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Oracle AI Database Private Agent Factory を調べてみた

Last updated at Posted at 2026-01-13

workflow-rest-api.jpg

はじめに

OracleからAIエージェント構築プラットフォーム「Oracle AI Database Private Agent Factory」がリリースされました。
ノーコードでAIエージェントを構築できるとのことで、どんなサービスなのか、既存のOracleサービスや他のAIプラットフォームと何が違うのか、公式マニュアルを読んで調べてみました。

Agent Factoryとは

Oracle AI Database Private Agent Factory は、2026年リリースの新サービスで、ノーコード/ローコードでAIエージェントを設計・構築・運用できるエンタープライズ向けプラットフォームです。

現行バージョンはRelease 25.3で、Oracle AI Database 26ai が前提条件となっています。

主な特徴

  1. ドラッグ&ドロップで構築可能

    • エンジニアリングスキル不要で直感的に設計可能
    • Knowledge Search、Data Analysisなどのテンプレート提供
  2. マルチクラウド・オンプレミス対応

    • OCI限定ではなく、オンプレミスやマルチクラウド環境でも利用可能
    • ExaDB-DやBase DBを使っている環境にも対応
  3. Oracle Databaseとの深い連携

    • AI Vector Search等の最新DB機能をワークフローで活用可能
    • Select AI等の機能との統合
  4. セキュリティとガバナンス

    • SSO対応(IDCS、Google、Okta、Auth0、Azure AD、Cognito)
    • ロール管理、ガードレール設定、組み込み評価機能
  5. 多様なLLMを選択可能

    • OCI GenAI、OpenAI、Ollama、vLLM等
    • Grok (xai.grok-4) も OCI GenAI 経由で利用可能

Oracle内の類似サービスとの違い

OracleにはAI関連のサービスがいくつかあるので、整理してみました。

サービス 特徴 環境
OCI AI Agent Platform 汎用的なエージェントを構築するマネージドの実行基盤 OCI限定
Oracle AI Data Platform 分散データを一元管理し、AI/データ分析を統合した基盤 OCI限定
Oracle Fusion AI Agent Studio Fusion アプリケーション内でのAIエージェント構築環境 Fusion Apps内
Agent Factory(新) ノーコードでAIエージェントを構築・テスト・デプロイ マルチクラウド&オンプレ対応

Agent Factoryのポジション

  • マルチクラウド・オンプレ対応が他のOracleサービスとの大きな違い
  • ノーコードに特化した直感的なGUI
  • LangGraph/AutoGenで構築済みのエージェントをインポート可能

他のAIエージェント構築プラットフォームとの比較

OracleだけでなくAIエージェント構築プラットフォームは各社から提供されています。主要なサービスと比較してみました。

クラウドベンダー提供サービス

項目 Agent Factory AWS Bedrock Agents Azure Foundry Google Vertex AI
ノーコード ◎ Bedrock Flows ◎ Logic Apps連携 ◎ Agent Designer
マルチクラウド/オンプレ × AWS限定 × Azure限定 × GCP限定
DB連携 Oracle DB深度統合 Aurora/RDS等 Cosmos DB/SQL等 AlloyDB/BigQuery等
LLM選択肢 OCI GenAI/OpenAI/Ollama Claude/Llama/Titan等 OpenAI+Claude Gemini+OSS

各社ともノーコード/ビジュアルビルダーを提供しており、機能面では大きな差はありません。Agent Factoryの特徴はマルチクラウド・オンプレミス対応である点です。

OSSプラットフォーム

項目 Agent Factory Dify n8n
主な用途 AIエージェント構築 Agentic Workflow ワークフロー自動化+AI
ライセンス 商用(Oracle) OSS(Apache 2.0) フェアコード
セルフホスト ◎ オンプレ対応 ◎ OSSで自由 ◎ OSSで自由
商用サポート ◎ Oracle正式 ◎ Enterprise版 ◎ SOC2対応

Difyやn8nはOSSで自由度が高く、スタートアップからエンタープライズまで幅広く採用されています。Agent FactoryはOracle正式サポートOracle Database深度統合が差別化ポイントです。


システム要件

前提条件

項目 要件
データベース Oracle AI Database 26ai(専用ユーザー推奨)
LLMエンドポイント vLLM、OpenAI、Ollama、OCI GenAI のいずれか
Knowledge Assistant使用時 BIGFILE テーブルスペースまたは最低100GB

インストールモード

項目 Quickstart Production
セットアップ 自動(ローカルコンテナ) 手動(ユーザー指定エンドポイント)
データベース Oracle AI Database 26ai Free ユーザーの Oracle AI Database 26ai
ストレージ ~30 GB ~10 GB
RAM ~10 GB ~8 GB

対応OS

  • Oracle Linux 8 on AMD x86_64
  • Oracle Linux 8 on ARM64
  • macOS ARM64 (M.x チップセット)
  • macOS Intel

--

サポートLLMモデル

生成モデル(Generative Models)

プロバイダ 対応モデル
OCI Generative AI xai.grok-4, xai.grok-4-fast-reasoning, llama3.3
OpenAI gpt-4o, gpt-4o-mini
Ollama llama3.2 等(ローカル実行)
vLLM 任意のself-hostedモデル

埋め込みモデル(Embedding Models)

カテゴリ モデル
ローカル multilingual-e5-base(768次元)
OCI Cohere cohere.embed-v4.0, cohere.embed-multilingual-v3.0
Self-hosted vLLM/Ollama経由で任意モデル

