はじめに
Notion MCP Server(Model Context Protocol Server)は、NotionのAPIと大規模言語モデル(LLM)を連携させるための公式サーバーです。このサーバーを使用することで、ClaudeやGPT-4などのAIアシスタントがNotionのワークスペースに直接アクセスし、データの読み取り、書き込み、更新などの操作を行うことができます。本チュートリアルでは、Notion MCP Serverの設定方法から実際の利用方法まで詳しく解説します。
公式GitHubリポジトリ: https://github.com/makenotion/notion-mcp-server
前提条件
Notion MCP Serverを使用するには、以下の環境が必要です:
- Node.jsがインストールされていること(バージョン16.0以上推奨)
- Notionアカウント
- Notion APIトークン(統合アプリケーションの作成が必要)
- AI Assistant(ClaudeなどのMCP対応アシスタント)
1. Notion統合アプリケーションの作成
まずはじめに、NotionのAPIにアクセスするための統合アプリケーションを作成します。
- Notion開発者ポータルにアクセスします
- 「新しい統合」ボタンをクリックします
- 統合の名前を入力します(例:「Notion MCP」)
- 接続したいワークスペースを選択します
- 「内部統合」のままにしておきます(デフォルト設定)
- 「送信」をクリックして統合を作成します
- 作成後、「シークレットキーを表示」をクリックしてAPIトークンを表示し、コピーします。このトークンは「ntn_」で始まります
重要: このAPIトークンは秘密情報として扱い、公開しないようにしてください。このトークンを使って、あなたのNotionワークスペースにアクセスできます。
2. Notion MCP Serverのインストール
Notion MCP Serverをインストールするには、以下の手順に従います:
- ターミナルまたはコマンドプロンプトを開きます
- 以下のコマンドを実行してNotion MCP Serverをインストールします:
npm install -g @notionhq/notion-mcp-server
3. MCP設定ファイルの作成
使用しているAIアシスタントによって設定ファイルの場所は異なりますが、一般的な場所は以下の通りです:
-
Claude Desktop:
- MacOS:
~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
- Windows:
%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
- MacOS:
以下の設定をファイルに追加します:
{
"mcpServers": {
"notionApi": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@notionhq/notion-mcp-server"
],
"env": {
"OPENAPI_MCP_HEADERS": "{\"Authorization\": \"Bearer ntn_****\", \"Notion-Version\": \"2022-06-28\" }"
}
}
}
}
注意:
ntn_****
の部分は、先ほどコピーしたあなたの統合アプリケーションのシークレットトークンに置き換えてください。
4. Notion統合アプリケーションとページの接続
Notion MCP Serverがアクセスできるページを設定する必要があります:
- Notionでアクセスさせたいページやデータベースを開きます
- ページ右上の「...」メニューをクリックします
- 「接続を追加」または「Add connections」を選択します
- 先ほど作成した統合アプリケーションを選択します
- これにより、そのページとそのサブページへのアクセス権限が統合アプリケーションに付与されます
5. アシスタントの再起動と接続テスト
設定が完了したら、AIアシスタントを再起動して接続をテストします:
- Claudeを使用している場合は、Claude Desktopを完全に終了します
- アプリケーションを再起動します
- ツールアイコン(通常はハンマーのシンボルなど)をクリックします
- サーバーの一覧に「notionApi」が表示されていれば接続成功です
6. Notion MCP Serverの基本的な使い方
6.1 ページの内容を取得する
特定のページの内容を取得するには、そのページのIDが必要です。NotionページのURLから以下のようにIDを取得できます:
https://www.notion.so/ワークスペース名/ページタイトル-ページID
例えば、URLが https://www.notion.so/myworkspace/Getting-Started-1a6b35e6e67f802fa7e1d27686f017f2
の場合、ページIDは 1a6b35e6e67f802fa7e1d27686f017f2
です。
AIアシスタントに以下のように指示することで、そのページの内容を取得できます:
ページ「1a6b35e6e67f802fa7e1d27686f017f2」の内容を取得してください
または
「Getting Started」ページの内容を教えてください
6.2 コメントを追加する
