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適切なインフラコスト難しいなと思って、上場企業約30社分のサーバー費用を調査した💻

Last updated at Posted at 2023-03-17

@__asachi__です。
普段はプロダクトマネージャーとかデザインとかをやっています。

最近、会社・事業のインフラコストをどう評価するかという話に社内でなって、実際各企業どんなもんなんだろうなと気になり、IR資料から頑張って漁ってきました。

せっかく色々と見たので、気になった事例等含めて書いていこうかなと思います。

(追記):そもそも詳細な可視化&どう最適化していくかは難しいなと思ったので、そのあたりを支援するFinOpsツールをさっと作ってみました。https://clacos.dev/

TL;DR

  • 上場企業のインフラコストを調べた
    • 規模・業態問わずで30社くらいのデータを発掘できた
  • 集計対象のうち最も費用が高かったのはゲーム会社アカツキ約11-12億/年
    • 次点はツイキャス運営のモイ 約5.8億/年
  • 「メメントモリ」が流行ったため、BANK OF INNOVATINが直近四半期でサーバー費用が3億円/四半期(前年同期比1,153%)になっていた
  • 各種会計項目に対してサーバー費の比率が安定しているのは、GunosyGameWith
  • 売上原価に占める割合が高いのは、AI Insideギフティ
    • ※売上原価に何を計上してるかは個社に依るのであくまで参考
  • 各社なるべく事業と連動して費用が上昇するようには設計・運用しているとは思うが、適切な予算・割合は難しそうだ…

はじめに

データソースはこんな感じです。

決済説明会資料
有価証券報告書/届出書
決算短信
上場時の決算情報お知らせ等の適時開示

調査項目はいったん下記の通りです。

サーバー費(四半期もしくは通期)
売上、売上対比
営業費用(販管費+売上原価)、営業費用対比、売上原価対比

評価軸としては悩み中だけど、下記あたりを見れると本当は良いのではと思っています。一部は情報が開示されていないから難しい…

ソフトウェア系事業部門のみの売上対比
売上原価対比
ビジネスモデルとインフラの関連性
ビジネスKPIあたりのインフラコスト (*)

(*) FinOpsでは「ユニットエコノミクスを見ろ」と言われている
refs : https://enterprisezine.jp/article/detail/14813

本編

認知している企業さんの方がイメージも付きやすいと思うので、認知度を考慮して抜粋して書いていきます。

金額単位は百万

カオナビ

タレントマネジメントツール「カオナビ」を提供している企業。

集計期間:2022年3月期(2021/4 - 2022/3)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 26 2.58% 2.66% 8.87%
Q2 25 2.36% 2.52% 8.59%
Q3 30 2.58% 2.92% 10.42%
Q4 29 2.29% 2.19% 8.87%
通期 110 2.45% 2.55% 8.87%

年間で約1.1億円でした。

ちなみに2023年3月期は3/4Q経過時点で約1.16億円でした。

IR情報はこちらから

AI Inside

「DX Suite」などを提供するAI×OCRで知られる企業。

集計期間:2022年3月期(2021/4 - 2022/3)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 38 3.83% 5.27% 19.19%
Q2 55 7.74% 8.04% 25.58%
Q3 37 4.76% 5.59% 17.29%
Q4 37 4.46% 5.49% 19.07%
通期 167 5.05% 6.09% 20.34%

年間で約1.67億円でした。

Q2だけ上がっているのが気になるところですね。(有価証券報告書に書いてませんでした。)

IR情報はこちらから

rakumo

Google WorkspaceやSalesforce等のグループウェアを機能拡張するツール「rakumo」を提供。

集計期間:2022年1月期(2022/1 - 2022/12)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 12 4.76% 5.91% 12.90%
Q2 14 5.30% 6.64% 14.58%
Q3 17 5.94% 7.52% 16.19%
Q4 18 5.84% 8.00% 16.98%
通期 61 5.50% 7.05% 15.25%

年間で約6,100万円でした。
段階的に徐々に費用が上がっていっていますね。

rakumoは決済説明会資料に

原価部門におけるSaaSサービスの変動費率(「Google向けのサーバー費用+プラットフォーム利用料(セールスフォース社)÷SaaSサービス売上高)は、2022年期末時点で10.6%となり、SaaSサービスにおいて高い限界利益率(約90%)を実現

という記載をしています。


source:rakumo 2022年12月期通期決算説明資料

IR情報はこちらから

モイ(ツイキャス)

