はじめに
原子核がどのような構造をしているのかについて本格的に議論がなされたのは、1900年代辺りとかなり最近である。ブドウパンのように正の電荷をもつ巨大なパンのようなものの中にブドウの粒のように電子が散りばめられているというようなブドウパンモデルなど様々なモデルが提案された。
一方で、太陽系のようなモデルも提案された。例えば、正の原子核の周りを小さい電子が回っているラザフォードの原子模型も提案された。
そこで、今回はラザフォードの原子模型に、正の電荷を持つアルファ粒子を衝突させようとしたときに、どのように散乱するのかを計算機を用いて解析した。
結果、以下の画像のような散乱をすることが分かった。
このように、散乱の角度がかなり大きくなるのだが、このことは実験結果と合致する。
したがって、このモデルは実際の原子の構造をかなり正確に示せている。
解析モデル
$xy$平面の原点$(0,0)$に正の電荷を置く。$x<0$の領域からx軸に平行な向きでアルファ粒子を放つ。このとき、アルファ粒子はどのような軌道を示すのかを調査した。
プログラム
アルゴリズム
m\vec{a}=\frac{Q_1Q_2}{4\pi \epsilon_0 r^2}\frac{\vec{r}}{|\vec{r}|}
上記の加速度を用いて速度および位置を更新する。
\vec{v}(t+\Delta t)=\vec{v}(t)+\vec{a}(t)\Delta t
\vec{x}(t+\Delta t)=\vec{x}(t)+\vec{v}(t)\Delta t
Python
以下に、プログラムのコードを示す。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib
import math
#以下単位法で考える
#電子の電荷
e=1.0
#アルファ粒子の質量
m=1.0
#アルファ粒子の電荷
Q_1=2*e
#原子核の電荷
Q_2=12*e
epsilon_0=1.0
dt =1e-4
def equation(r):
F=1/(4*math.pi*epsilon_0)*Q_1*Q_2/abs(r)**2*(r/abs(r))
a=F/m
return a
def simu(r):
t=0
r_ary=[]
#初速度(ここを変える)
v=1.5
while t<10:
a=equation(r)
v=v+a*dt
r=r+v*dt
r_ary.append(r)
t=t+dt
return r_ary
#-L<y<L x=-L の領域から、x軸方向にn個のアルファ粒子を飛ばす。ただし、それらは互いに干渉しないものとする。
n=10
L=3.0
y_ary=np.linspace(-L,L,n)
x=-L
X=[]
Y=[]
Z=[]
for i in range(n):
r0=x+1j*y_ary[i]
r_ary=simu(r0)
for k in range(len(r_ary)):
X.append(r_ary[k].real)
Y.append(r_ary[k].imag)
Z.append(y_ary[i])
plt.scatter(0,0,c="red",s=100)
plt.scatter(X,Y,c=Z)
plt.xlim(-3,3)
plt.ylim(-3,3)
plt.colorbar()
plt.savefig("atom_2D_15.png")
plt.show()
結果
以下、初速度を変化させた場合の結果である。
初速度が小さいと、跳ね返りが起き、大きいと進路が少し曲がる。
v=1.0
v=1.5
v=2.0
v=3.0
まとめ
今回は、Pythonを用いることでラザフォードの原子模型とアルファ粒子の散乱についてのシミュレーションを行った。結果、初速度を変化させることで散乱の角度が変化することが分かった。また、アルファ粒子と原子核が近い場合は、散乱角が大きくかなり進路が曲がることが分かった。
参考文献