Agent Builder コンポーネント

Agent Factoryのコア機能であるAgent Builderには、様々なノードが用意されています。

コアオーケストレーション

ノード 用途
LLM テキスト生成、要約、推論、エージェントの基盤
Agent 多段階タスク、ツール呼び出し、マネージャー/ワーカー オーケストレーション

ツール系ノード

ノード 用途
Bug Tools バグ/課題トラッカーの統合、クエリと更新
MCP Server MCPサーバーの統合、カスタムツール公開
REST API Tools 外部API/マイクロサービス呼び出し

データ系ノード

ノード 用途
Read CSV File CSVインポート → DataFrame出力
File Upload ファイルアップロード処理
SQL Query データベースクエリ(SELECTのみ

処理系ノード

ノード 機能
Condition 条件分岐(equals, contains, regex match等)
Type Convert Message ↔ JSON ↔ DataFrame 変換
Combine JSON Data 複数JSONをマージ(Deep/Replaceモード)
Parser JSON/DataFrame → 可読メッセージ変換

プリビルトエージェント

Knowledge Agent

SharePoint、Webサイト、ファイルシステムに接続し、Oracle AI Vector Searchで応答を根拠付けるエージェントです。

データ処理パイプライン:

クローリング → パージング → ストレージ → チャンキング → 埋め込み → インジェスション

主要機能:

  • 文脈的検索(非構造化データ対応)
  • グラウンデッド応答(ソースへのトレーサビリティ)
  • メタデータ自動抽出(PDF等)
  • スマート質問提案機能

Data Analysis Agent

エンタープライズデータベースと連携するAI駆動型分析エージェントです。

主要機能:

  • スキーマ自動認識
  • 自然言語クエリ → SQL自動生成
  • LLM駆動の説明生成
  • 自動ビジュアライゼーション
  • Oracle Database 19c以上と直接接続

対応データソース

タイプ 用途 制限
Web Source 公開Webページのクローリング クロール深度・頻度設定可
File Source ファイルシステムからの取り込み .pdf/.txt/.rtfのみ、最大1GB/ファイル
SharePoint SharePointドキュメントリポジトリ Client ID/Tenant ID/Client Secret必要
Database リレーショナルDB接続 SELECTのみ
REST API 外部API連携(OpenAPI) API Key等の認証設定

Template Gallery

すぐに使えるテンプレートも用意されています。

テンプレート 説明
Intent Based SQL Dispatcher 入力を分類し、SQL実行かLLM処理かを振り分ける条件付きワークフロー
Multi-Agent Refund Orchestrator 顧客払い戻しリクエストを処理するマルチエージェント自律サポートシステム
Market Sync Agent Alpha Vantage/CoinGecko接続のハイブリッド資産運用エージェント
On Demand Email Sender 会話からメール作成・送信するエージェント

外部フレームワークのインポート

LangGraphやAutoGenで構築済みのエージェントをインポートできます。

サポートフレームワーク:

  • LangGraph
  • AutoGen

インポート手順:

  1. LangGraph/AutoGenでフローを作成
  2. PyAgentSpecライブラリでJSON/YAMLに変換
  3. Agent Factoryの「My Custom Flows」からインポート

現在の制限:

  • ツール参照のあるエージェント設定は未対応
  • インポート後のフロー編集は不可

MCP Server構築

MCPサーバーを構築して、モデルが呼び出せるカスタムツールを公開できます。

from fastmcp import FastMCP

mcp = FastMCP(name="Custom_Server")

@mcp.tool
def custom_tool_name(a: str, b: int) -> dict:
    return {"result": f"{a}_{b}"}

if __name__ == "__main__":
    mcp.run(transport="sse", host="0.0.0.0", port=8080)

ユーザー管理とセキュリティ

SSO対応プロバイダ

  • Oracle Identity Cloud Service (IDCS)
  • Google
  • Okta
  • Auth0
  • Microsoft Azure AD
  • Amazon Cognito

ユーザーロール

ロール 権限
Chat-Only Users チャット機能のみ利用可能
Editor Users エディタ機能を含む拡張権限
Administrators 全システム管理権限

APEXとの棲み分け

Agent FactoryとAPEXは競合ではなく、補完関係にあります。

apex_agent_factory_diagram.png

組み合わせパターン

  1. APEXアプリにAIチャット埋め込み - 既存APEX画面に対話型アシスタントを追加
  2. 役割分担 - 問い合わせ・検索→Agent Factory、データ入力・更新→APEX
  3. Agent FactoryからAPEX連携 - 自然言語で指示→Agent Factoryが情報収集→APEXで処理実行

想定ユースケース

Agent Factoryが活きる場面を整理してみました。

ユースケース 説明
社内ナレッジ検索 SharePointやファイルサーバーの文書をRAGで検索
カスタマーサポート 問い合わせ対応の自動化、FAQチャットボット
データ分析アシスタント 自然言語でDBクエリ、結果の可視化
既存Oracle DB資産の活用 AI Vector Searchと組み合わせた高度な検索
オンプレミス環境での運用 クラウドに出せないデータを扱うAIエージェント

さいごに

Agent Factoryは、ノーコードでAIエージェントを構築できるプラットフォームで、特にOracle Databaseを既に使っている環境や、マルチクラウド・オンプレミス環境での運用が求められる場面で力を発揮しそうです。

良いAgent開発ライフを!

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