ライブ配信サービス「ツイキャス」の運営企業。

集計期間:2023年1月期(2022/2 - 2023/1)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 131 8.08% 8.22% 16.01%
Q2 135 8.32% 8.63% 16.69%
Q3 178 10.23% 10.11% 20.55%
Q4 137 8.45% 8.65% 16.91%
通期 581 8.80% 8.93% 17.59%

年間で約5.81億円でした。
サービス柄大きいですね…。

IR情報はこちらから

ギフティ

eギフトプラットフォーム「giftee」の運営企業。

集計期間:2022年1月期(2022/1 - 2022/12)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 35 3.23% 3.72% 20.96%
Q2 41 3.41% 3.80% 20.92%
Q3 44 4.01% 4.34% 25.58%
Q4 52 3.89% 3.90% 23.53%
通期 172 3.64% 3.94% 22.75%

年間で約1.72億円でした。
徐々に増加傾向。

IR情報はこちらから

Retty

グルメ情報サービス「Retty」の運営企業。

集計期間:2022年9月期(2021/10 - 2022/9)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 35 8.18% 5.91% 18.52%
Q2 31 7.49% 5.39% 15.82%
Q3 36 8.26% 5.63% 17.91%
Q4 36 8.26% 5.45% 16.07%
通期 138 8.05% 5.59% 17.04%

年間で約1.38億円でした。

IR情報はこちらから

Gunosy

キュレーションサービス「Gunory」等の運営企業。

集計期間:2022年5月期(2021/6 - 2022/5)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 109 4.79% 5.11% 8.54%
Q2 118 5.61% 5.66% 9.99%
Q3 114 5.15% 5.21% 9.23%
Q4 114 4.75% 5.24% 8.67%
通期 455 5.06% 5.30% 9.09%

年間で約4.55億円でした。

大量トラフィック・情報ソースだし、アドネットワークもやっているので割と良い金額ですね。
ちなみに結構前の資料から、サーバー費用を開示しています。

調査の中で各種比率がブレが少ない企業でした。

IR情報はこちらから

GameWith

ゲーム攻略情報サイト「Gamewith」等の運営企業。

集計期間:2022年5月期(2021/6 - 2022/5)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 24 3.37% 3.54% 6.19%
Q2 25 3.35% 3.65% 6.22%
Q3 25 3.04% 3.36% 5.75%
Q4 25 3.37% 3.07% 5.59%
通期 99 3.37% 3.39% 5.92%

年間で約1億円でした。

かなり安定していますね。
こちらもGunosy同様、各種比率のブレが少ない企業でした。

ちなみに2023年4月期は2/4Q経過時点で約5,700万円で、売上成長に伴い微増しています。

IR情報はこちらから

アカツキ

スマホゲームの開発やコミック事業等を行うエンタメ企業。

集計期間1:2020年3月期(2019/4 - 2020/3)
集計期間2:2021年3月期(2020/4 - 2021/3)
集計期間3:2022年3月期(2021/4 - 2022/3)

※通期の有価証券報告書でのみ開示されていたため年間での費用

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
2019/4-2020/3 1,141 3.88% 5.43% 10.91%
2020/4-2021/3 1,228 4.03% 6.20% 10.10%
2021/4-2022/3 1,193 4.63% 6.35% 11.12%

年間で約12億円くらいでした。
規模がデケェ…

比較的安定していますね。

IR情報はこちらから

BANK OF INNOVATION

「恋庭」「メメントモリ」等のスマホゲームの開発を行うゲーム会社。

集計期間:2022年9月期(2021/10 - 2022/9)

期間 サーバー費用 対売上比率 対営業費用比率 対売上原価比率
Q1 26 5.52% 3.55% 4.68%
Q2 28 4.15% 3.47% 4.84%
Q3 35 5.86% 4.00% 5.96%
Q4 52 7.58% 5.10% 7.89%
通期 141 4.03% 4.11% 5.92%

年間で約1.41億円でした。

おそらく恋庭の成長・メメントモリの開発に伴い、サーバー費用が増加していそうです。


source:BANK OF INNOVATION 2023年9月期

メメントモリが爆当たりしており(売上で前年同期比17倍w)、2023年9月期の1/4四半経過時点で約3億円になっています。ブリッツスケール🚀

売上成長率が凄まじいからか対売上比率で見ると 3.59% で減少傾向にあるのですが、対売上原価については 9.13% まで上昇しています。

IR情報はこちらから

さいごに

みなさんの企業では、予算策定・管理時のロジックや妥当性をどうしていますか?

ぜひそのあたりコメント/議論/ヒアリングさせてください!

Spreadsheetにまとめた&今回やりきれなかった情報部類や項目での分析・評価もやっていきたいので、需要があれば下記から権限申請リクエストしてください!


こんな感じに個社ごとにまとめています。

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