCCSP(Cloud Certified Service Provider)に登録されたということになります。

2006年のOracle Open WorldでラリーがOracle Unbreakable Linux(現在のOracle Linux)を発表して以来、両社はいろいろな場で激しくやりあってきました。
RedHatもOracle LinuxのRHELへのマイグレーションをサポートしていたりします。
なので、個人的には永遠にOracle CloudにRHELが来ることはないのでは、と思っていましたが、よい意味で裏切られました。
Oracle Cloud でRHELを利用するときに気を付けること
発表ページにあるとおり、OCIでのRHELの利用は、Bring Your Own Image(BYOI)を行う必要があります。
また、サブスクリプション契約自体もOracleを経由するのではなく、Redhatと直接契約する必要があります。
ライセンスは個別に準備しましょう。
さて、RHELを利用する際にはOCIへBYOIすることになるため、OCIでネイティブのOracle Linuxを利用するときに比べるといくつか制限があります。以下に代表的なものをあげてみますので、利用する際にはご注意ください。
1. 起動モードは準仮想化モードになる
OCIではイメージの起動モードは以下三種類となります。
- ネイティブモード
- 準仮想化モード
- エミュレートモード
準仮想化モード自体の利用は問題ありませんが、ネイティブモードが最大のパフォーマンスが期待できるとあるため、検証はしてませんが性能的にはネイティブのOracle Linuxに比べると落ちる場合がある可能性があります。
RHELを利用する場合にはそのような差分にご注意ください。
2. 超高速ディスク(UHD)は利用不可
OCIではブロック・ボリュームのパフォーマンスを四つのレベルで選択することができます。
- 超高パフォーマンス(Ultra High Performance)
- より高いパフォーマンス(Higher Performance)
- バランス(Balanced)
- より低いコスト(Lower Cost)
この中で 超高パフォーマンス については、ブロックボリュームのアタッチにマルチパス対応が必要となります。
現時点ではRHELはマルチパス対応がされていないため、超高パフォーマンスのブロックボリュームは利用できません。
必要な性能が より高いパフォーマンス のボリュームで対応可能か、ご注意ください。
3. Oracle Cloud Agentは利用不可
Oracle Cloud Agentはコンピュート・インスタンスで実行されているプラグインを管理する軽量プロセスになります。
Oracle Cloud Agentを利用することで、Bastionによる接続や脆弱性スキャン等を実施することができます。
ただ、Oracle Cloud Agentもサポート対象のイメージが限定されており、現時点ではRHELは入っていません。
Oracle Linuxと同様の管理下に置きたい場合には、別の手法が必要になりますので、ご注意ください。
まとめ
今回は以下三点、性能面・管理面の注意点をあげました。
- 起動モードは準仮想化モードになる
- 超高速ディスク(UHD)は利用不可
- Oracle Cloud Agentは利用不可
RHELがOCIで利用可能になったのは、両社の協業の第一段階であり、「RHELのOCIに対する統合をより進め、使い勝手を良くしていく」とのことなので、今後の改善に期待します。
おまけ
AMD, armベースでのRHEL 8の利用は 8.7 以降、となってますが、armベースのサポートインスタンスタイプはRedhatのページでは 8.4 以降となってました。あんまり8.4をわざわざ利用する機会はないと思いますが、時間がある方は試してみてください。

