本記事の目当て
- マーケティングもデジタル化が進み、担当以外の人がマーケ知識を必要なことも多いと思います
- マーケティングの本はたくさんあるのですが、データ分析支援などで入り、直接マーケティングをしていない人間からすると、わかりにくいところが多かったです。これは全体のうちでどこをやっているのか?
- 主にデータサイエンティストの人などがマーケティングの全体像そして個別ではどういう分析が必要なのか、という整理に役立つような記事を目指して書いております
この記事のサブ記事の位置付けです。
マーケティングで主流となっているフィリップ・コトラーの考えをまとめました。コトラーの著作は大部で、初心者が入門するには、
[改訂4版]グロービスMBAマーケティング
がよいと思います。これをベースに自分の経験も加えてまとめてみます。
全体の立て付け
当たり前ですが、全社の経営理念がありそのもとで全社戦略、そしてここの事業・ブランド戦略があり、それに対するマーケティング戦略がある。
マーケティング戦略
そして、マーケティング戦略ではまず環境(社会状況、市場など)分析、STP、4Pというフレームで考えていきます。
- 環境分析
-
3C
- Customer顧客、Competitor競合、Company自社の3つの観点で環境を分析することです
- Qiitaを読んでいるエンジニアだからこそ。ビジネスフレームワーク##3C参照
-
PEST
- また別の観点として、Political法律、Economic経済、Social社会、Technological技術の観点で環境を分析することです
- Qiitaを読んでいるエンジニアだからこそ。ビジネスフレームワーク##PEST参照
-
- STP
上記まではマーケティング以外でも一般的と思いますが、ここからマーケティングのフレームワークになってきます。Qiitaを読んでいるエンジニアだからこそ。ビジネスフレームワーク##STP参照- Segmentation
- 顧客をセグメントに分けていくことです。切り口としては、
- 地理
- 東日本、西日本
- うどんの味付けとか
- 気温・季節
- 季節ものや沖縄と北海道でも求められる飲み物は異なりますよね
- 都市部・郊外
- 当然
- もっと細かな地域
- 磐田市なら野球というよりもサッカーですよね
- 東日本、西日本
- 人口動態
- 年齢、性別、家族、収入、職業
- 心理
- ライフスタイル、パーソナリティ、趣味とか
- 行動
- 対象者が求めるもの
- コストパフォーマンス、高級感とか
- 使用レベル
- ライトなユーザーか、ヘビーユーザーか
- 対象者が求めるもの
- あと、購買履歴(R最も直近の購入はいつか、F購入頻度、M購入金額)分けるとか
- 地理
- 顧客をセグメントに分けていくことです。切り口としては、
- Targeting
- 上記で分けられたセグメントのどこを狙うかですね
- 規模感や成長するセグメントかなど
- 上記で分けられたセグメントのどこを狙うかですね
- Positining
- 他社と比較して自社をどう差別化するか、自社をどの位置に位置付けるかです
- 高級路線か低価格か、ファッション性か初心者に対する使いやすさかなど
- Segmentation
- 4P
じゃあそのブランドをどう売っていくかの戦術になります。Qiitaを読んでいるエンジニアだからこそ。ビジネスフレームワーク##4P4C参照- Product
- 製品サービスの品質など
- Price
- 価格
- Place
- 販売チャネル
- Promotion
- 広告など顧客へアピールするところです
- Product
4Pは売る側の視点なので、それを消費者がどう思うか何を求めているのかの4Cのフレームワークもあります。
Promotion
他のところは基本自社で決められるのですが、ここはうつろいやすい顧客の心を読まなければならず難しい分野のようで色々な考え方、フレームワークが考え出されています。
- 顧客意思決定プロセス
- 顧客がこのように意思決定をし、購買に至るので、そのフェーズごとに適切にPromotionしましょう問うことですね。以下のようなフレームワークがあります
- AIDMA
- Attention注目、Interest興味, Desire欲求、Action行動(で購入する)
- 欧米ではDのないAIDAが用いられることが多いらしい
- AMTUL
- ただAIDMAは定量的に把握できないのでそこを測定できるように改善したフレームワーク
