1. はじめに
昨今のAI技術の進化スピードは目覚ましいものがあります。私自身も最初はコーディング作業の効率化のためにAIを活用し始め、徐々に業務の様々な場面で取り入れるようになってきました。
私が所属している会社では、主にNotionを使用して仕様書を作成しています。最近になってNotion公式のMCPサーバが公開されたため、様々な活用方法を試してきました。この記事では、実際に試してみて上手くいった点や課題点について詳しくお伝えします。
※タイトルにも付けたように、あくまでも現時点での感想としてお読みいただければ幸いです。
2. 対象読者
- Notionを使用して文書管理をしている方
- MCPを活用してNotionとの連携を検討している方
- 仕様書作成プロセスにAIを取り入れたい方
- 効率的なドキュメント作成手法に関心がある方
3. 目次
4. 環境
エディタ
- Cursor
AIエージェント
- Roo code
MCP
- Notion
5. 本編
5.1 MCPの設定
MCPとは「Model Context Protocol」の略で、AIモデルと外部ツールを連携させるためのプロトコルです。これにより、AIが直接Notionなどの外部サービスを操作できるようになります。
Roo CodeでMCPを使用するには、Roo codeのMCPタブから編集ボタンをクリックし、JSONファイルを以下のように編集して設定します。
{
"mcpServers": {
"notionApi": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
"env": {
"OPENAPI_MCP_HEADERS": "{\"Authorization\": \"Bearer ntn_xxx\", \"Notion-Version\": \"2022-06-28\" }"
}
}
}
}
※ ntn_xxx
の部分には、Notion Integrationsで発行した認証キーを入力してください。
正しく設定できると、MCPサーバが接続され、利用可能な状態になります。
また、登録したMCPのトグルをクリックすると、使用できる機能一覧を確認することができます。
5.2 NotionMCPの所感
様々な機能を試してみた結果、通常の使用範囲であれば、ほとんどの操作をMCPを通じて実行できることがわかりました。
AIに指示を出すだけでNotionに仕様書を自動的に反映させることができるため、時間の節約になります。
しかしながら、実際に使用してみて以下のような課題も感じました。
-
処理速度が遅い
- NotionのAPIを使用してブロックを挿入する仕組み上、処理に時間がかかります
-
コストがかかる
- 仕様書の1ページを作成するために、それなりのトークン消費が発生します
-
フィードバックサイクルが長い
- 処理速度が遅いため、生成された内容の確認や修正にも時間がかかります
5.3 私なりの使い方
上記の課題を踏まえ、以下のような私なりの効率的な使い方をご紹介します。
- ローカル環境で仕様書をMarkdown形式で作成する(Rooを活用)
- Rooの支援を受けながら、必要に応じて手動でローカルファイルの内容を微調整する
- Notionのインポート機能またはコピー&ペーストで、作成したMarkdownをNotionに移行する
- Roo + NotionMCPを使用して、Notionに移行した仕様書の見た目を改善する
この方法では、NotionのMCPを使用するのは最後の手順4のみです。
それまではMCPを使わず、シンプルにRooを活用するだけです。
ローカルファイルの作成や更新であれば、AIの処理速度も速く、効率的に作業を進めることができます。
Markdownで作成された文書も仕様書としての機能は十分ですが、個人的には視覚的な見やすさという点ではやや物足りないと感じています。
色付けや強調表示などを適切に行うことで、重要な箇所や区分けがより明確になります。
Notionが広く普及している理由の一つは、直感的で見やすいページを簡単に作成できる点にあると考えています。
しかし、見やすいページを作成するにも意外と時間がかかるものです。
そこで、見た目の改善のみにMCPを活用したところ、非常に効果的かつコスト効率の良い方法であることがわかりました。
現時点(2025年4月)では、私にとってこの使い方が最も効率的であると感じています。
以下では、実際にサンプルのページを用いて手順2(Markdown作成)の成果物と手順4(NotionMCPによる改善)の成果物を比較し、その違いを具体的に示します。
5.4 マークダウンでの表示例
以下はQiitaトップページの画面仕様書をMarkdown形式で作成したものです。
この段階では、NotionのシンプルなビューワーでMarkdownを表示しているだけの状態です。基本的な情報は含まれていますが、視覚的な整理はされていません。
(↑Notionからエクスポートした画像を連結しています)
5.5 Notionを使って見た目の改善
以下は同じ内容をNotionMCPを使って視覚的に改善した状態です。色分けやレイアウトの調整により、情報の階層性が明確になり、視認性が向上していることがわかります。
(↑Notionからエクスポートした画像を連結しています)
6. さいごに
本記事での結論としては、NotionMCPだけを使って仕様書を作成するのは必ずしも効率的ではなく、あくまでも補助的な役割として活用するのが最適だと考えられます。特に視覚的な改善作業においてMCPの活用が効果的です。
今後、LLMの精度が向上したり、AIエージェントやMCPサーバ側の機能が改善されることで、また新たな活用方法が生まれてくるでしょう。
技術の進化に合わせて、より効率的な仕様書作成の方法を模索していくことが重要です。