特定のページにコメントを追加するには:
「Getting Started」ページに「Hello MCP」というコメントを追加してください
AIアシスタントはNotionのAPIを使用して、v1/search
でページを検索し、v1/comments
でコメントを追加する操作を行います。
6.3 新しいページを作成する
新しいページを作成するには:
「Development」ページに「Notion MCP」というタイトルのページを追加してください
6.4 データベースのクエリ
Notionのデータベースに対してクエリを実行することもできます:
「Projects」データベースから「進行中」のステータスのプロジェクトをすべて表示してください
7. 高度な設定オプション
7.1 環境変数の設定
設定ファイルのenv
セクションでは、さまざまな環境変数を設定できます:
"env": {
"OPENAPI_MCP_HEADERS": "{\"Authorization\": \"Bearer ntn_****\", \"Notion-Version\": \"2022-06-28\" }",
"DEBUG": "true"
}
DEBUG
をtrue
に設定すると、詳細なログが出力され、問題のトラブルシューティングに役立ちます。
7.2 複数のMCPサーバーの設定
一つの構成ファイルで複数のMCPサーバーを設定することができます:
{
"mcpServers": {
"notionApi": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@notionhq/notion-mcp-server"
],
"env": {
"OPENAPI_MCP_HEADERS": "{\"Authorization\": \"Bearer ntn_****\", \"Notion-Version\": \"2022-06-28\" }"
}
},
"otherApi": {
"command": "other-command",
"args": ["arg1", "arg2"],
"env": {
"ENV_VAR": "value"
}
}
}
}
これにより、AIアシスタントは複数のAPIサーバーにアクセスできるようになります。
8. トラブルシューティング
8.1 サーバーが表示されない場合
- 設定ファイルのJSON構文に誤りがないか確認してください
- AIアシスタントを完全に再起動してください
-
npx @notionhq/notion-mcp-server
コマンドを手動で実行して、エラーが出ないか確認してください
8.2 APIトークンの問題
- 認証エラーが表示される場合は、Notion開発者ポータルで新しいAPIトークンを生成してください
- トークンが正しい形式(
ntn_
で始まる)であることを確認してください - 環境変数の名前が正しいことを確認してください
8.3 接続の問題
- インターネット接続を確認してください
- ファイアウォールがアプリケーションの通信をブロックしていないか確認してください
- VPNを使用している場合は、一時的に無効にしてみてください
8.4 M1/M2 Mac固有の問題
M1またはM2 Macを使用していて接続の問題が発生している場合:
- Rosetta 2がインストールされていることを確認してください
- 設定ファイルでNodeへの完全なパスを指定してみてください:
"command": "/opt/homebrew/bin/node",
"args": [...]
9. 実際の活用例
9.1 自動ノート取り
会議の内容をAIアシスタントに書き起こしてもらい、Notionに直接保存:
この会議のノートをとって、「Meeting Notes」データベースに「2025年4月戦略会議」というタイトルで保存してください
9.2 知識ベースのクエリ
Notionをナレッジベースとして使用し、AIアシスタントに質問:
「製品マニュアル」ページから「インストール手順」に関する情報を要約してください
9.3 タスク管理
タスクの追加、更新、完了:
「タスクリスト」データベースに「MCP Serverのセットアップ」というタスクを作成し、優先度を「高」に設定してください
9.4 コンテンツ作成ワークフロー
コンテンツのアウトラインをNotionに保存し、それをもとにAIアシスタントに記事を書いてもらう:
「ブログ記事」データベースにある「AI導入ガイド」の記事のアウトラインを読み込んで、そのアウトラインに基づいて記事を作成してください
まとめ
Notion MCP Serverを使用することで、AIアシスタントとNotionの間でシームレスな統合が実現し、生産性が大幅に向上します。初期設定には多少の技術的な手順が必要ですが、設定が完了すると、AIアシスタントの知性とNotionの組織化機能を組み合わせた強力なワークフローを構築できます。
このチュートリアルを通じて、Notion MCP Serverの基本的な設定から高度な利用方法まで理解できたことと思います。今後、Anthropicがより多くのアプリケーションとの統合を進めるにつれて、このようなMCP技術はますます重要になってくるでしょう。
あなた自身のワークフローに合わせたNotionとAIアシスタントの連携を探求し、新しい可能性を発見してください。
注意: このチュートリアルの内容は執筆時点での情報に基づいています。APIの仕様やMCPの実装は更新される可能性がありますので、最新情報については公式ドキュメントを参照してください。