- Awareness認知 再認知率
- Memory記憶 再生致命率
- Trial試験 使用経験率
- Usage頻繁使用 主使用率
- Loyaltyブランド決定 今後の購買意向率
- AISAS
- Webでの購買を意識したフレームワーク
- Attention注目、Interest興味, Serch検索、Action行動(で購入する)、Share情報共有
- 検索と購入後のSNS等での共有を考えているのが肝
- カスタマージャーニー
- 売る側のこれらの施策に対し、顧客(ペルソナ)は購入までにどうブランド側と接点を持ち、どういう思考になるのかを把握するために図示するもの
- 横軸に「顧客の購買プロセス」や具体の購買のステップをとる
- それらに対し顧客がどういう感情の動き(満足度など)を取り、購買に至る時はどういうステップを踏むか、失注・解約などではどういうステップを踏むかを想定して考える
- 顧客の感情が大きく上下に変化する点を「真実の瞬間」と呼び、そこで何をすれば改善するかのきっかけとなる
- これに対し、購買プロセスの中で顧客にどういう接触を持てるかを考える
- ペルソナ
- 想定する顧客像。30代女性OLなどという抽象的なものではなく、外見、性格、日常などを具体に想定して、顧客像を具体化することで適切なPromotionが取れるという考え方
- 注意:よく「秋野つゆはペルソナの成功例」とする誤例があるが、秋野つゆはペルソナではない
非常にざっくりいうとこれがコトラーの考えの骨格です。これでPDCAを回していくわけですが、そこに施策実施、データ収集、分析などを組み合わせて図にすると概ね次のようになるかと思います。
戦術、施策、PDCAへ
ざっと全体像を図にするとこうなる。
- MMMは中長期の予算配分に使われる場合と、短期に施策の効果測定に使われる場合がある
- RFM分析は中長期に顧客のロイヤルティ分析に使われる場合と短期施策のターゲティングに使われる場合もある
戦略から戦術へ
判断をするときに主に以下のような分析結果を用いる
- RFM
- Recently:直近の購買はいつか、Frequency:一定期間の購入回数、Monye:一定期間の購入金額
- これから顧客をエントリレベルからロイヤルティ(そのブランドの愛好者)までを分類する
- LTV
- 顧客生涯価値。その顧客が生涯でそのブランドをどれだけ購入するかという考え方。類似顧客の過去実績を元にしたり、予測のための数理モデルもある
- MMM
- マーケティングミックスモデル(あるいは、メディアミックスモデル)
- PromotionとしてTV・新聞・ラジオ・WEB・SNS広告、キャンペーン、ダイレクトメール、クーポンなどの様々な施策を実施するので、個別の効果がわかりにくい。それぞれがどれだけ効果があるのかを推定しようという分析手法
戦術から施策、PDCAへ
- Plan
- 決められたターゲティングに対し施策の計画を立てる
- 短期のRFM分析からターゲットとなる顧客を更新する
- 精緻にやるのであればどういう施策がどういう効果を生むかのシミュレーションを実施し、効果の高いものを計画とする
- またAction結果からの計画の変更に対応する
- ここには、顧客の行動を考えるために、消費者行動論や、行動経済学の考え方を用いることが多い
- 施策の効果のシミュレーションでは因果推論の考え方を用いる
- Do
- Promotion施策の実施
- 従来は個別に広告、SNS、ダイレクトメール、クーポンなどを実施していたが、それを自動化するマーケティングオートメーションツールを用いることが多い
- Check
- 施策の効果を確認する
- MMMマーケティングミックスモデリングを用いることが多い
- 因果推論が用いられている
- Action
- Check結果を用いて計画の改善を行う
- 消費者行動を促すために行動経済学的な考えを最近は用いられるようになっていている
- Planに戻る
データとデータベース、分析の関係
- データ
- 顧客のデータ、営業活動のデータ、その他市場環境などのデータをデータベースにまとめる
- CDP
- CDP(Customer Data Platform)とは、顧客のデータを統合的に管理・分析するプラットフォームのことである。狭義では顧客のデータだけだが、ここでは、営業や市場環境のデータと統合されたイメージをしている
- PCDA
- 先ほどのPDCAをデータ分析の観点でまとめると概ねこのようになるかと思う